『ダブルドラゴン』シリーズといえば、テクノスジャパンが『熱血硬派くにおくん』シリーズと共に「ベルトスクロールアクション」というジャンルを形作った作品です。
リアル等身のキャラが繰り出す重い打撃の爽快感、少ないボタンで多彩な技を繰り出すことができる操作、強い武器を手にして敵をまとめて圧倒したときのカタルシスなど様々な魅力がある『ダブルドラゴン』ですが、本稿で紹介する最新作では少し違う形のアプローチを繰り出してきました。
本稿では、Secret Baseが開発し、7月27日にModus Gamesなどが発売したシリーズスピンオフ作『ダブルドラゴン外伝 ライズ・オブ・ザ・ドラゴン』のプレイレポをお届けします。記事中のボタン表記はニンテンドースイッチ版準拠となります。
ローグライトで生まれ変わるダブルドラゴン!
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本作は、これまでのシリーズと異なりローグライト要素を採用した作品です。核戦争によって崩壊した世界が舞台の前日譚となっており、プレイヤーはニューヨークを支配する4つのギャングを壊滅させることが目的です。
基本的なゲームプレイはこれまでのベルトスクロールアクションと同じで、横長のマップを進み敵をひたすら倒していくというものです。キャラクターは初期段階では4人の内からメイン・サブの2人を選ぶことができ、それぞれ異なる性能を持っています。筆者はマリアンをメインに選択しました。
Yボタンで通常攻撃を行えるほか、敵を倒して貯めるSPゲージがあれば、Xボタンで特殊技を繰り出すことができます。ベルスクらしく、方向キーやジャンプの入力によって多彩なバリエーションの技を繰り出せます。Aボタンで行えるドッジロールの仕様はやや特殊で、転がった後に攻撃を繰り出します。Rを押せばダッシュすることができ、そのままジャンプや攻撃につなげることができます。
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特徴的なシステムは、2人のキャラを入れ替えて戦えること。片方がピンチになった際などにLボタンを押して交代すればキャラを変えられる上に、控えに入ったキャラが一定分のHPを自動回復してくれるのです。敵のコンボにはめられることが多いのはベルスクの常ですが、交代したら衝撃並が発生し敵を退けられるので、そういった状況を打破できるのが好印象です。
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本作でもっとも気持ち良いのは、やはり特殊技です。マリアンを例に挙げると、爆発範囲が広いロケットランチャーや敵を吸い寄せて爆発する地雷などまとめて敵を倒す能力に優れており、普段であれば倒すのに時間がかかる敵を一掃できるのは確かな爽快感があります。特殊技で3人以上同時に倒すと、報酬として回復アイテムがドロップします。そのため、積極的にまとめて撃破を狙いたくなります。
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マリアンの性能は拳銃を持っているため遠距離攻撃が得意で、特殊技も先述したようなまとめて倒せるものが多いため非常に強力なキャラです。デメリットとして敵が落とした武器が使えないというものはありますが、本作において遠距離攻撃ができるのは基本的には有利に働きます。
一方でサブとして選んだビリー・リーやジミー・リーはステージによっては使うのが難しめ。拳銃を持った敵が登場するOKADAステージでは、近距離しか為す術なくやられてしまうことも……ステージ間でキャラを変えることはできないので、強化や操作への慣れが必要になります。
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2人とも死んでしまった場合、コンティニューのためにお金が必要になります。お金は道中で敵を倒したりオブジェクトを壊したりすることで入手できます。しかし、クリア後のアップグレードにもお金を使用するので、なるべく残しておきたいところです。
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可愛らしくも見応えのあるドット絵や、過去作アレンジもふんだんに盛り込んだBGMは必見。頭身が低くても打撃の気持ちよさはしっかりとありますし、BGMも激しい肉弾戦を鼓舞してくれるようなものが多く揃っています。
硬直で戦いにくい?プレイしていて気になったところ
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本家『ダブルドラゴン』とはやや違った体験ではありますが、面白い部分や気持ち良い部分はたしかにあります。しかし、気になる部分が多いのもまた事実です。まず、ダッシュや着地などあらゆる動作後の硬直がかなり長く、操作できない状態で殴られてしまうということが発生します。
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着地の硬直が長い割にはジャンプをたくさん要求するマップなどもあり、戦いにくいと感じることがよくあります。ダッシュ時や攻撃時などは別アクションでキャンセルが可能ですが、長い硬直自体がストレス要素であることは変わりありません。
またダッシュも一般的なベルスク操作のスティック2連続倒しではなくRボタンを押しながらなので、攻撃やジャンプへ繋げるのがやや難しくなっています。
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ローグライトとしてもあまり旨味を感じません。強化は与ダメージやHPの増加、得られるお金の増加や走るときのブレーキ減少など有用になりえるもの多いですが、全体的に地味で「うまくビルドを組めた」というローグライト特有の面白さよりもプレイヤーの腕前やベルスクの立ち回りの上手さに依存するところが多い印象です。また1プレイの時間が長いため、ゲームオーバーでやり直しになるのが辛いという問題もあります。
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とはいえ、自分で細かく難易度を調節できるので、その設定次第では気軽に楽しめそうです。難易度を下げるとクリア時に入手できる「ゲームトークントークン」という報酬が減ってしまいますが、トークンによって解放できるものの中でゲームプレイに直接作用するのは残り9名のプレイアブルキャラの解放のみで、その他はテクニック解説のTIPSやサウンド、アートなどのおまけ収集要素となります。そのため、あまり難易度を下げることに抵抗感を抱かなくても良いでしょう。
操作が重いからこそのまとめて撃破したときのカタルシスや細かく設定できる難易度、完成度の高いドット絵やBGMなど、確かに見どころのある作品ではあります。『ダブルドラゴン』ファンの方やベルスクの腕に自信のある方はプレイしてみても良いかもしれません。
ベルスク初心者には『リバーシティガールズ』のほうがオススメしやすいスパ……。
対応機種:PC(Steam)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:ニンテンドースイッチ
発売日:2023/07/28
記事執筆時の著者プレイ時間:2時間
価格:各種プラットフォームで異なります。スイッチ版以外現在10%セール実施中。