ゲーム開発者であるTANAKA U氏は、2004年に公開されたアクションシューティング『艦砲射撃!』をHTML5に対応させ、同氏のサイト「NEXTFRAME」にてChromeブラウザ向けに仮公開しています。
本作は2004年に公開されたアクションシューティングゲーム。山なりの起動で発射される砲撃を使いこなし、攻撃を避けながら敵艦の撃沈を目指します。ポイント割り振りにより戦艦の強化要素も備わっています。
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元々はFlash Player向けに公開されていた作品であり、2018年にも新ステージが追加されるなど人気の高い作品でしたが、2020年末のサポート終了に伴い普通の環境ではプレイできない状態となっていました。このHTML5移植版はPCのGoogle Chromeにて動作し、その他のブラウザやスマートフォンでは動作不可能とのこと。TANAKA U氏はツイートにてバグ報告を求めています。
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そこでこの度Game*Spark編集部では、TANAKA U氏にインタビューを敢行。なぜ今本作を移植したのかについてや、代表作である『マテリアルスナイパー』移植の可能性などについてお聞きしました。
――なぜ今、HTML5への移植版を公開されたのでしょうか。
TANAKA U swf2jsというFlashコンバーター(※注 FlashのコンテンツをほぼそのままHTML5化するもの)が非常に高性能だったからです。長らく復活させてなかった行動の通り、HTML5化に強い意欲があったわけではありません。しかし、swf2jsを試したところあまりにあっさり動いたので細かい修正をしてリリースする気になりました。
「いいツールあれば復活させてみようかな」と思ったのは、このツイートに「懐かしい」「遊んだ」というリプがたくさんついていた事ですね。気まぐれで、復活を試みてみようかと思いました。ただ、そう強い意思があったわけではなく、手間がかかるようなら間違いなく諦めてたと思います。
――2020年末にFlashのサポートが終了後から移植を検討されていたのでしょうか。
TANAKA U多少は検討しましたが、2年間何もしなかった通り強い意思はありませんでした。フリーランスとしての仕事もあり、古いFLASHゲームに大きなコストをかける意欲もあまりなかったためです。同じ時間をかけるなら、Unityなどで新しいゲームにかけるべきだという気持ちもありました。
――移植の対応はどれくらいの期間かけられたのでしょうか。
TANAKA U1日数時間で2~3日です。swf2jsコンバーターも完全ではなく、ゲーム側に多少の改修が必要でした。現在もゲームにはバグが残っており、ちまちまと対応を続けています。せっかくリリースしたし全部潰して正式版にするかという気持ちです。
――移植される際、最も大変だったことがあれば教えてください。
TANAKA Uとくにありませんでした。swf2jsの完成度が高く、セーブや描画周りがほぼ完璧に動作していたので、キー入力や音声周りの挙動差のある部分を修正しただけです。また、swf2jsの開発者であるToshiyuki Ienagaさんが、わたしのツイートを見て直接swf2jsを更新してくださったため、さらに負荷は小さいものになりました。
現在も挙動差がある部分の修正要望を随時しています。すでに強力ではありますが、「完璧」な再現力をもつコンバーターになって欲しいですね。
――『マテリアルスナイパー』など他の代表作のHTML5の移植可能性はあるのでしょうか。
TANAKA Uマテスナは一応動いてはいますが、調整に手間がかかりそうで億劫がっています。ただ、swf2jsの改良が進めばノーコストで移植できる可能性があるので、Toshiyuki Ienagaさんによるswf2jsのブラッシュアップに期待しています。私もそれに協力をしているところですね。
――最後に、ひとことあればお願いします!
TANAKA U艦砲射撃を一番最初に作ったのは18年前です。今回リリースして、一番多かったコメントは「懐かしい」でした。「懐かしい」という事は昔このゲームを遊んでくれて、それを今でも記憶にとどめてくれているという事です。これは素直に嬉しいですね。
今回、自分でもプレイし直しましたが「今でも楽しめるな」と思ってしまいました。あの頃のプレイヤーさんは懐かしいついでに、また1プレイして頂きたいですね。
――ありがとうございました。
『艦砲射撃!』は『艦砲射撃!甲 改』として、Webサイト上で公開中です。