最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は日本時間2022年6月1日に発売されたSimplemoleのPC(Steam)向け種の進化ストラテジー『Territory: Animals Genetic Strategy』を紹介します。
『Territory: Animals Genetic Strategy』とは
舞台となるのは、緑豊かな大自然。自由気ままに暮らす動物たちの遺伝子を操作し、食性や繁殖力、新陳代謝などを強化。十分な個体数を確保した暁には近くに住む他種の動物を蹂躙し、着実に生存圏を拡大しつつ種の繁栄を目指すというゲームです。このゲームでは主人公となる動物たちをプレイヤーは操作することができません。プレイヤーができるのは、速度や攻撃力、あるいは個体の繁殖速度といったユニット全体の強化と攻撃目標の指示、あとはコロニーの防衛といった命令だけで、あとは配下の動物たちが命令を遂行してくれます。
プレイヤーは大雑把な命令を出すだけで、あとは個々のユニットにお任せという流れのゲームは、『Dwarf Fortress』や『Rim World』などが挙げられますが、本ゲームではそれほど細かいマネージメントは要求されません。敢えていうと『ポピュラス』に近い雰囲気となっています。
では早速、内容を見ていきましょう。
『Territory: Animals Genetic Strategy』の実内容に迫る!
ゲーム開始、少しシンプルすぎやしないかい?いやいや、ファミコン世代には十分です。
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まずはタイトル画面からです。うん、実にシンプルですね。オプションもキーコンフィグと音量調節、あとフルスクリーンとウィンドウモードの切替だけという潔さ。画面解像度やら各種エフェクトなどの調節項目もありません。無駄な要素は徹底的に省くスタイルでしょうか、私は好きですよ。
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次はシナリオ選択です。それぞれ異なるバイオーム、MAPサイズとなっており、勝利条件も確認できます。また、登場する動物種や後述する強化に必要なリソースの生産量、食料の豊富さに敵AIの傾向といった調節もこの画面で行います。
その後、シナリオによってはちょっとした動物たちの会話から始まります。
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ハリネズミさん「僕は近くに住んでいるけど、食べ物が被らない限り仲良くできるよねー。」
いいですね、実にほのぼのとした会話です。
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ウサギさん「いいね。」
とここで風向きが一転。
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ニワトリさん「けどよ、俺はお前のこと好きじゃないぜ。なにせ俺の草食うじゃん。」
おやおや?
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ウサギさん「じゃぁ戦わないとね。」
ああ、売られた喧嘩は買うタイプなのね、君は。さすがは弱肉強食の自然界、いかんせん殺伐とし過ぎではないですか?
現実の動物にとっても、当然食事は重要です。中にはある一定空間内に同じ食性の動物が同時に存在することもありますが、大抵は「食い分け」という形で共存することが一般的です。同じ草を食べるにしても、根本を食べる動物と葉先を食べる動物とであれば共存が可能な訳ですね。このゲームでも変異で調節可能とはいえ、食性の違いは食料の食い合いからの餓死を回避する上で重要です。周辺の動物が食べないものを主食とする。これだけでずっと長生きすることができます。ただし基本は「競合相手は敵であり、敵は実力を以て排除する。」のがこの世界の流儀、ぱぱっと戦って敵を減らすほうが手っ取り早いですが。
変異、それは万能の奇跡なのか?
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ゲームのUIは右側に自勢力の情報各種とコマンドが、下側には時間圧縮や勝利条件の表示、あとユニットの強化に必要な変異ポイントといったものが表示されており、シンプルかつ見やすい表示となっています。また、マウスオーバーによる詳細説明も表示可能です。
自勢力の表示は上から総個体数、戦闘可能な個体数、向こう30日での個体数の増加予想、最新の遺伝情報の普及割合、幼獣・成体・老齢の各個体数と空腹・通常・満腹の各個体数となっています。
その下、コマンドボタンは順にゲノム操作、詳細情報、攻撃命令、防御命令、新コロニーの新設、移動命令となっています。
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中でもゲノム操作はこのゲームの一番の特徴で、時間経過とともにゲノム操作に必要な変異ポイントが溜まっていき、これを用いることで各種能力を強化することができます。ゲノム操作の画面では、変異ポイントを消費することで各基礎ステータスを強化でき、さらに割り振ったポイントに応じてより変化量の多い特徴的な特性を獲得することもできます。他のゲームでいう「Perks」に近い存在ですね。
ただし変異による強化には上限があるので、無限に強化したり全特性の取得といったことはできません。ポイントの許す限り枠内での増減や特性のつけ外しは可能なので、適宜状況に合わせた修正は必須です。
ちなみにこのウサギさんを例にすると、草と花、それに昆虫をも餌とし、牙と鉤爪と角を有し、細身の体で素早く動き、エラい速度で繁殖できるスゴイウサギさんということになります。はいそこ、新種のバイオウェポンとか言わない。あくまで“可愛い”ウサギさんですよ?
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それに、このゲームだと突然変異というシステムもあります。画像の左下のメッセージで「ニワトリがキツネザルに変異した」とありますね。そして画面上部のキツネザルのアイコンがその現場です。ニワトリと戦っていたと思ったら、気がついたらキツネザルと戦っていた。うーん、前言撤回。この動物さんたちはその実新種のバイオウェポンなのかもしれません。
実は筆者は大の動物好きで、本業では動物に関わる仕事をしています。コモンマーモセットやニホンザルは現在進行系で、ウサギにモルモットにマウスにラット、あとイヌやブタも世話した経験があります。まぁ、でもこれほどエゲツない動物たちは見たことがありませんし、目の前で変異するなんてこともありません。
詳細情報では消費した餌の内訳などの情報が確認できます。食性の使い分けの判断材料や次のコロニーの展開場所の判断に使えます。
攻撃は最大の防御、やるときはやるのが動物です。囲んで叩いて磨り潰せ!
攻撃命令では敵勢力のコロニーを選択することで一定範囲の敵を攻撃し、防御命令では自コロニーの周辺に侵入した敵ユニットの排除が可能です。事前に彼我の被害予想なども表示されるので参考にしつつ右下のFightボタンでいざ開戦です。
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戦闘のコツは複数コロニーによる集中攻撃です。同一コロニーからの波状攻撃による殲滅も可能といえば可能ですが、攻撃側ユニットの空腹により攻撃力は漸減していきます。それに敵も別のコロニーから攻撃の間隙を縫う形での増援を繰り出してくることから、戦闘が長引く原因となりがちです。事前に敵目標の近くに自コロニーを複数設置し、攻勢時には攻撃命令と防御命令を同時に発令することで、兵站面の負担を押さえつつ敵に有効打を与えることができ、こうした工夫の積み重ねが勝利の鍵となります。
なお、攻撃に際して体の大きさが異なる動物へは専用の特性を取得しない限りは攻撃できません。「大は小を兼ねる」とはいかないわけです。前述の変異ポイントを使用することでMAP内に新しい動物を自勢力として登場させることができるので、小型の敵には小型の動物を、大型の敵には大型の動物をという具合に、後半のシナリオでは複数の動物を同時にマネージメントしていく必要があります。
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本ゲームの死因は戦死か餓死か老衰死か病死のいずれかです。そしてこの病死を抑える上で重要なのがこの新コロニーの新設です。それぞれの動物には最適な個体数というものがあり、これを超えると病気を発症しやすくなります。病気を抑える変異というのもありますが、一定の発展をしたコロニーは適宜、新コロニーを増やしていったほうが、テリトリーの拡大という点からもよいかもしれません。動物は基本的には自コロニーから一定範囲内をテリトリーとし、テリトリー内の餌だけを食料とします。新コロニーの新設は餌場の拡大にもつながるわけですね。テリトリーの範囲とテリトリー内の餌に関するデータは、上記の画像のように事前に確認することができます。
ちなみに、新コロニーは旧コロニーからの移民という形で行われ、かつ移動中は無防備となりますから、うまくその隙を付けば敵の勢力を大きく削ぐことも、あるいは削がれることもあります。また、移動命令は既存のコロニー間のユニットの移動に使用されます。
複数あるシナリオのうち、初めの方はチュートリアルということもあり、さっくりと数分で終わらせることができます。一方で後半のシナリオではAIも突然変異による複数の動物を登場させてくることから、こちらも対抗して複数の動物の使い分けが必須となります。個々の動物のマネージメントは単純でも、それが複数となるとなかなか難しいもので、悪戦苦闘しているうちに結構な時間を費やしていることもしばしば。これこそこのゲームの醍醐味と言えるのではないでしょうか?
ただ、強いて言うならば変異に応じてアイコンが変わるといった遊び心は欲しいなとも思ったりしますが、それ抜きにしてもこのシンプルさ、かえっていい味出しています。
対応機種:PC(
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2022年6月1日
記事執筆時の著者プレイ時間:4時間
価格:1,520円
¥6,490
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)