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2022年も相変わらず暑かったお盆シーズン。都内の国際展示場では「コミックマーケット100」が台風の中で開催されました。久々の夏コミかつ第100回の節目ということで、久々にビックサイトへ訪れた人も多いのではないでしょうか?
そんな夏コミのように、お盆に復活を果たしたイベントがあります。それが2年ぶりの開催となった「C4 LAN 2022 SUMMER」です。
この「C4 LAN」は好きなゲームを持ち込み、ひたすら遊び倒すゲームパーティイベント。2020年からは新型コロナウィルスの流行のため、中止と開催規模の変更を余儀なくされていましたが、2022年は開催地を静岡県に変えて実施されました。
しかし昨今では、ゲームのオンラインマルチプレイはもちろん、オンライン飲み会/ミーティングといった「実際に顔を会わせない交流」が非常にポピュラーなものとなっています。そんな中で、敢えて“ひとつの会場に集まってゲームをする楽しみ”とはどのようなものなのか……? その魅力を知るために、これまで「C4LAN」参加経験のなかった筆者が実際に会場に足を運んでみました。
ゲーム漬けの3日間!2年ぶりのC4 LANへ潜入
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今回の「C4 LAN 2022 SUMMER」が開催されたのは、静岡市にあるツインメッセ静岡。開催期間は8月12日から8月14日ですが、その間イベントは中断することなく、昼夜問わずぶっ通しで行われるというすさまじいイベントです。
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会場内ではデスクトップパソコンやモニター、ゲーミングチェアなどの貸し出しを行っているため、家庭用ゲームのみならずSteamを始めとしたPC向け作品もプレイが可能です。ハードコアゲーマーにうれしいハイエンドクラスなPCもレンタルできました。
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そして「C4LAN」で遊べるのは“ビデオゲーム”だけではありません。会場には「カタン」などのテーブルゲームを置いたスペースも用意。また、ゲーミングチェアブランド「DXRacer」や、アイ・オー・データ機器の主催するコーナーも併設され、様々な角度からゲーム文化の盛り上がりを体感させてくれました。
様々なゲームとプレイヤー達が大集合!でも、感染対策は?
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2年ぶりの開幕だけに、新型コロナウイルスへの対策は強く意識されていました。例えば、以前までのイベントではピザを配布していたそうですが、今回は人との接触機会を減らすため中止に。その代わりにカレーや丼ものなど、感染対策を考慮したフードメニューが販売されました。
また、今回のC4 LANではそれぞれの席の間隔をこれまでよりも広くとり、参加者たちの距離を離しています。さらにステージイベントの最中では、こまめにソーシャルディスタンスの確保を呼びかけるなどして、大人数が集まる密閉空間であることが常に意識されていました。
謎のランナーによる“開幕の儀”
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開場して約1時間30分ほど経過すると、初のステージイベントである「開幕の儀」が始まります。MCの岸大河さんと馬人さんによる進行のもと、鈴木ノリアキさんそっくりな“ランナー”が開幕を宣言。会場では特別PVも放送され、来場者やMCの方からは「長い」「これ何なの?」「この裾を引きずってるスーツ、今日買ったばかりでしょ」といった暖かい声が寄せられていました。
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ただゲームを遊ぶだけではない“濃い”参加者たち
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開幕の儀が終わった頃には、来場者たちのセッティングもすっかり完了。本格的にイベントの開始となります。
ゲーマーにとって「ゲームを遊ぶ環境」は大事なものでしょう。人によってはマウス/キーボードやモニターの位置を丁寧に調整したり、コントローラーの定位置やプレイする際の姿勢やイスの座り心地にも気を使ったりします。
いくら楽しいオフラインイベントと言っても、ここまでゲームを遊ぶ環境が違えば、遊ぶ際に支障が出るのでは……と思いきや、皆さん、個々人に割り振られたスペースを「自室か?」と言いたくなるほど、プライベートな空間に改造していました。
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特に多く見られたのが、ぬいぐるみを持ち込むゲーマー。「メイドインアビス」の人気キャラ「ナナチ」の人形を3つも並べていたり、ブイズ各種のぬいぐるみを配置したりなど、様々なお気に入りのキャラクターがパソコン上などに鎮座していました。
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様々なゲーム環境が披露されていた会場でしたが、来場者はただゲームを遊ぶ方だけに留まりません。マイクなどの機材を持ち込んで現地から映像を配信する方、動画編集に勤しむ方、さらには“ゲーミングのど飴”を配る方まで見られました。
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筆者が特に驚いたのは、「遺影」と「光り輝くお釈迦様のガジェット」を持ち込んだ方のスペース。こちらの方はC4 LAN参加の際は、ゲームソフトなどを遺影にして毎回飾っているそうです。お経のBGMまでしっかり用意しており、過去にはスタッフさんから音量について注意を受けたとのこと。だろうね。
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驚くほど華麗なMOD PCたちが集結!
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そんな中、会場内で大きな存在感を見せていたのが、きらびやかなMOD PCたちです。
MOD PCとは、ケースや内装を改造して美しいアート作品のようにしたPCのこと。C4 LANでは毎年MOD PCのコンペティションも行われるそうで、今回もさまざまなMOD PCが集まっていました。
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木材のディテールにこだわった高級感のあるMOD PCや、ケース全体にラメを手作業で配置したド派手なMOD PCまで、その種類はさまざまです。
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さらにパソコン内部にホログラムの初音ミクを投影したMOD PCも登場しました。ただ初音ミクが立っているだけでなく、ダンスもさせられるなど、すさまじい技術が満載。このこだわりっぷりを観るだけでも、会場に行く価値があるとまで感じました……!
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C4 LANはどこまでもプライベートかつゲーマー同士の“熱”を共有する祭典だった
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来場者にお話を聞いてみたところ、何年も前から「C4 LAN」に参加している方が多いように感じられました。特に常連メンバーとなれば、ほとんどが「顔見知り」の関係だそうです。
では、「C4 LAN」は仲間内のコミュニティーなのか?と問われれば、それは違います。参加者の中には淡々とひとりでゲームをプレイする方や、筆者のように初参加の方もいましたが、そうした人たちも拒絶されることなく、それぞれがイベントを楽しんでいました。
その根底にあるのは、それぞれが持っている“ゲームを楽しむ”という意識でしょう。楽しみ方は人それぞれ。故に遊ぶ作品も、与えられたスペースも好きなように選ばれたり、構築されたりしています。
しかし、不思議なことにそういった情熱は、ただ傍から見ているだけでもすぐに伝わり、伝播していきます。例え知らないゲームであっても、会場で他の人がプレイしていると思わずやりたくなってしまうのです。
そして、そんなときはマナーを守って声をかけてみれば、誰もがみんなその作品を熱く語ってくれるでしょう。何しろ“大好きなゲーム”の話なのですから……!
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こうして新しい関係と発見を重ねながら、3日間もゲーム漬けの日々を体験できる……。オンラインゲームなどのチャットとは異なる形で“ラフ”な付き合いを築いていけるこの体験は、オフラインイベントならではの魅力です。
もちろん、こうしたイベントを実現するためにはソーシャルディスタンスの確保などが必須となり、運営側と参加者の意識が重要となってきます。マルチプレイやビデオチャットなどオンラインでのコミュニケーションがさらに普及してきた昨今ですが、感染予防などをしっかりと心がけながら「オフラインならでは」の楽しさをもっと味わえる日が来ることを、期待したいところです。