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TVゲームとしてもお馴染み、幅広い年代から親しまれている「人生ゲーム」ですが、その歴史に意外なストーリーがあったことをご存じでしょうか。起源となるボードゲームは、“聖書の教え”によって作られていたのです。
◆人生を導く“善悪”の物差し
「人生ゲーム」の原型が生まれたのは、1860年のアメリカ。最初は『THE CHECKERD GAME OF LIFE』という名前の盤ゲームで、古くからある“西洋碁”こと「チェッカー」をアレンジした内容でした。
ただし独創的だったのが、ポイントを獲得できる「善行」のマスと、デメリットを与えられる「悪行」のマスが用意されていたことです。
実はこのゲームを発案したミルトン・ブラッドレーという青年は、敬虔なキリスト教徒。聖書の教えにもとづき、人生における善と悪の価値観を表現したボードゲームが、『人生ゲーム』の原点だったのです。
玩具メーカー「タカラトミー」の公式サイトによると、その後ミルトンは『THE CHECKERD GAME OF LIFE』の大ヒットをもとに、ミルトン・ブラッドレー社を設立。そして1960年に、創業100周年記念として『THE GAME OF LIFE』というゲームを開発します。
ここで『THE CHECKERD GAME OF LIFE』は、ゲームデザイナーのルーベン・クレマー、ビル・マークハムの手によって大きく生まれ変わることに。ルーレットや立体的なマップ、“紙幣”の導入など、現在の「人生ゲーム」と共通するような要素が出揃いました。
なお、『THE GAME OF LIFE』がもたらした転機は、ゲーム性だけではありません。ここでボード上に反映される“人生”は、聖書の教えというよりも、当時のアメリカン・ドリームを反映したものだったからです。
◆日本独自の発展を遂げた「人生ゲーム」
そしてその後、1960年代後半にタカラトミー(当時は「タカラ」)が日本に『THE GAME OF LIFE』を輸入。直訳として「人生ゲーム」というタイトルが付けられたのでした。
さらに1983年に発売された3代目「人生ゲーム」から、日本の社会に合わせた独自の形に進化していくことになります。
たとえば、昨年10月15日に発売された新作「人生ゲーム ゴールデンドリーム」の内容を見てみましょう。そのマスには「メタバース」「推し」「ライブ配信」といった昨今話題のワードが並んでおり、「ドローンパイロット」というこれまでにない職業カードも登場しました。
ゲーム性はお馴染みでありながら、その時々の流行に合わせて内容がガラッと変わるのが『人生ゲーム』の面白さ。いつの時代でも、夢中になってしまう秘訣がそこにあります。
その一方、「人生ゲーム」はTVゲームとしても人気を博し、プレイステーション・ニンテンドーDS・Wiiなど、さまざまなハードで人気作が発売されてきました。
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すべての原点だった1860年から、およそ160年。これから「人生ゲーム」がどのように発展していくのか、楽しみですね。