Phobia Game Studioが開発し、Devolver DigitalよりPC(Steam)向けに7月23日にリリースされた『CARRION』。本稿ではゴア表現も魅力の本作のプレイレポートをお届けします!ノリノリで人間を捕食していると身も心もモンスターと一体化してしまうかも……?
『CARRION』とは
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本作は、 得体の知れない触手生物となって、研究所からの脱出を目指すメトロイドヴァニア・スタイルのスプラッターホラーアクションゲームです。プレイヤーの操作するモンスターは、無数の触手と剥き出しの歯があり、常にうごめいているため操作していなくとも気持ち悪さは抜群です。
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人間を捕食することで、体力を回復し、自身の細胞も増殖します。精密なドット絵のグラフィックで、敵となる人間は小さく描かれていますが、過激なゴア表現でスプラッター映画のごとく画面が赤く染まっていきます。貧弱な人間を喰らいながら這いずり回れば、モンスターとなり、殺りくのひとときを楽しむことができます。
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開発元のPhobia Game Studioは、過去にも2Dアクションゲームの『BUTCHER』をリリースしています。こちらも画面いっぱいに血が飛び散るビジュアルのゲームとなっていて、新作『CARRION』との表現による繋がりを感じることができます。
『CARRION』の実内容に迫る!
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ゲームは、研究施設の培養槽を破壊するところから始まります。逃げ惑う研究者達を襲おうも、分厚いガラスに守られて狩れません。
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基本操作は簡単で、パッドを利用した操作の場合は左スティックを上下左右に入力すれば、触手を壁や天井へ伸ばして、縦横無尽に移動できます。 腕となる触手も独立して動かすことができ、うねうねと滑らかなアニメーションも相まって、モンスターの操作は爽快です。
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操作はゲームパッド、マウスとキーボードに対応していて、どちらも快適にプレイできますが、双方にメリット・デメリットがあります。ゲーム用コントローラーのメリットは、触手を進行方向とは逆の方向にも伸ばせることと、振動機能が付いたコントローラーに限りますが、捕食を振動で体感できることでしょう。デメリットは、腕となる触手をアナログスティックで操作するため、戻りの反発があり、マウスと比べて触手を細かく動かせないことです。
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一方、マウスとキーボードにより操作のメリットは、マウスポインターの位置に触手を伸ばすことができるため、人間の頭をもぎ取るような繊細な操作を楽に行うことができます。
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デメリットは、モンスターの移動もマウスで操作する点です。ポインターで進行方向を指定し、左クリックを押している間だけ移動するようになっているため、移動中は腕となる触手も進行方向と同じ方向へしか伸ばすことができません。コントローラー次第で操作と難易度が少し変化するため、最初に両方試してみることをオススメします。
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さて、ゲームの内容を紹介していくと、培養槽を出た後、出口を求めて細いダクトを通り、水槽のような場所から更に下へと向かいます。水に潜ると鳴り響くサイレンの音は聞こえにくくなるといった細かい演出も臨場感を高めます。下へ降りると、鉄格子が行く手を塞いでいますが、触手を伸ばして、力強く引き剥がして先へ進むと、トイレにたどり着きました。
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……と便座で休む無防備な人間を発見!床の鉄格子を引き剥がし、気づかれない様にゆっくりと触手を伸ばします。
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が、しかし、触手の伸びる長さに限度があり、仕方なく重い体を持ち上げて、再トライ。
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気づかれて悲鳴を上げられるも、既に時遅し。触手を体に巻き付けて捕らえます。次にやることはただひとつ。床下でお口を大きく開けて待つ自分に向かって触手を操作し捕食するだけです。
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人間を床下へ引きずり落とし、バリバリといただきます!久しぶりの食事に勢いあまって、下半身がお口からポロリ。このままではお行儀が悪いので、触手を伸ばして落とした下半身を拾い上げ、しっかり完食。ごちそうさまでした!初の捕食はトイレで休憩中の人間でした。
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まだまだお腹が空いていて、あと3人はペロリと平らげられそうです。次の獲物を見つけに体を動かすと、どうも体型が少し大きくなったのか、軽く体に当たった便座が粉々に。気にせず先へ向かいましょう。
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扉の先に複数の人間を見つけて気持ちが焦り、勢いあまってドアを解放してしまったことで、存在に気づかれてしまいます。
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慌てふためき走り回る人間達。ゆっくり行動しては捕らえられないので、パワフルな肉体を生かして触手を伸ばし、突撃します!しかし、勢いにまかせて人間を捕らえたため、誤って放り投げてしまい、お肉が赤いジュースを撒き散らしながら飛んでいきます。
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勿体ないことをしました……。もう他の人間達に存在を気づかれているため、忍び寄りながら食べるなんて悠長なことはしていられません。ここからは本領発揮、まず逃げられない様に人間達を放り投げて負傷させ、つまみ食いをしながら全滅させた後、残りをゆっくりいただきます。
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プレイしていく内に、すっかり気持ちもモンスターに。
ここまで、どのようにして食事を自分の口まで運ぶかを説明してきましたが、先に進むにつれて、簡単には食事にありつけなくなってきます。マシンガンやシールドで武装した人間、ドローンなども登場し、勢いにまかせて正面から襲いかかろうとすれば、思いの外あっさりと殺されてしまいます。
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『CARRION』の能力に迫る!
プレイヤーであるモンスターも、ゲーム進行の過程で「DNA」を入手すると、新たな能力を手に入れます。こうした能力を使う上で重要なのが体の大きさです。人間を捕食していくと体が大きくなり、攻撃を受けると小さくなっていきます。
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体が小さい時に使える「アラクノプティシス」は、クモの巣を放って、触手では届かないスイッチを操作したり獲物を捕らえたりする能力です。
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体が大きい時に使える能力「ザイフォーリア」は、牙を剥き出しにして体当たりし、対象を粉砕することができます。この他にも、新しい「DNA」を獲得することで、能力が増えていきます。体の大きさによって使える能力が変化するため、体を一時的に分割して進む場面もあり、ゲームが進行するにつれてパズル要素も加わるのも本作の特徴です。
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強敵に有効な「ザイフォーリア」を使おうと敵に向かうも、ダメージを受け過ぎて体が小さくなり、能力が使えず、一気に不利な状況に陥ることもあります。大きさによる能力の変化は、戦闘にも影響するため注意が必要です。
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また、各エリアにはゲームの進行上重要な「バイオマス」と呼ばれるセーブポイントが点在しています。「バイオマス」とは、「動植物から生まれた、生物由来の再利用可能な有機性の資源(石油などの化石燃料を除く)」という意味がありますが、『CARRION』では自分が細胞を植え付けて、死亡した際に復活できる場所となっています。さらにバイオマスの解放が、新たなエリアの入口を開けるカギにもなっているので、くまなく探索することも求められます。
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なお、本作ではマップ画面がありませんが、「叫ぶ」ことでバイオマスが共鳴し、大体の方向を知らせてくれます。
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ここまで紹介してきた『CARRION』ですが、ゲーム開始直後は培養槽を破り、訳も分からず捕食を繰り返し、成長してきたモンスターでした。ゲームを進めていく過程で、どのようにして研究所に持ち込まれたかを知る場面もあります。研究所にあるコンピューターを通して、過去の出来事を断片的に巡っていく中で、何が起こったのか。そしてどの様な最期を迎えるのか、気になる方は、過激なゴアを覚悟してプレイしてみてください。
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タイトル:CARRION
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日: 2020年7月23日
記事執筆時の著者プレイ時間:2時間
価格:2,050円