最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2022年9月22日(Steamは2022年9月23日)にリリースされたランカースとスクウェア・エニックス開発のPC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けRTS『ディオフィールドクロニクル』を紹介します。
『ディオフィールドクロニクル』とは
RTS、それは刻一刻と変化する状況を相手に先手先手で布石を打ち、ときに相手の心理を読みミスを誘い、そして弱点を突く。正に賢き者のためのゲーム。私はいま、非常に興奮しています。なぜならRTSが大好きだから。筆者が小中学生の頃、『Age of Empires』シリーズをひたすら遊んでいたほどです。
ただ、残念なことに日本国内ではRTSはあまり見かけないジャンルで、主な作品を挙げるとすれば『伝説のオウガバトル』シリーズや『ギャラクシーエンジェル』シリーズなどがあります。ただ和ゲーでシリーズまで成長できたものは非常に少ないのが現実です。一方で海外に目を向けてみると、『ウォークラフト』シリーズや『スタークラフト』シリーズ、『Total War』シリーズに『Hearts of Iron』シリーズ、あと『Homeworld』シリーズなどなど様々な有名タイトルがひしめく人気ジャンルなのです。
そんな現状の中で、なんと国産RTSが登場する。それも新IPで、天下のスクエニがランカースとのタッグでなんてニュースを小耳に挟んだのですから、これはRTS好きとしてはマストバイ。速攻ウィッシュリスト入りという次第なわけです。
ということで、今回ご紹介するのはランカースとスクウェア・エニックス開発のRTS『ディオフィールドクロニクル』です。公式サイトを見てみると、世界観もしっかり練られた王道スタイルですし、グラフィックも綺麗で派手な現代的なつくりでRTSファンの興味をそそるものとなっています。兵科は全4種という潔さ、そのシンプルさはやはり遊びやすさ重点の意思の現れでしょうか?
RTSという国内では割りと珍しいジャンルに颯爽と現れた新星の実力、RTS好きの一人としてじっくりと見極めさせていただこうではありませんか。
『ディオフィールドクロニクル』の実内容に迫る!

まずは恒例のオプション確認から。このゲームは「Unreal Engine」を使用されています。うん、最近多いですね、「Unreal Engine」製のゲーム。そしてある項目を見つけてびっくりしました。「レイトレ」に「FSR」に「XeSS」。特に「XeSS」なんて新しいインテルのグラボの機能ではないですか。ちなみに、筆者のPCはRyzen 7 5800XにRTX3070Tiの組み合わせ。なので後ほど「レイトレ」を試してみようと思います。

次に明度調節に難易度設定です。…難易度ごとに何がどう変わるのか、教えてくれると親切なのですが。これで回収不能のアイテムとかイベントとかあれば、本当に泣きたくなりますよ。
そしてゲーム開始、と行きたいところですがここで軽くストーリーの説明を。これがよく練られたいいものなんです。さすがは大御所スクエニの面目躍如というべきでしょうか。

本作の舞台は戦乱に揺れるロウテイル大陸の近海に浮かぶディオフィールド島。オルティナ王国が治めるこの島は、文字通り大陸の戦禍の対岸にいたのです。ロウテイル大陸の戦乱は、大陸で元盗賊のトルベルト・シュヴィアなる男が国を興したことが発端となります。やがてシュヴィアは初代皇帝となり、興した国もシュヴィア帝国を僭称。統制のとれた兵と近代魔術と呼ばれる兵器を駆使して、破竹の勢いで周辺国を制圧、支配していったのです。

この事態を受けて、周辺各国はロウテイル連合を結成するも連戦連敗。敗戦を重ねて領土を削り取られる状況でした。ですが事ここに至って連合に大国ヴェルマ連邦が参加する形で参戦すると、戦況は膠着することとなりました。

ここでディオフィールド島に注目が集まります。シュヴィア帝国の強さの原動力である近代魔術、これは素質あるもののみが使用できた古代魔術と異なり、誰でも使用できるようにした「汎用化」された魔法なのです。そして、その発動に必須の地下資源であるジェイドがディオフィールド島には豊富に眠っていることから、図らずもオルティナ王国も対岸の戦乱に巻き込まれつつある状況にあるのです。


しかし、オルティナ王国も一枚岩ではありません。王政府の諮問機関であり、10人の元老からなる元老院。彼ら元老を後ろ盾に、王国の貴族は派閥を作ってはなおも熾烈な競争を繰り広げている最中。まさに外憂内患のこの状況ですが、王国はどうなるのでしょうか。


さて、このような時勢の中で、ゲームは緊迫したカットシーンから始まります。森の小道を疾走する馬車と、それを追う騎兵。馬車に乗るのは敏腕秘書官ぽいインテリ眼鏡の女性一人。が、荒れた路面に馬車は事故を起こして停止、その弾みに御者も失神して、まさに絶体絶命の窮地に。とそこに駆けつけた槍騎兵と剣盾兵士と短剣使いの一行。戦い慣れした様子の3人を前にあっけなく殲滅される追手たち。


いいですね、切られた敵から噴き出る血しぶき。奥ゆかしいですが趣のある描写です。筆者としては派手派手なエフェクトも爽快感と言う点ではありだとは思うのですが、見続けているとちょっと疲れるというか。まして自分や敵すら見失うようなど派手なのはね。



軽いカットシーンの後で戦闘パート開始。勝利条件や敗北条件が表示されます。
戦闘はRTSということで、移動や攻撃もリアルタイムで進行します。敵の視界に入るとこっちに寄ってきてくれるので釣り出して各個撃破。視界は背面側だと狭いので回り込んでバックアタックによる奇襲なんてこともできます。

キャラには「HP」「EP」「TP」という数値があり、HPはキャラクターの体力を、EPはスキルの発動に必要なものでMP的なもの、TPは強力な必殺技に相当する“魔煌玉”の発動に必要なリソースとなっています。スキルには各種状態異常を誘発したりするものが多く、敵のスキル発動を妨害したりノックバックさせたりと多くの場面で有効です。ただし、発動ごとにクールタイムがあるので調子に乗って使いまくると、いざという時に使用不可で押し切られることも…。
それと、スキルは即時発動かつ行動選択時には時間も停止するので危機感はそれほど高くありません。
とりあえずチュートリアルなのでサクッとクリア。


馬車に乗っていたのはインテリ眼鏡ことロレイン・ルクシア嬢。傭兵としての腕を見込まれた3人は、元老院が1席のウィリアム・ヘンデ公の私設騎士団に招かれることとなります。


主人公たちが所属することとなったこの騎士団ですが、本ゲームでの成長要素の一つとなっています。クエストクリアによって各種ランクが上昇し、一定ランクごとに要素がアンロックされたりします。


少し進めるとロン毛(狙撃兵)や名家のお嬢様(魔術兵)やらトントン拍子で仲間が増えていきます。…ところでお嬢様、戦闘ボイスで「壊れちゃった」とかなんとかおっかないこと呟くのやめていただけませんかねぇ。

こういうゲームには必須のマップギミックもしっかりあります。占領することで通行路が確保できる「櫓」や攻撃すると一定時間後に派手に爆発する「火薬ダル」とかですね。ちなみに、こういったマップギミックの発動にはキャラを選択した上でしっかり選択しないといけません。一定範囲内にいるだけでは占拠が進んだりはしないのです。

敵を倒すと、一定確率で各種フラグメントが出現します。取得するとHPやEP、TPなどがそれぞれ回復するアイテムなのです。ですが、このあたり判定が少し微妙で、隊列を組んで移動すると列の隙間をしばしばすり抜けたりすることも。ギリギリの状況ですり抜けると「もう少し手を伸ばせ!!」と心のなかで叫んだり。

キャラの育成はレベルアップ時に入手できるAPを使用したキャラクターごとのアビリティ強化や、ミッションクリアなどで入手できるSPを使用した兵科アビリティの強化などがあります。加えて、武器ごとにパッシブスキルやアクティブスキルが設定されているので、単純に攻撃力だけの一択にはなっていないのがポイントかと。特にキャラ固有アビリティには自動回復やら攻撃時FP回復といった超強力なものもあるので、計画的な育成が重要ですね。

戦闘パートはサクサクと軽快なテンポで進行していきます。概ね1ステージ4分から5分程度です。1.5倍や2倍速といった機能もあって遊んでいて快適です。それに、戦闘開始前の準備パートでは必要な画面に簡単に行けるようなメニューとなっていたり、全体的に遊びやすさに重きをおいている印象があります。




グラフィックも現代的です。ただ、前述のレイトレを有効にすると、時折黒いザラザラとしたノイズが出たりしますし、「本当に必要な機能なの?」と思ったり。それに拠点パートでのキャラモデルもどこか違和感を覚えるような。どこかのっぺりと言うか浮いているというか。別に3Dでなくても2Dでも十分なのでは?
あとシナリオ。これは個人的にはアッサリしていて好きです。戦時下ということもあり、ちょくちょく死人が出るわけですが非常に淡白で。「任務中に矢食らって死亡。敵の攻撃か狩人の流れ矢として処理。宗教勢力の不興による粛清という噂も」なんて具合なのです。個人的には戦記物っぽくていいのですが、正直掘り下げが浅いなんて意見も出るのではないでしょうか。メインキャラ以外の絡みも少ないですしね。
最後にボリュームですが、これは不足ぎみですね。兵科は4種、武器による差別化はあるのですが実質9種程度。それに戦闘パートもメイン4人に副官4人の計8人までで、敵は波状攻撃こそすれども大規模戦闘とは程遠いです。カットシーンで後ろをウロチョロしているあの兵士たちは一体どこへ?
全体的に評すれば非常に遊びやすい作品です。RTS初心者には入門編としておすすめですね。ただし本格的なRTS経験者には少し物足りない部分や粗もありますから、ぜひ続編に期待したいところです。
タイトル:『ディオフィールドクロニクル』
対応機種:PC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:PC
価格:7,678円
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