PS4/ニンテンドースイッチ向けに2022年10月13日発売予定のアクワイアのステルス泥棒アクション『神業 盗来 -KAMIWAZA TOURAI-』。(Steamでは10月12日より配信中です)
本作は、PS2向けに2006年リリースされた『神業 -KAMIWAZA-』のリマスター作品です。主人公は、プレイヤーは娘の難病を治すため一度は足を洗った盗賊家業に再び身を投じた“海老三”。“海老三”と娘の“すずな”、そして仮面の盗賊や女盗賊、火付盗賊改など、癖のある登場人物が物語を彩ります。
リマスター版では、高解像度化(フルHD)やテクスチャのリファインなど、グラフィック面を大きく向上。オートセーブ機能の追加や各種チュートリアルなど、ゲームをより遊びやすくなる調整が行われています。
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本稿では、16年ぶりの復活を果たした『神業 盗来-KAMIWAZA TOURAI-』のプレイレポートをお届けしていきます。
物語は10年前の出会いから始まる!
本作の舞台となるのは欧米の国々が日本に開国を迫り、農村では飢饉の被害が深刻になっている江戸時代後期のこと。プロローグは本編の10年前、雪がちらつくとある年の正月から始まります。“海老三”は殺しが御法度義賊集団「銀鴉衆」の若手盗賊と初仕事に参加、兄貴分である“藍之助”から基本操作を教わっていきます。
ここで“海老三”は幼い少女を見つけ、“藍之助”の指示で安全な場所へと移すことに。しかし、屋敷の寝屋では仲間の盗賊たちが、御法度のはずの家人の殺害を行っているのです。このままではこの娘も殺されてしまう、そう考えた“藍之助”は“海老三”に娘を連れて逃げるように命じます。
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こうして無事に逃げ延びた2人。尊敬していた義賊集団の信じられない姿を見た“海老三”は盗賊を廃業、“すずな”と名乗った娘を養うために大工として働きはじめます。気がつけば10年の歳月が流れ、成長した“すずな”は父を慕う本当の親子のような関係に。しかし、この平穏な日々もやがて終わりを告げます。“すずな”が重い病に罹り、倒れてしまうのです。
医者が言うには病気を治すためには高価な薬が必要とのこと。しかし、その日暮らしが精一杯の親子にそんなお金があるはずはありません。しかし、金を手に入れる宛はあるのです。そう、盗賊として。葛藤の後に娘の命を救うため、再び義賊として再起することを決意した“海老三”は、地域の屋敷に忍び込んでいくつかの金品と薬を盗み出します。
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そして10年ぶりの仕事の後、なぜか仮面を付けている“藍之助”と再会し、2人は義賊「藍三団」として活動することに。地域の盗賊を牛耳る盗賊の元締めである銭湯を紹介されます。ここから親子を巡る数奇な物語が始まっていくのです……。
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華麗に素敵にすべてを盗みだせ!
兄貴に紹介された銭湯「盗人之湯(白波湯)」は、本作の中心となる重要拠点。仕事を購入できる“ネタの市”、技を教えてくれる“おやっさん”、盗品を換金する“換金楼”などの施設があります。また、銭湯を仕切る“元締め”がおり、彼女を怒らせないようにしなければなりません。
ゲームの流れとしては“ネタの市”仕事を購入し、獲物を盗み出して“換金楼”などに納品すること。もちろんターゲット以外の物を盗むこともできますし、仕事を受けていない状態でも物を盗むこともできます。しかし、手当たり次第に盗んでいては盗品を高く売ることはできません。
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本作のジャンルはステルス泥棒アクション。いかにして「見つからずに華麗に盗み出すのか?」が重要です。しかし、当然ながら高価なお宝のある場所には、大勢の警備が見張っているでしょう。比較的NPCの視界は狭いのですが、それでも侵入が難しい場所もあります。そこで盗みを可能にするのが泥棒アクションです。
本作最大の奥義「ジャストステルス」は、NPCが“海老三”を視界に入れた瞬間にボタンを押すことで、姿を消す大技。ステルス中は敵がこちらを見失うだけでなく、重いものや大型の獲物でも一撃で盗める「素敵スティール」が発動できます。さらに華麗な盗みで得た獲物は、より価値が高くなるのです。
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さらに華麗な盗みを披露することで「素敵点」を獲得できます。このポイントは“おやっさん”から技を教わるために使用するリソース。素敵点は依頼の結果や、獲物が詰まった風呂敷をいかに華麗に納品するかによっても稼ぐことができます。素敵点を稼ぐためにも、泥棒アクションなどを駆使して華麗な仕事を狙っていきましょう。
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また、盗みを補助してくれるさまざまなアイテムも存在。“海老三”が背負っている「風呂敷」も、ときとして武器にできるのです。
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義賊であっても盗賊は盗賊!決して見つかるな
本作のユニークなシステムとして「人相書き」があります。仕事中に人に見つかってしまうと、町にある人相書きの似顔絵がだんだん“海老三”に似てくるのです。人相書きのレベルが上がると町で怪しまれるようになるだけでなく、最悪の状態では家まで押しかけて捕まってしまいます。
似顔絵レベルを上げないために大切なのが「手ぬぐい」です。ゲーム中いつでも手ぬぐいを被ることで変装し、見つかってもなかなか素顔が特定されなくなります。とは言ってもあまり連続で見つかると危険ですし、攻撃を受けると変装が解けてしまうので要注意です。
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なお、人相書きは時間経過で少しずつレベルが下がっていきますが、上がりすぎた時の救済策も用意されています。町中にある人相書きの看板を盗めば少しずつレベルが下がりますし、民衆を助けるような依頼を達成すれば人相書きを破り捨ててくれるのです。状況が悪くなりすぎると救済用の仕事も登場します。
もし仮に同心に捕まっても、その場でゲームオーバーではありません。捕縛されると地域にある「無間牢獄」へと送られ、プレイヤーはそこで、脱獄するか、刑期を終えるまで待つかを選べます。ちなみに刀などで斬られて体力が尽きればその場でゲームオーバーなので要注意。
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もちろん、見つからずに仕事ができればそれが最善です。しかし、ゲームが進めばエリアの警戒レベルが上がったり、見つかりすぎると応援が来たりと、だんだんと難易度は上がっていくのです。
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その腕は娘のため?それとも民のため?
さて、再び悪の道へ身を投じた“海老三”ですが、あくまでその生き方は「義賊」でなくてはなりません。公式サイトでも紹介されていますが、そもそも銀鴉衆は「金持ちから奪い、貧しい民へ分け与える」ことを信条としてきました。
ゲーム内では主人公の家がある「零村(こぼれむら)」の中に「民箱」と呼ばれる施設があります。ここに盗んだものを入れると民衆からの「藍三団」の人気が上がっていきます。大衆人気が上がればゲーム内でさまざまな嬉しいことなども起こるので、できれば上げていきたいところです。
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しかし、忘れてはいけないのは娘“すずな”の治療です。病気の薬は町で購入できますが非常に高価で、しかも最低でも1日1服は飲ませたいもの。ちょっとした仕事の稼ぎでは、望むだけの量は手に入りません。お金はアイテムや手ぬぐい、風呂敷といった泥棒アイテムの購入にも必要。さらに、元締めへ定期的に貢がないとペナルティも発生します。
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娘の命を救うために再び外道に堕ちた“海老三”の生き様には、さまざまな葛藤が生じます。しかも“藍之助”兄貴や謎の女怪盗、火付盗賊改方のお頭など、さまざまなキャラクターが登場し、小地域を巡る物語は複雑に絡み合っていきます。ゲームはマルチエンディングなので、その生き様の結果はぜひ御自分の目で見届けてください。
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なお、ゲーム内では「忘備録」で次にするべきことを参照できます。もちろんストーリーを追わずにある程度自由に遊ぶこともできますよ。
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ここまで紹介してきた『神業 盗来-KAMIWAZA TOURAI-』。どこかおかしく華麗な盗賊アクションを堪能できるゲーム性と、義賊としての道に悩みながら道を選ぶ物語性という、オリジナル版からの魅力はそのままに、さまざまな仕様変更でより遊びやすくなっています。
特にグラフィックの向上によって、オリジナル版で少し探しづらかった一部の「獲物」が見やすくなっているのがとても好印象。また、読み込みの速さもゲームの魅力に没頭するための改善としてとても嬉しい部分です。素敵スティールなどの際に、ときに面白い画面になるのは変わらない本作の魅力ですね。
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ゲームや物語としての面白さはもちろん、一癖も二癖もある個性的な登場人物たちの活躍や陰謀など“アクワイアらしい”魅力も満載。PS2でオリジナル版を遊んだ方も、これから初めて遊ぶという人も満足できる一作だと思います。
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『神業 盗来 -KAMIWAZA TOURAI-』は、PC(Steam)版は2022年10月12日より配信中。PS4/ニンテンドースイッチ向けには10月13日発売予定です。
なお、弊誌ではリマスター前の『神業』についても記事を掲載しています。あわせてご覧ください。
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