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2012年10月に発売された3DSソフト『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』は、ビジュアルを含めて作り込まれた世界観と、RPGのターン制コマンドバトルに刺激を与えるゲーム性、その双方において大きな成功を収め、瞬く間に人気作の座を勝ち取りました。
その支持の厚さに支えられ、2013年12月には新要素を加えた完全版『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』がリリースされます。更に、続編に当たる『ブレイブリーセカンド』や、スマートフォン向けの展開となる『ブレイブリーアーカイブ ディーズレポート』『ブレイブリーデフォルト フェアリーズエフェクト』も登場するなどシリーズ化を実現。様々な躍進を遂げました。
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そしてシリーズ最新作であり、初の据え置き機向けとなる『ブレイブリーデフォルトII』が、2月26日に発売日を迎えます。シリーズファンが待ち望んだ全く新しい『ブレイブリーデフォルト』が、いよいよ幕を開けようとしています。
今回は発売に先駆けてプレイする機会に恵まれたので、その体験を通じて、本作が持つ特徴や『ブレイブリーデフォルト』から受け継いだ魅力などを紹介したいと思います。シリーズファンだけではなく、未体験のユーザーも本稿で本作の一端に触れてみてください。
■『ブレイブリーデフォルトII』は、全力で「おかえり!」と言いたい作品
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シリーズ経験者の筆者としては、『ブレイブリーデフォルトII』は大変楽しみであり、少しだけ心配な気持ちにも駆られていたタイトルでした。シリーズ作が久々に新展開を果たすのは、もちろん嬉しい話です。しかし、期間が空いてからの新作は時に予想外の出来になるケースもあり、一抹の不安もありました。
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ですが、ゲーム開始直後のモニタの中には、既にもう『ブレイブリーデフォルト』としか思えない世界が広がっていました。
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暖かみがあり、細部まで描き込まれた作品世界。ジオラマのような箱庭を思わせる街やフィールドの数々。大陸を縦横無尽に飛び交う冒険譚。その全ては完全新規のビジュアルと世界なのですが、不思議と懐かしくお馴染みの空気が、そこに横たわっているように感じられます。
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その第一印象は、プレイを続けても揺らぐことはありません。それでも「どこかで違和感を覚えるのではないか」と、ほんの僅かな警戒心を抱き続けたものの……本作を十数時間ほど遊び続け、確信へと至りました。これは、期待していた『ブレイブリーデフォルト』の新作に間違いない──と。
会話の軽妙なやりとり、生活が見える住民たちの反応、コミカルとシリアスのほどよいバランス、鮮やかで美しい世界、緊張感と爽快感を合わせ持つバトル、可愛くも凛々しい主人公たち。その全てが刺激的で、なのに居心地の良さを感じる完成度でした。
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もちろんこれは筆者個人の感想に過ぎず、本作とは相性が合わないシリーズファンもいることと思います。据え置き機向けになり解像度が上がったことで、「イメージと違う」と感じる部分もあるかもしれません。
「誰もが納得できるシリーズ最新作」というハードルは想像以上に高いもの。ですが、一ファンとして期待に応えてくれた作品だと感じたことも、嘘ではありません。まずはその感想をあらかじめ示し、続いて個々の要素へと迫りたいと思います。
■絆を育む4人の主人公
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本作には4人の主人公がいます。まずは最初に登場する「セス」(名前変更可能)。漂流した末に「グローリア」と出会い、本作の物語は幕を開けます。
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「グローリア」は3年前に滅んだ「ミューザ国」の王女。奪われたクリスタルを取り戻すために旅立ちを決意し、セスもその旅に同行します。
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そしてアスタリスクを探している「エルヴィス」と、護衛役として雇われている「アデル」。この4人がクリスタルとアスタリスクを求め、5つの国を擁する「エクシラント大陸」を冒険します。
「エルヴィス」と「アデル」のみ事前に知り合っている関係ですが、昔からの付き合いというわけではありません。ゆえに互いの関係性は、本作の物語と平行しながら積み重ね、絆を育んでいきます。その過程が丁寧に描かれているので、プレイヤーは疎外感を覚えずに彼らの変化や成長を間近で感じ取れます。
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そんな彼らの性格や背景、関係性をより掘り下げてくれるのが「パーティチャット」です。これは特定のシチュエーションやタイミングで発生する会話イベントで、条件を満たした時に+ボタンを押すと見られます。
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キャラクターや世界を深く知りたい方は発生タイミングをお見逃しなく……と言いたいところですが、実は本編発生時に見逃しても、後で振り返ることが可能。メインメニューの「旅の記憶」から「パーティチャット」を選ぶと、見逃したものを含め、現時点で見られる全ての内容を再確認できます。
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「旅の記憶」では各章のイベントシーンやクエストなども視聴できるので、4人の絆がどのように育まれていったのか、システム面から振り返られるのも嬉しいポイントです。
■王道な物語と、不意を衝く意外な展開
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4人の主人公はいずれもしっかりとした造形に基づいた、厚みのあるキャラクターたちです。その前提を踏まえた上で、彼らの大きな目的は、世界が平和を取り戻すためのクリスタル奪還に他なりません。この目的だけを見ると、力強くも王道的な物語と言えるでしょう。
また彼らの行動・言動は人道や倫理から外れたりせず、多くのプレイヤーから支持されるであろう方向性を持っています。その意味でも、本作は王道的な物語を紡ぐ作品と称してよさそうです。
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かといって『ブレイブリーデフォルトII』の物語が平凡かと聞かれれば、そんなことは決してありません。敵として立ちはだかるアスタリスクの所持者たちは、金に目が眩んだ者や野心に駆られた者、自身の目的のために邁進する者など、いずれも千差万別です。
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浅ましさから崇高な願いまで、多彩な面を持つのも人間としての特徴です。強大な力を与えてくれるアスタリスクを手にすることで、そんな人間性が明確に浮き彫りになる──それは本作らしいドラマの描き方になっています。
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また、物語の幕開けである序章こそストレートな物語でしたが、第1章以降は意外な展開を見せてくれたりも。ネタバレになるため詳しくは伏せますが、予想外の方向に物語が転がることも少なくありません。
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そしてもうひとつ。水のクリスタルの奪還を目指す過程で「宿命を受け入れながらも、従わない」といった言葉が飛び出します。これは1作目に出てきた「従わない勇気を持つこと」というフレーズを連想させ、シリーズファンならば今後の展開が俄然気になるところ。この伏線がどのように回収されるのか──それはぜひ、実際に遊んでお確かめください。
■コマンドRPGに新たな戦略性を与えた「ブレイブ」と「デフォルト」
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『ブレイブリーデフォルト』シリーズが持つゲーム性を象徴するのが、コマンドバトル時に使用する「ブレイブ」と「デフォルト」です。イメージとしては「デフォルト」で力を温存し、「ブレイブ」で力を解放します。
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「デフォルト」を選ぶと「BP」が1貯まり、最大で3BPまでストック可能。そして「ブレイブ」を1回選択すると、1BPと引き換えに行動回数が1回分増えます。消費も1度に3BPまで可能なので、最大で「通常の行動分1回」+「3BP消費分の3回」、つまり計4回の行動を一気におこなのです。
しかも「デフォルト」を選択すると防御状態となり、被ダメージが少なくなる利点も。HPの減りを押さえつつ、後から一気に反撃……といったプレイも楽しめます。
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さらに「ブレイブ」にはもうひとつ特徴があり、“前借り”ができるのです。BPの貯蓄がない=0BPでも最大3回分の“前借り”が可能なので、バトル開始直後に4回攻撃を繰り出す、といった戦法もとれます。
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もちろん、“前借り”した分は返さないといけません。“前借り”分を返し終わるまで行動できず、順番が回るごとにマイナス分が1つずつ減っていきます。“前借り”するほど無防備な時間が増えるので、このシステムをどのように活かすか、プレイヤーの腕の見せ所です。
ちなみに戦闘が終わると“前借り”分はチャラになるので、仕留めきれる場合は“前借り”して「ブレイブ」するのがお勧め。戦闘終了で“前借り”を踏み倒せるため、ザコとの戦いを毎回ラッシュで締めくくることができ、心地よい戦闘の醍醐味を継続的に味わえます。
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ですが、「ブレイブ」と「デフォルト」があっても、決して楽勝のバトルとならないのが『ブレイブリーデフォルトII』です。敵が2~3体ならば“前借り”して初手で全滅させられますが、5~6体以上出る時は、よほど状況が整っていたりMPを使う攻撃を惜しげもなく繰り出さない限り、“前借り”分だけでは済みません。
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油断しているとザコ相手でもあっさり沈み兼ねないので、「ブレイブ」と「デフォルト」をしっかり使い分け、かつHP回復の手段や状態回復アイテムの確保もお忘れなく。
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余談になりますが、本作のプレイを始める際、真っ先に設定の変更をお勧めします。というのも、「ブレイブ」はコマンド選択だけでなくRボタンでも可能ですが、「デフォルト」は(おそらく誤操作を防止するため)基本操作ではコマンド選択のみ。
しかし「デフォルト」する機会もかなり多いため、Lボタンで「デフォルト」をする設定に変更しておくと、かなりスムーズにプレイできます。これだけで遊びやすさが大きく変わるので、ぜひご検討ください。また、ついでに「キャラクター移動」や「メッセージ速度」なども、自分好みのスタイルに変更しておきましょう。
■多彩なジョブとアビリティを組み合わせる醍醐味
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「ブレイブ」「デフォルト」と並んでバトルを左右するのが、「ジョブ」と「アビリティ」です。「ジョブ」はいわゆる職業で、攻撃魔法が得意な「黒魔道士」、徒手空拳のアタッカー「モンク」、回復のエキスパート「白魔道士」など、序盤だけでも様々なジョブが選択できます。
ジョブは2種類まで装備できるので、「黒魔道士」と「白魔道士」を組み合わせれば、攻撃魔法と回復をひとりでこなせます。また、敵を引きつける「ヴァンガード」と「白魔道士」にすれば、自分でHPを回復できる盾役の出来上がりです。
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ジョブを装備する恩恵は、武器防具の得手(ジョブによって得意な装備が異なる)のほかに、(取得している範囲で)自由に使える「コマンドアビリティ」が代表的な存在です。「白魔道士」なら回復魔法の「ケアル」や蘇生魔法の「レイズ」などがコマンドアビリティに当たります。
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「ブレイブ」を活用すれば、同じターンに「レイズ」「ケアル」「ケアル」と、蘇生からHP回復まで一気に行う、といった戦略も可能に。もちろんサブジョブの「コマンドアビリティ」を組み合わせることもできるので、例えば「ヴァンガード」で「すっぴん」の「しらべる」も使えます。
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また、セットにより効果が反映される「サポートアビリティ」も、戦闘の幅を広げてくれる重要な要素です。こちらも例を挙げると、「白魔道士」の「太陽の魔力」は昼間に限りステータスアップ&MP回復効果があります。そして「黒魔道士」の「月の魔力」は、逆に夜間だけ別のステータスアップ&MP回復効果を持ちます。なのでこの両方をセットすれば、昼でも夜でも行動毎にMP回復効果を得られるのです。
有用な組み合わせは、文字通りの意味で多種多彩。だからこそ自分好みの戦い方を模索できますし、戦略がハマった時の手応えは満点。「ブレイブ」と「デフォルト」を、「ジョブ」と「アビリティ」の組み合わせでどう立ち向かうか。その醍醐味がコマンドRPGをとことん奥深くしてくれます。
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ちなみに、序盤に取得すると便利なサポートアビリティのひとつが、「すっぴん」の「JPアップ系」です。「JPアップ」と「もっとJPアップ」を同時に装備すると、もらえるJPが1.7倍に。JPはジョブの経験値なので、修練がそれだけ早く進みます。育成に悩みそうな方はご一考ください。
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また、「黒魔道士」のサポートアビリティ「アスピル攻撃」も、自給自足したい場合は悪くない選択肢です。「アスピル攻撃」は「たたかう」で与えたダメージに応じてMPが回復するので、MPをこまめに使いたい立ち回りにうってつけ。「たたかう」を多用するため、「アスピル攻撃」取得後に物理アタッカーをメインジョブにするのがお勧めです。
■寄り道もまた楽し
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歯応えのあるバトル、王道かつ意外性のある物語、魅力的なキャラクターたち……。ここまでは本作の核となる部分の魅力について語ってきましたが、もちろん主軸ではない部分──いわゆる寄り道要素も、遊び甲斐のあるポイントです。
「サブクエスト」は必須要素ではありませんがそれぞれ報酬がもらえますし、その世界に住む人々と深く関われるので、スルーするには勿体ない要素です。中には主人公たちの関係や過去が窺えるものも。
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また、メインストーリーの目的地以外にも探索し甲斐のある場所が点在しています。個人的には、第1章の寄り道で見つけた「癒やしの杖」が大変重宝しました。これは、アイテムとして使うと「ケアル」の効果があるので、MPをセーブしつつ生存率が高まり、序盤のプレイを大きく助けてくれました。こういったアイテムが見つかるのも冒険の良さです。
ちなみに、メインストーリーで向かうダンジョンの中に隠し部屋が置かれているケースもあります。役立つアイテムを見逃さないよう、冒険を楽しむ心をいつでもお忘れなく。
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そして、寄り道といえば冒険の途中で出会う「希少種」モンスターの存在も外せません。いずれも見た目からしてただ者ではありませんが、実際の強さも折り紙付きです。
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うかつに挑んだところ、あっさり初全滅となりました。「希少種」を見かけてもすぐに挑まず、まずはセーブを!
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なお、いつでも難易度設定を変えられるので、プレイスタイルにこだわりがない方は難易度を下げてチャレンジするのもひとつの手。無論こだわり派の方は、鍛え直して再チャレンジといきましょう。
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新要素はもちろん、シリーズの特徴もしっかりと受け継いだ『ブレイブリーデフォルトII』。従来のシステムを導入しても、その魅力や空気感まで引き継げるとは限りませんが、本作はその挑戦に成功した例だと実感しました。
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懐かしいけど新しい。コマンドRPGの良さを独自に進化させた本作は、シリーズファンだけでなく新規ユーザーにとっても、どこか馴染みやすい手触りを与えてくれることでしょう。良質なゲーム体験を求めている方は「受け入れながらも、従わない」という冒険心を持って、『ブレイブリーデフォルトII』に挑んでみてはいかがですか。