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押忍! こちらはゲーマー養成道場なり!
現代、多種多様なゲームタイトルが販売され、売り方も遊び方も変化し続けています。その中には、ただ一周クリアするだけでも難しいタイトルや、たまたま自分のプレイスタイルと合わなくて止めてしまうタイトルもあることでしょう。
しかしながら、美術品も文脈を知らなければ鑑賞出来ないのと同じことで、ちょっとプレイしただけで「これクソゲーじゃん」と決め付けてしまうのは早計というもの。どんなゲームにも対応できるような“勘”を養うために、ジャンルを横断してゲームが上手くなるコツをひとつずつご紹介していきましょう。第二回に取り上げるのはこちら……
最強のゲーマーになるために:パズルゲーム編
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パズル、謎解き、知恵の輪、テスト、アパチャーサイエンスセンター……皆さん頭の体操をする準備はよろしいですか? 数学がこの世に産まれた瞬間から、いや、場合によってはもっと昔から、人類は問いに悩まされ、頭を掻きむしり、そして答えを閃いてきました。
「うわ~~~わかんね~~~」といってキーボードやパッドを窓の外に放り投げたアナタも、本稿を読んで解き方や向き合い方について参考にしていただければ幸いです(尚、今回は対戦用の落ちものパズルなどは除き、シングルプレイのパズルゲームに絞って考えるものとします)。
1.インタラクトできるポイントを確認する
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先日配信された『COCOON』を見てみましょう。
本作はビー玉みたいなオーブの中に世界があり、その世界ごとオーブを動かしつつ、オーブから出たり入ったりして謎を解いていくパズルゲームです。ネタバレになるから伏せますが、某SF映画を思い出してワクワクしますね!
いわゆる「入れ子構造」という作りになっており、赤の中に緑を入れてから赤を運ぶ……といったマトリョーシカみたいな解き方が主な解法となります。
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スクリーンショットを見てみましょう。画面に映っているオブジェクトは、主人公と追従する虫を除くと4つになります。
オーブを置ける台座とその上のオーブ
オーブの内外を行き来できるポータル
オーブが(1)に置かれている間に起動するジャンプ台
虫を琥珀に戻してしまうおジャマな機械
まず何よりもパズルゲームを遊ぶときに大事なのは「ゲーム内でどこをいじることができるか」というのを見定めることです(正確には上記の④はプレイヤー側からはインタラクトできませんが、向こうはずっと左右に動いています)。いじれるポイントは、レバー、ボタン、床、台座などなど。人や生き物の場合もあるかもしれません。
当然ながらデジタルゲームというのは、インタラクション(相互干渉)によって成立するメディアですので、プレイヤーが「動け」と命じなければ動きませんし、デザイナーも「これは動かせるようにしよう」と思って用意していなければ動きません。
まずはそのステージを動き回り、何が置いてあるのかを見て回りましょう。それらひとつひとつのギミックが一体何のためにあるのかを考えるのは、そのあとです。
2.動かせないポイントを決める
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続いて、『Patrick's Parabox』を見ていきましょう。
こちらも再帰性をテーマにしたパズルゲームで、絶対にデジタルでしか再現できないところが魅力の作品です。
基本は箱を押して他の箱ごと押したり、他の箱の中に詰めたりするいわゆる「倉庫番」です。しかし、先程紹介した『COCOON』のように、箱の中に箱を詰めて後から取り出すといった仕掛けもあれば、箱の外と箱の中がまったく同じ世界であり、完全に動きがリンクしているため、箱の中の右端から外に出ると、箱の外の左端からニュッと箱に入ってくるといった、何とも頭がおかしくなりそうな仕掛けが盛りだくさんのパズルゲームです。
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スクリーンショットを見てみてください。今回は主人公以外に動かせるのはたったのふたつなので、そこまで難問ではありませんが、例題にはぴったりかと思います。
①の緑のブロックは、見て通り上以外の三辺が開いており、この空いている辺が他のブロックにぶつかると、ブロックが中にニュッと入ります。ニュッとね。
また、②の黄色いブロックは、右の辺以外は開いておらず、ゴールを示すキャラクターの顔が描かれております。つまり、あの中に入ったらクリアというわけです。
こうして考えると、まず間違いなく①の右辺を②の左辺に押し付けて、①の中に②を入れてしまうのは確定です。絶対に動きません。しかし、この誰でも見ればすぐわかる解法の第一段階というのを大事にしてください。
この第一段階を頭の隅に置くか、メモでもしておかないと、この先で詰まったときに「あれ? これがおかしいのか?」とすべての工程を疑う羽目になります。いわゆる「ローラー作戦」というやつで、まあそれで解けることもありますが、物によってはとんでもない時間がかかってしまいますし、あんまりアハも感じられません。
「絶対にここは動かない」という点を、たとえそれがどんなに当たり前な工程だったとしても、確実にチェックしておいてください(まあ、たまにそれが間違ってたりもするのが、人間の恐ろしいところですけども……)。
3.ゴールから逆算して考える
今度は古の名作『Portal』を引き合いに出します。
優秀なパズルというのはゴール地点がよく見えているものです。それはまるでラダトームから見た竜王の城のごとく、くっきりと!
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上のスクリーンショットの通り、『Portal』のこのレベルではEXITが最初から見えております。この場合だと、いずれかのスイッチを押してドアを開ける必要がありますね。ということは、スイッチを探さなければなりません。スイッチが見つかったなら、今度はそれを押せばいいだけのことで……
先程の「②動かせないポイントを決める」をお尻から考えようということですね。パズルには必ずゴール地点があるはずなので、オチのひとつ前も揺るがないはずです。ゴールが見えている場合は絶対に有効な思考法と言えるでしょう。
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この考え方ですが、ゲームを遊ぶだけでなく、物語を作る上でも非常に有効な手段と言えます(筆者はマーダーミステリーなどのゲームシナリオも制作しております)。
「湖に死体が浮かんでいるようなシーンを描きたい」というアイデアがあるとして、そのシーンが成り立つひとつ前に、湖に死体を運んでくるシーンが必要なわけです。では、死体を運ぶのは車を持っている人物なのか、それとも屈強な男なのか……と、どんどん書くべきシーンが決まっていくわけです。どんなシナリオでも使えるテクニックではありませんが、ひとつ手法として持っておくのは良いのではないでしょうか?
4.解けた人にヒントを聞く/攻略を見てしまう
身も蓋もないですが、まあ、それもありでしょう!
たとえば、クリアまでに30問くらいのパズルがあるゲームだとして、2~3問くらい答えを見たとしても、90%は楽しんだことになりますから、充分ではないでしょうか?
結局のところ、ゲームは現実のテストと違って、その問題が解けなかったことによって評価が下がったり査定に響いたりするわけではありませんから、程好く解けるものだけしゃぶっても何の問題もないわけです!
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ゲームを遊べる時間は限られています。もしかしたらしょうもない答えかもしれません。イライラする前に攻略を見ちゃうのは手です(まあ、ゲームライターという仕事をやっていると、自分以外にまだ誰も遊んでないパズルに出くわすこともあるんですけどね……)。
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以上、ゲーマー養成道場でした。パズルゲームと向き合う力が養えたなら幸いです。次回もお楽しみに! 押忍!