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一体型VRゴーグルの『Meta Quest2(旧:Oculus Quest 2)』をPCとの無線接続を可能にする『Meta air link』ですが、今回Air Link Framerate Insurance (AFI)という新機能が試験的に実装されました。これは接続中の信号が不安定になった時に作動し、欠落したフレーム間を補完することでスムーズな動作を可能とする機能で、不安定な通信環境下で有効な機能となっています。
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このAFIですが、従来から実装されている類似のフレーム間補完機能であるAsynchronous Spacewarp(ASW)の原理を応用したもので、ASWがフレームレートの低下時にフレーム間での連続性から補完がなされるのに対し、このAFIではヘッドセットとGPU間の相互通信により欠落した部分を補完する仕組みとなっています。VRでは通信状態の悪化によるフレームの欠落が生じた場合、欠落直前のフレームと現在の頭部の位置から連続的に補完されるのですが、結果として至近の対象や移動する物体などでは不自然な挙動となることがあり、VR体験の上でネガティブな結果をもたらします。
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ASWおよびAFIは共にこうした挙動を軽減するための機能でヘッドセットとGPU間の通信による補完がその基盤となっています。しかしながら、ASWではその原理上単発の通信スパイクには対応できても連続するフレームの欠落、言い換えれば不安定な通信環境では十分には機能を発揮できませんでした。そのため、AFIでは2者間のオンデマンド性を高めることでより安定した動作を実現しました。これにより、不安定な通信環境に起因するスタッターの発生を抑えることができよりスムーズで安定した動作を実現、結果としてVR酔いを起こしにくくすることができるとしています。
なお、あくまでオプションですがこのAFIを有効化する場合にはPC側の負荷軽減のためASWを無効化するなど設定の変更が必要となります。これらについてはこちらで確認することが可能です。