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ユービーアイソフトは、「RAINBOW SIX SIEGE - UNDERSTANDING ANTI-CHEAT」と題した文章をSteamに投稿しました。
これは、アンチチートについての入門書のような位置づけとなっており『レインボーシックス シージ』でのチートに関する統計や対策、今後の計画までを記述したものとなっています。今後数ヶ月間に行われるアップデートの前に同社の活動に理解を求める目的もあり、要約がTwitterに投稿されています。
チートやチーターの定義
同社は、チート行為に係る者をいくつかに分類しており、対戦相手を倒すために飛行したりワープしたりするようなルールを無視する「露骨なチーター」、チート行為を自身の腕前のように見せる「コバートチーター」、チーターかどうか見極めを必要とする「オーバーパフォーム・プレーヤー」、高いランクに到達するためにチーターと一緒にプレイをする「ブースト・プレイヤー」、その他に「アカウント盗用者」、チートツールを作る「チートメーカー」や販売する「チートリセラー」を挙げています。
このように、チートツールの売買が行われる環境が構築されており、儲けることができる限りチートメーカーにとって『レインボーシックス シージ』は金儲けの手段になり続けてしまいます。本作はe-sportsなどを通じて高度なプレイに多くの視聴者が注目することや、プレイヤーがゲーム内で優位に立ちたいと考えるインセンティブがあれば、簡単に強くなるための市場が存在してしまうと同社は分析しています。
チート行為に関するデータについて
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このグラフは、UBISOFTが使用しているアンチチートソフトのBattlEyeのBANと同社データベースによるBANをまとめたもので、2020年からの2つのスパイクは2020年4月のパンデミックの初期段階とその学年の終わりの7月に実施されたものです。毎月1万人以上、2021年1月以降では10万人以上のチーターがBANされています。
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このグラフは、BattlEyeとデータベースのBANについて解説したもので、総数の約11%がデータに基づくBANになっています。同社によるとデータによる検出のポイントは、BattlEyeと並行して動作し冗長性として機能することで、多くの不正行為者を捕らえることができる点であるとしています。グラフを見るとBANが年々増加しており、同社の検知能力が向上するにつれて、より多くの不正行為者をBANできるようになったとのことです。
同社のアンチチート活動
同社のアンチチートチームは、チートの検出と検証を行っています。チート行為の検出後に違反したプレイヤーが実際に不正をしているかの検証が行われますが、さまざまな種類のチートが存在するためBattlEye以外にゲームから収集したデータやコミュニティからの報告、BattlEyeでは検出できないチーターに対しては独自の検出方法で対応しています。もし、新しい大規模なチートが報告されると、アンチチートチームに報告が届き、彼らは「どうやってそんなことをしたのか」という疑問について話し合います。続いて新しいアップデートが脆弱性を導入していないか、私たちが見逃している可能性がないかを検出し、検証や保護を追加することで、問題を修正できるかどうかを確認するとのことです。
チーターへのBANはBattlEyeのBANやデータのBANなど自動で行われますが、レポートや問題を調査し対処することも。検知と検出の場合と同様、不正行為者へのBANに万能の解決策があるわけではないので、できる限り順応性を高めるようにしています。過去2年間にはDDOS禁止、データ禁止、ボット禁止を追加しさらに多くのBANに取り組んでいるとのことです。
これらの対応以外に、『レインボーシックス シージ』は6年前に発売されたゲームであり、プログラムコードの多くが古くなっているため、アップデートによる新たな脆弱性の発生リスクを低下させる努力や、コードの暗号化、コードの一部を更新すること、サーバーサイドの検証、スレットインテリジェンスへの投資するなどを行っています。また、チートクリエイターやチートリセラーを追及する際には、法務チームが対応し停止命令、法的手続き、訴訟(Mizusoftのケースなど)を行ないます。セキュリティとアカウント作成にも目を光らせていますと文章中で述べられています。
今後の取り組み
今後は、ユービーアイソフトの複数のチームやデータサイエンティストと協力して不正検出を拡張し、データセットを強化することで正確なスコアに基づいてBANができるようになることや、来年中に対戦モードに参加するプレイヤーに認証を追加する取り組み、自動的にBANを行うアップデート、セキュリティエクスプロイトや脆弱性を報告したプレイヤーに評価と報酬を提供するバグバウンティプログラムの準備などが文章内で述べられています。
最後に、この文章はチート行為への通報を呼びかけ、新たなチート対策については、2022年2月10日に情報発信する予定であると文章を締めくくっています。