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「All Your Base Are Belong To Us」とは、1989年に登場したアーケードタイトル『ゼロウイング』の欧州版のセリフ。同作は日本の東亜プランが開発したシューティングゲームで、1991年に国内向けで家庭用機版、欧州向けにはメガドライブ(Genesis)版がリリースされていました。
『ゼロウイング』は国内外で評価が高いゲームでしたが、欧州のメガドライブ版がただひとつ違っていたのは……英語ローカライズがいい加減だったのです。
オリジナル版では「君達の基地は、全てCATSがいただいた。」だったセリフは、欧州メガドライブ版では「All your base are belong to us(あなた達の基地すべては私たちのもの)」とネイティブから見ると非常に稚拙な言い回しに。他にも奇妙な言い回しの英語訳が多いということで海外では1999年にネット上で話題となり、「All your base are belong to us(略してAYBABTUやAYBとも」はネットミームとして大流行しました。
2000年末頃、プログラマーでテクノバンドThe Laziest Men on Marsのパートタイムディスクジョッキーだったジェフリー・ロバート氏が、『ゼロウイング』のサウンドトラックをミックスした曲「Invasion of the Gabber Robots」を制作。2001年2月、この曲と同ミームのフォトショップスレッドに投稿されたさまざまな画像を組み合わせたミーム動画が作成され、英語圏で爆発的に流行しました。以降、「All your base are belong to us」はYouTubeのメンテナンス画面にパロディが登場するなど、多くの人の記憶に刻み込まれています。
日本のゲームを海外向けにローカライズするパブリッシャーにとって戒めのような出来事ではありますが、当時はGoogle翻訳もネットサーフィンも存在しない時代。『ゼロウイング』のローカライズ作業を、非常に限られた条件下で行っていたことは想像に難くありません。
皮肉なもので、ネットミームになったことで『ゼロウイング』は、いまだに世界中で知られる日本製ゲームの1つとなっています。