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「本質はカティアとのコミュニケーションです」―VR脱出AVG『ラストラビリンス』プレイレポ&インタビュー

言葉が通じない謎の美少女と館からの脱出を目指すVR専用タイトルである本作。手がける高橋宏典氏によれば、『どこでもいっしょ』と同じマインドを持つとのことですが……?

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「本質はカティアとのコミュニケーションです」―VR脱出AVG『ラストラビリンス』プレイレポ&インタビュー
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本日、2019年11月13日より、PlayStationVR/SteamVR/Oculus Rift/Oculus Quest対応のVR脱出アドベンチャーゲーム『ラストラビリンス』が配信開始となります(後日Microsoft Storeでも配信開始予定)。制作を手がけるのはあまた株式会社で、初代PlayStationで『どこでもいっしょ』シリーズのディレクター/プロデューサーを務めた高橋宏典氏が、本作でもディレクター/プロデューサーを手がけています。人の言葉を理解するかわいらしいネコ・トロとの言語によるコミュニケーションと、架空の言語で話す少女・カティアとの非言語コミュニケーション。二者の差異、そして共通点とは? その一端に迫るプレイレポートと、高橋氏へのインタビューをお届けします。


◆2人を襲う突然の死!それはそれとしてカティアがかわいい


ゲームを始めると、プレイヤーは車椅子に拘束され、暗闇の中で置き去りにされています。自由が利くのは上下左右に動かせる頭と指先のみ。頭には何者かの手でレーザーポインターが装着されており、右手に握らされているリモコンのスイッチを押すとそのポインターで特定のモノを指し示すことができます。

周囲は暗がりながらも、目の前にはぼんやりと電気スタンドと点灯させるためのヒモが。とりあえずそれを指し示してみると、暗闇の中から手が伸びてきて電気を着けてくれました。これがプレイヤーとカティアの出会いになります。ですが、この出会いはカティアの意図するところでもなかったようで、わずかに明るくなった部屋で主人公を見つけた彼女は怖そうに小さく悲鳴を上げます。申し訳ない…でも悲鳴を上げたいのはこっちも同じなんだ……(涙)。

電気を点けてみたらお互いにビックリ。言葉は通じませんが、協力して謎の館からの脱出を目指します

画面中央付近の赤い点がプレイヤーの頭部にセットされたレーザーポインタの光です

この謎の館からの脱出を望むのはカティアも同じらしく、彼女はプレイヤーが指し示したものを動かしたり、操作したりしてくれます。時おり判断に迷ったときはプレイヤーの方を見てきますので、そのときにうなずけば肯定、首を横に振れば否定することができます。




「これを操作すればいいの?」と指さしながら判断を求めてくるカティア。首を動かして指示しましょう

本作の大きな特徴を挙げるなら「エゲつない脱出ゲーム」というのが手っ取り早いでしょう。各部屋には何らかの仕掛けが施されており、その構造を見極めないままに作動させると2人の命は瞬く間に奪われます。"エゲつなさ"の一つ目は、「プレイヤーが判断を誤ったとき、必ずカティアから先に命を落とす」ということ。自分の浅慮が起こした惨劇を目の当たりにさせられて、深い後悔に身を包まれながら自分も命を落とすことになるのです。「脱出ゲームはトライアル&エラーでしょ」などと気軽に考えていた筆者も、本作ではそうもいきません。"エラー"の部分でカティアが死んでしまう……。




カティアは指示通りに操作するだけなので、起きたことの責任はすべてプレイヤーに。ああ、プレッシャーが…

プライベートでのプレイであればまだしも、今回はあまたにお邪魔しての試遊でしたので、インプレッションを書くためにも長時間ひとつの部屋で行きづまっているわけにもいきません。そんなわけで、試遊ではヒント機能も使いながら遊びました。

とはいえ、単に「筆者がプレイしている横でその一部始終を見ている高橋氏にぽつりぽつりとヒントを教えてもらう」というだけの話で、ゲーム中にはこれほど便利なヒント機能はありません。これもエゲつない!(頭の回転が悪いのを棚に上げながら)

なんとか長考の末に、一つの部屋の仕掛けを解くと、カティアがプレイヤーの後ろに回って車椅子を押し、次の部屋へと連れていってくれます。自分の横を通るときにちょっと嬉しそうな声色で話しかけてくれることあり、試遊した人たちから「カティアがかわいい」という声が多く挙がったというのも納得でした。カティア超かわいい。

フタを重そうに持ち上げるカティア。モーションキャプチャーに頼らない手付けの芝居が、カティアというキャラを繊細に描いています

そうこうしていくつかの部屋をクリアすると、晴れて屋外に脱出成功! しかし、日光のまぶしさに目を細めつつも周囲に目をやると、そこは屋外ではあっても、どこにも行きようがない断崖絶壁の行き止まりでした。「あぁ、周囲に広がる海の静けさが恨めしい……」と思ったのも束の間、視界がどんどんホワイトアウトしていき、なんと気が付けばプレイ開始直後の部屋に戻されていました。

違うことといえば、電気のヒモの先に付いているオブジェのデザインが異なっていたことと、壁に先ほどにはなかった花の絵画が掛けられていたこと。プレイヤーを見たカティアの反応もプレイ開始直後そのままで、彼女には先ほどまでの記憶はないようです。これはいわゆる"ループモノ"なのか? わが身に起きた出来事を納得させる答えが出ないまま、プレイヤーとカティアは先ほどまでとは異なる仕掛けに挑んでいきます。ここで高橋氏から「ちょうど区切りがよさそうですので」とお声がかかり、試遊は終了となりました。

本作を「言葉の通じぬ少女を連れての脱出行」と捉え、PlayStation2の傑作のひとつ『ICO』に近い印象を抱く方もいるかもしれません。そもそも、筆者もそうでした。ですが、実際に遊んでみると、プレイフィールはそれとは大きく異なりました。

「ロクに説明もないまま投げ出され、真相を解き明かすためにとりあえず目の前の謎を解いていくしかない。試されるのはただ思考力」――そんな感覚に、筆者がなんとなく思い浮かべたのは、これまた往年の名作アドベンチャーゲーム『MYST』でした。そうしたタイトルをプレイしたことがある方には、一種の懐かしさすらあるかもしれません。そんな本作はいかにして生まれたのか? 試遊後に行った、高橋氏へのインタビューをお届けします。


《蚩尤》
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