Striking Distance Studiosが開発し、KRAFTONが12月2日に発売したサバイバルホラーアクション『The Callisto Protocol』。コンソール版発売中止に加え、PC版のリージョンロックやXbox国内版の発売中止など、 ある意味で2022年のゲーム業界に名を刻むタイトルとなりました。
本稿では、運良くプレイの機会に恵まれた筆者が、3時間ほどのプレイを基に『The Callisto Protocol』のゲームプレイ部分を中心としたプレイレポートをお届けします。なお、後日にはGame*Sparkレビューとしての記事も掲載予定です。
シューターよりも近接戦闘が主体。グロ表現はバッチリ!

本作の主人公であるジェイコブ・リーは、とある理由から惑星「カリスト」の中にある刑務所「ブラックアイアンプリズン」に収監されてしまいます。しかし、そこで目を覚ますと辺りは地獄絵図に。ジェイコブは、刑務所からの脱出を目指して生き延びます。

ゲームプレイとしては、シューターではなく近接戦闘がメインとなっています。敵は基本的に殴りかかって攻撃してくるため、左スティックを左右に倒して避け、隙ができたところを数発殴るという戦闘の繰り返しとなります。避けるタイミングによる成否などは設定されていないので、敵が殴ってきそうになったらとりあえずスティックを倒しておけば簡単に避けられる印象です。

ただ、単発攻撃なのか連続で攻撃してくるかはギリギリまでわからないので、敵が殴っている時に攻撃してしまうとダメージを受けてしまいます。一発のダメージも大きめなので、集中して敵の動きを見ないと死んでしまうこともしばしば。少し特殊な操作であるため、慣れるまで何度もジェイコブの死体を拝む羽目になりました。スティックを下に倒すことで、ブロックも行えます。避けと違いダメージ自体は発生するものの、小ダメージに抑えることができます。

敵を倒したあと、死体に踏みつけを行うと、お金や回復アイテムを落とします。お金はマップに点在するショップで使うことができ、武器や装備のアップグレードが行なえます。攻撃アクションも増えていくため、ゲームが進めば進むほどアクションの幅が広がりそうです。


プレイ中にはハンドガンも入手できました。入手できる弾数は少ないので銃メインで戦うのはなかなか厳しいですが、近接戦闘の補助的に使用します。他にも、連続攻撃後、敵にレティクルが表示された際に素早く撃つと追撃できる「戦略的な照準システム」があります。こちらは簡単に繰り出せる割にはかなりカッコよく、敵の頭や腕が飛ぶので爽快感も抜群です。

複数の要素は登場するものの、戦闘システムは概ねシンプルな印象を受けました。直接敵を殴ることでの爽快感は確かにありますし、「戦略的な照準システム」もよくできていると思います。一方で『Dead Space』と比較すると、リソース管理の楽しさがほとんど失われているのは気になるところ。今のところはただ戦闘を繰り返すだけになってしまっているので、新たなシステムの登場も期待したいです。
次はグロテスク表現について注目していきましょう。CEROで発売できないんだから、さぞ凄まじいんだろう……と期待していましたが、たしかに素晴らしい仕上がりであると感じます。敵を殴ると高確率で腕がもげますし、銃で撃てば頭が吹っ飛びます。ここまでは他のゲームでもよく見られる表現ですが、本作はそれ以上を超えてくるのです。


主人公死亡時には時折、特殊死亡アニメーションが再生されるのですが、顔の半分がもぎ取られたり、腕を引きちぎられて苦痛にもがく様子が映されたりなどなど……思わず顔をしかめてしまうようなものが用意されています。


回転する歯車に敵を投げてミンチしたり、NPCが身体を真っ二つにされて内臓がはみ出ていたりと非常に強烈な表現が多く見られます。本作は近年のゲームでもかなりハイレベルなグラフィックですが、その表現力も相まってインパクトは大きいです。
『Dead Space』はシューターやリソース管理が上手ければ死亡アニメーションを見る機会は少ない(逆に言えば、見たければわざとミスしなければならない)ですが、本作はそれなりの頻度で死亡するため、死亡アニメーションを楽しみやすいと感じました。

これらの表現は「確かにCEROレーティングを通して発売するとかなりオミットされたものになってしまいそう……」と少し納得しました。しかしそれはそれとしてPC版は関係ないはずなので、結果的にKRAFTONの対応が納得いかないものであることに変わりありません。
『Dead Space』を彷彿とさせる作品。しかし実際はあのインディーゲームに近いプレイ感

先程名前を出しましたが、本作はEAで『Dead Space』シリーズを開発したスタッフたちが制作した作品です。設定がSFホラーということもあり『Dead Space』を連想するのは避けられなませんが、実際にプレイしてみると他のゲームのことが頭をよぎります。
そのゲームは、今年発売されたカンフーアクションゲーム『師父―Sifu―』です。体幹システムはありませんが、カンフーを習得しているのではないかと思うほどの華麗な避けは『Sifu』の主人公が見せた上段避けを彷彿とさせました。近接主体である点もよりその印象を後押ししました。本作はグロいSF版『Sifu』と言っても過言ではない……というと言い過ぎですが、とにかく『Dead Space』とはほとんど別物なプレイ感です。
『Dead Space』の精神的後継作であると見られがちですが、実際のゲームプレイはかなり異なるものとなっていました。同じものを期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、近接戦闘による爽快感は確かにありますし、非常に凝ったグロテスク表現は目を見張る物があります。
暴力的なゲームが好きな方は一度触ってみる価値のある作品だと思いますが、残念ながらKRAFTONが正規購入ルートを絶ってしまったため、日本ユーザーは遊びたくても遊べないというのが現状です。日本語字幕・吹き替えにまで対応しているのに配信されないのは非常に悲しい事態と言えます。