先週末は『スプラトゥーン3』リリース後初のフェス開催で、三つ巴の戦いを制したのはフウカの「道具派」でした。和風、アラビアン、ブラジリアンが混ざり合った「蛮殻ミックスモダン」に気分が盛り上がったのではないでしょうか。
街を回転する山車やサンバのリズムといった「祭り」の要素が全面に出ていますが、新型現実ではコロナウイルスの影響でこの2~3年ほど休止していたものがほとんどでした。今年はようやく一段落して、祇園祭やリオのカーニバルが復活し、年に一度の楽しみを待ちわびた人で大賑わいでしたね(もちろん対策をするのが前提ですが)。
衣装や山車の用意、振り付けや演奏の準備など、その年の祭りが終わればすぐに翌年の準備に取りかかり、また一年頑張れる。祭りは準備期間のワクワクが欠かせない、本作では「ヨビ祭」や装飾の設置風景でそれを表現しています。
世界にはあっと驚く奇祭に満ちあふれていますが、そのなかには『スプラトゥーン』もかくやというカラフルに染まるお祭りがあります。全身びしゃびしゃになること必須のエクストリームなフェスをご紹介します。
トマティーナ/スペイン
バレンシア州のブニョールで8月に行われます。「トマト祭り」とも表記され、内容はひたすら熟れたトマトを投げ合うだけ。時間はわずか1時間きっかりですが、約100トンあまりのトマトを一気に消費。トラックから投入されるトマトを我先にと奪い合って、広場に集まった2万人が真っ赤に染まります。もちろんこのイベントのためにわざわざ育てるものなので、もったいないなどと無粋なことは禁句です。
収穫祭の一種とも紹介されていますが、元々は単なる野菜市場での乱闘騒ぎだったそうで、始まってから約70年しか経っていません。今のように定着するまでには禁止令も出されたとか。それでもやめられなかったのは、非日常の開放感がやみつきになったからでしょうか。「祭り」の起源とは案外こういう単純なきっかけなのかもしれませんね。
聖フェリセス・デ・ビリビオの巡礼祭/スペイン
同じくスペインのリオハ州アロから、こちらは紫のワイン合戦です。こちらは白Tシャツが参加者の印で、会場となる山の上に登った後、バケツや水鉄砲も使ってTシャツが完全に染まるまでワインを掛け合います。そのまま街中に戻って闘牛鑑賞や食事会を楽しみます。この祭りは隣町と争っていた境界線を確認するために岩山に登ったことが起源とされ、『スプラ』とどことなく通じるところがあります。リオハ州はワインの名産地でもあり、試飲会の方を目当てにしている人も多いそうです。
イヴレアのカーニバル/イタリア
およそ2月に行われるカーニバルはキリスト教における復活祭前の肉食禁止に由来し、禁食前に大いに飲み食いする習慣がお祭りに発展したものです(カニバリズムは語源が異なるので注意)。派手な衣装や仮面をするのは、普段意識している平民や貴族などの階級を隠して全員平等に楽しむためでもあります。
ブラジルと並ぶカーニバルの本場イタリアでもイヴレアは変わり種。敵味方に分かれてオレンジを使ったガチな「戦い」が行われます。暴政を敷いて初夜権を行使しようとした悪役君主に民衆が蜂起した事件を模しており、暴君側の「兵士」に選ばれた人は怒れる民衆チームの標的となって、投げつけられるオレンジを一身に浴びなければいけません。一応アーマー支給はあるようで、反撃も可能です。それでも3日間続けて行うのですから、相当な覚悟がないと耐えられないでしょう。
ちなみにこのオレンジはシチリアから取り寄せていて、基本的に廃棄品をもらってきます。食べられないので参加の際はご注意を。
ホーリー祭/インドなどヒンドゥー教圏
見た目のカラフルさから「リアルスプラ」とも言われるようになった、悪魔払いを起源とするヒンドゥー教の祭りです。悪鬼に泥や汚物を投げつけると退散できるという伝説から、それを模した色粉を盛大にぶちまけて春の到来を祝います。ヴェネツィアのカーニバルと同じく、カースト制度の厳しいインドであっても、この日は階級関係なく無礼講で楽しめる、社会的にも意味があるイベントです。現在は鮮やかな蛍光カラーが主流になり、もちろん水鉄砲での噴射もOK。人も建物も全部染料まみれになる熱狂が繰り広げられます。
ただし、現地の日本総領事館から注意喚起も出される位には「荒れる」場所もあるそうです。行ってみたい方は治安情報や自衛策などの確認を入念に行いましょう。
このホーリー祭、近年では世界のパリピに注目され、「The Festival of Color」として音楽フェスに取り入れられました。欧米各都市で人気を博しており、日本でも西葛西インド祭りの一部として、または横浜で開催されていました。
どちらも今年度の予定は未定のようですが、リアル『スプラ』を国内で楽しめる絶好の機会。ゴーグルとTシャツを用意して参加してみてはいかがでしょうか。
※UPDATE(2022/10/03 7:22):本文中の誤字を修正しました。ご指摘ありがとうございました。