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1996年、スーパーファミコン末期に登場した言わずと知れた名作『スーパーマリオRPG』……任天堂が誇る『マリオ』を、ファイナルファンタジーシリーズで知られるスクウェア・ソフトがRPGとして開発し、当時話題になった伝説のタイトルです。それから27年の時を経て、ニンテンドースイッチが発売7年目に突入したこのタイミングで、完全リメイクされました。
グラフィックはドット絵ではないものの、当時の温かみを残したままリファインされ、ストーリーやダンジョンはそのままにしつつ、3人技やアクションコマンド大成功などの嬉しい追加要素を入れております。結局何がどう変わったのか? あの頃の『スーパーマリオRPG』は残っているのか? ひとつずつチェックしていきましょう!
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1.『スーパーマリオRPG』ってそもそもどんなゲームだった?リメイク版を5時間プレイした時点のインプレッション
先述した通り、本作は「スーパーマリオ」を主人公にした初のRPG作品です。任天堂的なジャンプアクションと、スクウェア的なコマンドバトルが混じった唯一無二のタイトルであり、最近では『Sea of Stars』などにも影響を与えています。ちなみに、マリオシリーズは同年に『スーパーマリオ64』が、ファイナルファンタジーシリーズは翌年に『FINAL FANTASY VII』が発売していました。
ストーリーは、マリオにしてはちょっとヒネりがあります。
いつも通りクッパにさらわれたピーチ姫を助けに来たマリオですが、突然大地が揺れ、その衝撃で家に戻されてしまいました。再びクッパ城に戻ると、なんとそこには城に突き刺さる巨大な剣が……自我を持つその剣は「カリバー」と名乗り、武器世界の王“カジオー”がマリオたちの世界を奪ってやると宣戦布告してくる事態に。崖によって断絶されてしまって近付けない上に、ピーチ姫の行方も気になるので、マリオは冒険に出かけます。
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マップはいつものキノコ王国で、クリボーやノコノコがうろついている一方、クォータービューを採用しているためにRPG感が非常に色濃く、そのギャップがなかなか面白い点です。『ペーパーマリオRPG』や『マリオ&ルイージRPG』などのタイトルもあるものの、『スーパーマリオRPG』のような独特なスタイルのマリオは後にも先にもないので、これを味わうには本作を遊ぶ他ないでしょう。
他にも緑色のトカゲ人間のようなモンスター「リチャード」や、トランプのジョーカーが浮いているような形の「ダウト」など、敵キャラクターもなかなか任天堂の想像力の範囲外にあり、見所と言えます。「ドソキーユング」という何だか聞いたことがある名前の猿まで現れるので、敵キャラを眺めてるだけでも楽しいゲームです。
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また、訪れる街で必ず問題が起きているという展開もスクウェアらしいです。マリオは行く先々で人々の悩みを聞いてあげて、併設されているダンジョンに潜り、問題のモンスターを倒します。
まあ、このパターンはFFというよりは『ドラゴンクエスト』シリーズの伝統ではありますが、クラシックRPGの匂いがするのは間違いないですね。
とはいえ、下水道ステージではプクプクが泳いでいたり、森の奥にはハナちゃんがいたりと、いつものマリオのテイストも残っています。繰り返しにはなりますが、このハイブリッドな作りは『スーパーマリオRPG』にしかありません。
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2.リメイクでは実際どう変わったの?気になる変更点をチェック
RPGの肝と言えばバトルですが、今回のリメイクに当たってバトル部分にも手が入りました。
大きく変わった点は、「3人技」という大技の追加されたことです。『スーパーマリオRPG』には攻撃や防御の際にタイミングよくAボタンを押すと効果が上がる「アクションコマンド」というものがあるのですが、本作ではそのアクションコマンドの成功時に左下の「ゲージ」が上昇し、これが満タンになると「3人技」が使用できます。
カットシーンがかかり、パーティーメンバー全員が揃って大技を放ちます。SFCでは有り得なかった美麗なムービーが堪能できる上、バトルにもメリハリが付くのでこれは素晴らしいですね。
アクションコマンド自体も、攻撃時に完璧なタイミングでAボタンを押すと「大成功」となり、敵パーティー全体に軽微なダメージを与えられるボーナスがもらえます。これによって、バトルに少しメリハリが付いたように感じます。
バトル以外でも、ゲームの要所要所でカットシーンがかかるようになり、より物語に没入できるようになりました。ゲーム序盤のマロが泣くところでは、雲が流れて大雨が降り、キノピオたちが雨宿りするところが描かれます。この点も、オリジナルファンにはたまらない追加要素と言えるでしょう。
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ロア(ゲームのバックストーリー、補足情報)の点では「モンスターリスト」という項目が追加され、モンスターたちに面白い紹介文が付くようになりました。途中でカエルコインとまだ探っていない敵キャラクターの情報とを交換してくれるNPCが出てくるので、多少横着することも可能です。
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また、音楽は新しくアレンジされたものが収録されており、いつでも旧版とスイッチすることが可能ですし、ボスと再戦できたり、弱点属性が一目でわかるようになったりと、細かい点も良くなっております。
3.ちょっと気になるポイント 今回のリメイクは懐かしいのか、古いのか?
このスイッチ版『スーパーマリオRPG』はとても丁寧なリメイクで、隙が無い作りですが、そもそもが1996年のRPGであるという点は人によってはネックかもしれません。
基本的に一本道であり、バトルも幅の広いシステムとは言い難いところがあります。この27年間で進化しまくったRPGの遊びと比べてしまうと、良くも悪くもとてもシンプルなので、多くを求めすぎてはいけません……。
それでも、イベントシーンのいくつかは今観てもグッと来るところがあります。80年代~90年代生まれの人にとっては、音楽やグラフィックを見ただけで涙腺が緩んでしまうような破壊力は間違いなくあるでしょう。
なお、本作にはZL/ZRでの操作を何度も要求される場面が今のところ見当たらないので、「スーパーファミコン Nintendo Switch Online」コントローラーでも充分にプレイすることができます。スクショを撮るのがやや面倒ですが、没入感とタイムスリップ感がダンチなので、持っている方は試してみてください!
追加要素はほどよくて、懐かしさに泣きそうにもなるけど、あくまでシンプルなクラシックRPGなのも間違いないスパ!