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Selamat siang! 筆者は今、インドネシアのジャワ島中部にあるジョグジャカルタに滞在しています。筆者が世界で一番愛する都市です。1,000年以上存続するジャワ文化圏の中心地で、今も歴史的な光景が繰り広げられています。ここに移住できないかと本気で考えていた時期もあるほど、筆者はジョグジャが大好きです。
今回はそんな古都の景色を紹介しつつ、現地のガジェットショップで見つけた珍品……もとい、名品を買ってそれをレビューしていきたいと思います。
古都ジョグジャカルタにて
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日本ではなぜか知名度が高くない、インドネシアの古都ジョグジャカルタ。
京都市と姉妹都市提携を結んでいるこの都市は、共和国の中にある絶対王政の地域です。というのも、ジョグジャカルタ特別州のスルタン(国王)ハメンクブウォノ10世陛下は父君から州知事を世襲しています。そして将来、ジャワ王朝初の女性君主になると見られているプンバユン第一王女殿下は、何とご自身でたこ焼き屋を経営されるほどの親日家。これらのこともあり、ジョグジャカルタは日本人にとっては非常に過ごしやすい場所でもあります。
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そんなジョグジャの食文化は、非常に独特です。最も知られているのが「グドゥッ」というもので、これはジャックフルーツをパームシュガーとココナッツミルクで煮込んだもの。かなり甘めのツナ缶みたいな感じです。
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現地には「Gudeg Yu Djum」という、2016年にこの世を去ったユ・ジュムさんという女性が創業した飲食チェーン店があります。少女時代から地道に働き続けて少しずつ身代を大きくしてきたという「インドネシア版おしん」のような人ですが、ジョグジャに滞在した日本人が「Gudeg Yu Djum」の味に魅せられてすっかり虜になってしまう……ということもよくあります。
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いや、マジで美味いんですよ、ここのグドゥッ!
というわけで腹ごしらえを済ませたところで、オンラインバイクタクシー配車アプリ「Gojek」を呼んで出かけてみましょう。行き先は『Jogjatronik』という、スマホ・PC・ガジェットに特化したショッピングモールです。
ガジェット専門ショッピングモールへ
ある特定の分野に特化したショッピングモールというのは日本では珍しいかもしれませんが、インドネシアでは割と当たり前。
とりあえずここに来ればPCゲームをするためのガジェットが手に入る、という商業施設なのでインドネシアを初めて訪れたばかりの外国人観光客にとっても利用しやすい……と言いたいのですが、実はそうでもなかったり。Jogjatronikは上の階に行くエスカレーターが壊れて停止していたりして、何だかカオスな雰囲気が漂っています。ザ・場末という感じです。
そんな中で、筆者はガジェット探し。建物内の店舗はそれぞれ別の経営者のもので、それ故に「ちょっとお客さん、こっち来なさいよ!」という声が四方八方から聞こえてきます。
「お兄さんお兄さん、Razerのゲーミングマウスが安いよ! 寄ってきなよ!」
Razer? いや~、興味ないなぁ。筆者は有名ブランドの製品ではなく、インドネシア国内メーカーの激安品を探しています。地元のゲーマーも完全無視をしているような、少々訳アリの製品であれば尚良。
しばらく探してみたら、ありましたよ! 不思議な不思議なゲーミングキーボードがっ!!!
Dキーの擦れっぷり
REXUSという地元メーカーの「Battlefire K9TKL」というゲーミングキーボードが、今回の主役。
棚の目立つところに立てかけられていたものですが、まず何がいいって新品のはずなのに箱にかなりのダメージがあるという点。開封されているのはまぁやむを得ないかもしれませんが、それにしたってこれ誰かが何度も開け閉めしただろ!? ってぇ具合のダメージです。
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そしていざ開封してみると、まず目立つのがDキーの擦れっぷり。「D」の表示がほぼほぼ消えかけています。
「ねぇおばさん、これって中古でしょ?」
「ノー! いわゆるアウトレットというもので、中古じゃないわ。ほら、保証書がついてるから故障があっても安心よ」
「……まぁ、仕方ねぇか。それでおばさん、このキーボードいくら?」
「25万ルピア(約2,300円)」
「お…oh,gitu(本当に!?)」
に、25万ルピア……。これは高いのか安いのか? こっそりスマホでtokopedia(現地のネット通販)を開いて調べると、何と15万ルピア(約1,400円)ほどでたくさん売られてるじゃないですか!
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ただ、実店舗とネット通販じゃ前者のほうがどうしても高くなりますし、それに外国人が値切り交渉しても結局は負けちゃうんだよなぁ……。仕方ねぇ、ここは25万ルピアで買っちまおう!
激安ゲーミングキーボードでプレイする『Anno 1800』
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というわけで、謎のゲーミングキーボード「Battlefire K9TKL」の所有権は筆者に移りました。
早速これをロスメン(行商人宿)に持ち帰り、試してみます。まず試してみるタイトルは『Anno 1800』。え? どうしてFPSとかじゃなくて、よりにもよってアクション性皆無のタイトルを選ぶかって?
それは、『Anno 1800』が「タイプライターで事務作業をするようなゲーム」だから。タイプライターの打鍵感に近いメカニカル式キーボードと、結構相性いいんですよ『Anno 1800』。ああ、自分は今植民地を経営するための書類を作ってるんだな、みたいな。
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「Battlefire K9TKL」はメカニカル式キーボード……というわけではもちろんありません。ただ、安い作りが良い方向に転じて「パコッ、パコッ、パコッ」と妙に軽快な打鍵感があります。スペースキーなんかはグラついているんですが、これがちょっとだけガタの来ているタイプライターだと思えば『Anno 1800』の世界観に没頭することができます。
なぜか中国製
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とはいうものの、この「Battlefire K9TKL」を真面目に評価すればやはり「値段相応」。見た目はどうにか様になるけれど、実際使ってみたら「明確な打鍵感があるだけマシ」といった具合です。
「Battlefire K9TKL」を記事を書く作業にも使ってみましたが、Nキーを押したらなぜか「ん。」と余計な「。」まで出てしまいます。こ、これは製品の不良なのか、それともソフトの問題なのか……? そんな感じの欠点もありますが、まぁこれは愛嬌というやつです。外見と製品名はなかなかカッコいいため、インテリアとしては最適と言えます。
ただ、気になるのはこのREXUSというメーカー、公式サイトでは「インドネシア国民の誇りとなるようなメーカーを目指します」とか書いてるのに、実際の製品は中国製なんですよね……。これってTKDN(国内部品調達率)は当然皆無に近いでしょうから、輸入関税がかかってるはずでは。
公式のポリシーと実態がどうもチグハグな感じも否めないローカルメーカーREXUSですが、ゲムスパ的には期待大です。今後もガジェットマニアが腰を抜かすような製品をどんどん排出……もとい、輩出していただければ幸いです! 今回取り上げた製品も後日読者向けプレゼントキャンペーンとして案内していく予定なので、お楽しみに!
¥11,980
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)