「自由度の高いゲーム」とは、オープンワールドのような巨大なものだけを指すのではありません。攻撃力が10%上がるだけのスキルでも100個ぐらい装備したら、こんなボス一瞬で終わるのになあ……という小さな願望。それが本当に叶うというのも、プレイヤーにとっては最高の自由ではないでしょうか。
というわけで今回は、2023年10月に正式リリース予定のローグライクACT『MISTROGUE ミストと生けるダンジョン』。その開発を手掛けているPolyscape様のご厚意により、正式版にて追加される各種コンテンツが実装されたバージョンを先行プレイし、気になる内容を紹介します。
『MISTROGUE ミストと生けるダンジョン』とは!?
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本作は、Polyscapeが開発したローグライクACT。ある人物を追って「生けるダンジョン」に辿り着いた主人公・ミストは、まるで意志を持つように変化するダンジョンに潜り、集めた装備やアイテムで組み上げたビルドで魔物と戦いながら真相へと迫ります。
また、本作は日本語を含む複数言語に対応しており、フルサポートによるコントローラー操作も可能です。
本作の主要な敵キャラをワンポイントで紹介!
◆洞窟の人狼
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最初のダンジョンの最奥に君臨しているボスモンスター。その巨大な肉体から繰り出される攻撃力、プレイヤーが振るう剣先を容易に回避する機動力で翻弄し、手下の子犬たちと連携しながら一撃離脱を繰り返す魔物界の巡洋戦艦です。しかし、後にチートビルドを完成させた主人公(筆者)によって、わずか7秒で殺戮されるようになります。
◆堕天使
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2つ目のダンジョンに登場する中ボスモンスター。スタン効果のある強攻撃をはじめとした複数の全体攻撃を駆使し、ダメージを受けると自動回復するというチート性能。さらには、睡眠魔法を使うモブをボス部屋に忍ばせるなど卑劣極まりない策士ですが、やがて存在そのものがチートと化した主人公にワンパンで浄化されます。
◆アサシンキャット
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中盤以降に出現するモブモンスター。攻撃力自体はそれなりですが、攻撃の出の速さと手数の多さでプレイヤーを圧倒し、瞬間火力で秒殺する小柄で高速な暗殺者です。基本的に複数匹がセットで投入されるので苦戦は必至。が、そんな状況にあって全体攻撃をワンパン級に極めた主人公により、100匹以上が血祭りに上げられます。
新要素「スキルブック」がすでにチートだった件
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本作は『風来のシレン』などに代表される『不思議のダンジョン』シリーズから強い影響を受けた作品であり、入るたびに変化するダンジョン内部の配置、ステータスやアイテムの管理、死亡によるペナルティといった一筋縄ではいかない構成となっています。
そして、本作ではリアルタイムで進行する3Dアクションの形式となっており、2Dマップでの展開とは違った面白さ・難しさがあります。ゲーム開始時に難易度選択ができるので、初心者の方は自動回復があるイージーモードでのプレイも検討しましょう。
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導入部にあたるチュートリアルは専用に設計されたステージで進行。移動・戦闘などの基本操作、迷宮石を使って橋を架けるように道を作る本作ならではのシステムなど、謎のイケメン・レックスの助言もあってじっくり時間をかけて学習できます。
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その後の主人公の拠点となる街・ルートガルでは、馴染みの商人女子・ルポ、倉庫番のお姉さん・ラテに話しかけることで各種サービスを利用でき、さらに先ほどのイケメン・レックスから正式版で実装される新要素“スキルブック”がもらえます。
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これは、本作の最重要コンテンツである合計80種類以上のスキルから組み合わせるビルド例の一部が記されており、討伐クエストを完了することでビルド用のアイテムを報酬として得ることも可能です。
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ダンジョンをクリアするごとに敵が強くなり、ドロップするアイテムもレアなものが多くなりますが、討伐クエストの報酬は一度きりながら確実に手に入るのがありがたいです。数あるスキルの活用法も動画付きの具体例として載っているので、それを参考にオリジナルの最強ビルドを簡単に作れるのは、本作の魅力を最大限に発揮させるという意味でもよく考えられたアップデートだと思います。
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加えて、正式版のエンドコンテンツとして実装される「百戦錬磨の道」は、バトルに特化したボスラッシュモード。早期アクセス版で追加された持ち込み禁止の「果てなき亜空」とは異なり、こちらはプレイヤー自慢のビルドを使って挑戦する腕試し要素です。
自分が考えた最強のビルドがどこまで通じるのか、そして全5層の最深部に何が待ち受けているのか。間近に迫った正式リリースを待って自ら解き明かしましょう。
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チートビルド完成!毒禁止からの移動速度238%×攻撃力1%
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前述の通り、本作の最たる面白さがどこにあるかといえば間違いなくスキルビルド。はじめのうちはアイテムが揃わず、システムに慣れるだけでも手一杯だと思いますが、スキルブックを受け取るころにはビルドの無限の可能性を感じられるはずです。
スキルブックの親切な機能でビルドに必要なアイテムはあらかた揃うので、とりあえず直感で自分好みの構成を決めて作ってみましょう。
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そういうわけで筆者が最初に作ったのは、みんな大好き状態異常ビルド。すなわち敵に毒や火傷のステートを付与し、継続的に体力が減るスリップダメージで死に至らしめるという性格の悪い戦法です。ただ、本作における状態異常の概念の捉え方はかなり積極的で、ただでさえ弱っている敵に追い打ちをかけていくスキルが用意されています。
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しかも、スキルの説明文にある“重ね掛け可”という言葉の通り、プレイヤーが装備すればするほどスキル効果は何倍にも重複します。
本作では、様々な効果を持つスキルを装備品から切り取ったり、貼り付けたりしてプレイヤーが自由に組み替えられるのが特徴。特定の状態に対応したスキルを何個も重ねて、シナジーによる能力の大変動を常時発動させることも可能です。
実際に、12%の確率(武器のスキル枠に同じスキルを足すと24%)で毒状態を付与するポイズンダガーの毒ビルドを試したところ、ポイズンブレイクのスキル(敵に掛かっている毒の重複分、追加ダメージを与える全体攻撃)、そして状態異常の敵に対するダメージボーナスのスキル2つ(50%×2で100%上昇)が強すぎてボスや魔物の群れが一瞬で溶けてしまうので自主封印という運びに。
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もうひとつ言うと、ダガー系の武器は“移動速度が高いほど攻撃力が上がる”という固有スキルがあり、毒ビルドの代わりに取り組んだのがこのダガービルドです。
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これまたスキルブックを手本にして適当に組んだ結果、移動速度が238%という天文学的な数値に達し、ついでにMPが満タンだと攻撃力が上がるスキル、HPが80%以上の敵に与えるダメージが30%上がるスキルも3つずつ装着。そうしてレベル1にして攻撃力の合計が115となり、とりあえず殴れば大抵の敵は消えて無くなる性能になりました。
こうした超展開も好きなスキルを自由に付与できる技巧書の存在と、要らないものやダブッたものを分解して技巧書に変換できる本作の機能が上手く作用しているおかげです。
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個人的には『不思議のダンジョン』というと、仲間の勧誘や育成が真っ先に頭に浮かぶ管理職的な志向なのですが、これまでに追加された新要素、今回の正式版で実装される要素が作品の面白さにしっかり繋がっていること。まだまだコンテンツ追加の余地がありそうなことも含め、本作には今後も大いに期待しています。
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スパくんのひとこと
スパ的には『不思議のダンジョン』ってポケモン版の印象が強いスパね。それはともかく、ダガー強すぎて他が選択肢に入らないスパ!普通の剣も何かしら固有の利点があると良いスパね!
タイトル:MISTROGUE ミストと生けるダンジョン
メーカー:Polyscape
対応機種:PC
筆者がプレイした機種:PC(Steam)
発売日:2023年10月(正式リリース予定)/2023年4月24日(早期アクセス)
記事執筆時の著者プレイ時間:8時間
価格:1,500円