任天堂が放送して大きな反響を呼んだ「あつまれ どうぶつの森 Direct 2021.10.15」。この放送で発表された無料アップデートと有料追加コンテンツを心待ちにしている読者も多いのではないでしょうか。放送をリアルタイムで視聴した筆者は、有料追加コンテンツの購入を決意しただけでなく、気がつけば新発売のamiiboカードまで購入していました。amiiboカードとは、任天堂のゲームと連動して遊びの幅を広げるICカードの名前です。
この記事では、今回の放送がいかに巧みなプレゼンテーションであったかに着目し、通常の紹介記事とは異なる視点で「筆者はなぜamiiboカードをポチったのか?」を分析していきます。放送で発表された新情報をそのまま紹介するものではありません。
◆新情報は怒涛のごとく
任天堂は放送に先立ち、アップデート内容の一部を事前に告知していました。過去作に登場する喫茶店とマスターの復活、配信予定が11月であること、新たなamiiboカードを発売すること、そしてそれ以外の発表が他にもあることです。
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放送が始まると、冒頭でまず無料アップデートの正式な配信日が発表されました。続いて、新要素である喫茶店が映し出され、マスターが登場します。ここまでは事前に告知されていた内容でした。しかし、喫茶店の紹介はわずか1分で終わってしまいます。
放送時間はあらかじめ約20分と予告されていました。他になにが発表されるのだろうと期待して見守ると、『あつまれ どうぶつの森』では未登場だった過去作のどうぶつ(NPC)たちが続々と復活するではありませんか。最初に登場したマスターに加えて、かっぺい、カットリーヌ、ハッケミィ、コトブキといった面々です。過去作のファンとしてはこれだけでも感涙ものですが、これはまだ始まりに過ぎませんでした。
さらに、料理、天井家具、一人称視点など、ファンが求めていた新要素が間髪を置かずに発表されていきます。発表のテンポは早く、それぞれの項目も内容が濃いものでした。例えば、「マイル交換で広がる島ぐらし」と題されたパートでは、4分足らずの間に11項目もの新要素が紹介されました。怒涛のごとく押し寄せる新情報を前に、筆者の頭はしだいに情報を処理しきれなくなり、冷静な判断をするのが困難になっていきました。
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◆天国と地獄
無料アップデート紹介の終わりに、耳を疑うナレーションが入りました。なんと今回が「最後のコンテンツ追加アップデート」だと言うのです。約1年半にわたって続いてきた『あつまれ どうぶつの森』のアップデートもついに終わるときが来ました。今回登場しなかったどうぶつには二度と登場の機会がないと知り、筆者はそれまでの歓喜ムードから一転して深い喪失感を味わいました。
最後に『あつまれ どうぶつの森』のロゴが表示されて、映像が暗転します。
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その直後、場面が飛行場に切り替わりました。会話の選択肢には見慣れぬ“お仕事に行く”の文字が見えます。このタイミングで再びナレーションが入りました。
「おや、なにか新しいことが始まりそうですよ。」
映像はなおも続きます。島々の上を飛んでいく飛行機に、これまで見たことのないゲーム画面。そして『あつまれ どうぶつの森 ハッピーホームパラダイス』のロゴと有料追加コンテンツの文字が表示されたのです。
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通常であれば、無料アップデートの終了と有料追加コンテンツの導入は必ずしも嬉しい報せではないでしょう。しかし、このとき筆者は深い喪失感を味わった反動で、新商品の登場を純粋に歓迎していました。一度天国から地獄に突き落とされ、再び天国(パラダイス)へと引き上げられたのです。
◆タイムリミットは40分
放送の後半では有料追加コンテンツの内容が紹介されていきました。このコンテンツは過去作『どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー』との共通点が多く、同作を知る筆者にとって目新しい内容はそれほど多くありませんでした。
しかし、映像の至るところに新しい家具やどうぶつが見え隠れするため、一瞬たりとも目が離せません。その上、しきりかべ、カウンター、はしら、家具みがきといった今作からの新要素や、『あつまれ どうぶつの森』本編との連動要素が紹介され、押し寄せる情報の波に再び頭の処理が追いつかなくなっていきます。
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そして、最後に有料追加コンテンツの希望小売価格が発表されました。価格に対する感じ方は人それぞれでしょうが、筆者はこれまでに紹介された内容でこの価格ならば十分に安いと感じました。
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『どうぶつの森 amiiboカード 第5弾』が正式発表されたのはその直後です。商品パッケージの中央には、プレイヤーに借金を背負わせることで悪名高いたぬきちが描かれています。同時に、これまでの映像にさり気なく映っていた新登場のどうぶつたちも発表されました。amiiboカードを購入すれば、新コンテンツの配信直後からゲームの中で新しいどうぶつに出会えるのです。
そして、最後の最後にamiiboカードの予約開始日が発表されました。予約開始日は放送の翌日。正確には、日付が変わる40分後でした。それを知った筆者は大いに焦りました。『どうぶつの森』のamiiboカードは人気が高く、過去に何度も品薄になったことがあるからです。筆者は有料追加コンテンツの価格を見て自分は得をしていると感じる一方、ゆっくり考える余裕は残されていませんでした。
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◆なぜamiiboカードをポチったのか?
ここまでの分析をまとめます。
情報を処理しきれなくなり、冷静な判断をするのが困難になっていた。
深い喪失感を味わった反動で、新商品の登場を純粋に歓迎していた。
自分は得をしていると感じる一方、ゆっくり考える余裕は残されていなかった。
放送を見てこのような心理状態になった筆者は、日付が変わると同時に公式ストアでamiiboカードを購入していました。同じ気持ちで購入した方がどれだけいたかは定かでありません。いずれにせよ、1人10個までの購入制限にもかかわらず、amiiboカードはわずか半日で品切れになりました。結果的に、筆者は欲しかったamiiboカードを無事手に入れることができたのです。
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後日、国内外の同時視聴動画を確認したところ、他の視聴者も概ね筆者と同様の反応を示していました。リアルタイムで放送を視聴するような熱心なファンであればあるほど、受け取った情報量や喪失感の反動も大きかったようです。
今回の放送は発表内容が充実していただけでなく、プレゼンテーションも巧みに構成されていました。筆者は映像を繰り返し見返していますが、そのたびに新たな発見があります。皆さんも無料アップデートと有料追加コンテンツの配信を心待ちにする間、新たな視点で今回の映像を見直してみてはいかがでしょうか。