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1月28日(日)、JR池袋駅東口にeスポーツ施設「Café and Bar RAGE ST」がオープンしました。オープンを前に、本施設を運営するJR東日本グループ企業やeスポーツ関連企業の担当者が登壇したオープニングセレモニーが実施されましたので、その様子をお届けします。
気軽な飲食からeスポーツグッズ購入まで
Café and Bar RAGE STは、JR東日本クロスステーションフーズカンパニー、ジェイアール東日本企画、JR東日本スポーツの3社が共同出資した「JR東日本グループeスポーツカフェ有限責任事業組合」に、CyberZ、エイベックス・エンタテインメント、テレビ朝日が運営するeスポーツエンターテインメント「RAGE」がコンテンツパートナーとして加わって実現しました。
なお、店舗名の“ST”はSTATION、STREET、STARTからとっており、ここから新たなムーブメントが巻き起こることを示しているとのこと。
JR池袋駅東口(池袋駅ユーザーにお伝えすると、いけふくろうのある階段を上ったすぐ)にオープンしたこの施設は、1階にはカフェ&バーとグッズエリア、2階はハイスペックPCで遊ぶことができる(有料)プレイエリアの2フロア構造になっています。
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カフェ&バーでは専門店のようなハンバーガーやカレー等のフード、コーヒーやアルコール含む多数のドリンクが提供されるほか、7枚の大きなスクリーンを用いたパブリックビューイングの実施などが想定されています。
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グッズエリアでは国内外のeスポーツチームと海外eスポーツチームのセレクトショップ「FUTAROKU」が展開するアパレルやグッズなどを購入可能。ここでしか購入できないeスポーツチーム「Paper Rex」とRAGEのコラボアパレルも販売されています。
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2階にはプレイエリアが設けられ、GALLERIAのハイスペックPCや、ZOWIEの360Hzモニター「XL2566K」でゲームを遊ぶことが可能です(全17席+配信ブース1席)。
オープニングセレモニーでは“eスポーツ”の未来が語られる
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オープニングセレモニーでは、関連企業の代表が登壇し、店舗に込めたねらいや展望などが語られました。駅周辺で事業展開する企業、JR東日本クロスステーションのフーズカンパニー長 常務取締役 深谷光浩氏は、本施設オープンの背景として「コロナ禍を経てニーズも変化しており、更なる変化のために『これがあるから駅に行くんだ』という店舗を作り、新たな顧客開拓が必要」とし、Z世代を中心に広がるeスポーツを楽しめるこの店舗もその一つであると話しています。
また、コンテンツパートナーのRAGE ゼネラルマネージャー 大崎章功氏は、RAGEはこれまでメタバース上に観戦場を作ったり、コロナ明けからいち早くオフラインイベントを展開したりと、eスポーツの観戦文化を支援してきたと紹介。Café and Bar RAGE STには、これまで敷居が高いと感じていた人にも気軽に立ち寄ってもらい、eスポーツに触れるきっかけの場になってほしいと述べました。
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その後、大崎氏、エレクトロニック・アーツ(以下、EA) Japan Marketing and Communications Manager 徳永大地氏、Cygames マーケティング本部 副本部長 兼 eスポーツ室 室長 川上尚樹氏、eスポーツキャスターのOooDaさん、MC平岩康佑さんを交えた、eスポーツに関するパネルディスカッションが行われました。
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まずは直近のeスポーツ市場について、大崎氏(RAGE)は「コロナ禍によって大きな変化が起き、オンラインでの視聴文化やストリーマー・VTuberの文化が根付き、パンデミックの終わりと共に熱量が爆発している」と、コロナ禍のエネルギーがオフラインへの架け橋になったと分析。川上氏(Cygames)も「eスポーツへの認識が“参加する”から“応援する”、『推し活』のようなものへ変化した」と指摘しました。
また、日本におけるeスポーツの盛り上がりについて徳永氏(EA)は、「カジュアル層からの熱量が高く、オフラインイベントの規模や回数も増えてきている」とし、オフラインイベントでキャスターを務めることも多いOooDaさんは「さいたまスーパーアリーナ、横浜アリーナ、Kアリーナ横浜、両国国技館などで、何万人もの観客が熱狂しているのは夢のようである」と感慨深げに語りました。
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eスポーツの“未来”については、大崎氏は「ファンの数は1,000万人に達する見込み。これは若年層によって形成されており、伸び悩むことは当面ないのではないか」との見方を示しました。。続けて、eスポーツ市場には新たなビジネスや顧客開拓のポテンシャルを感じることができる、とアピール。ゲームを楽しむだけでなく、見て楽しむ魅力が伝わって欲しいとしました。
また、OooDaさんはeスポーツ発展国である韓国を例に挙げつつ、PCバン(韓国では一般的なネットカフェのようなもの)などの普及によってより多くのプレイヤーがゲームを日常に溶け込めるようなものになっていけば良いとしました。
いろんなユーザーが集まるハブのような存在に
ここからは、JR東日本スポーツ代表取締役社長 穴吹昌弘氏と、ジェイアール東日本企画 メディア・コンテンツ本部 コンテンツビジネス局 コンテンツ第三部 石川直樹氏への個別インタビューの模様をお届けします。
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――よろしくお願いします。まず、Café and Bar RAGE STはどのような層に向けられた施設なのでしょうか。
穴吹昌弘氏(以下、穴吹)もちろんeスポーツを目的に来られる方がメインターゲットではありますが、やはり駅にあるという特性上、そうでない方でも気軽にご利用頂きたいです。それがeスポーツの勢いにも繋がると良いですね。メニューも一般的かつしっかりとしたものをご用意しています。
石川直樹氏(以下、石川)eスポーツを実際にプレイはしないけど観戦はする、というカジュアルな層にも気軽に立ち寄っていただきたいです。Z世代をコアターゲットに据えながらも、池袋駅という立地を活かし、ターゲットを広げていきたいですね。
――池袋駅ならではの期待のようなものはありますか?
穴吹池袋駅は首都圏で上位の乗降客数を誇る駅であり、駅のパワーはあなどれないと思います。鉄道・駅の持つ外部経済の利益は常に立地を意識すべきですからね。
石川池袋はアニメ好きの方や若い方も多く、サブカルチャーが発展している街という特性もポイントです。eスポーツという新たなカルチャーを発信していく取り組みの第一歩として適した場所です。
――松戸駅ではジェクサー・ eスポーツステーションが2021年から2023年まで約3年間運営されました。手応えはいかがでしたか?
穴吹コロナ禍ではじまったこともあり、正直に言うと厳しい状況が続きました。一方で、子供向けPC教室やシニア向けeスポーツイベントなどJRグループの使命のひとつである「地域振興」に貢献することができたと考えています。本施設がうまくいき、他に良い候補地などがあれば、拡大していきたいですね。
――Café and Bar RAGE STをどのような場所にしていきたいと考えていますか?
穴吹RAGEさんには既存のものだけでなく、臨場感のあるさまざまなイベントを開催して欲しいと考えています。まだ具体的なことは決まっていませんが、台北にもある「ジェクサー」(JR東日本スポーツが運営するスポーツジム)に映像を送ることなどもできるので、世界に発信するなどいろいろやっていきたいですね。
石川そのほかにも、カフェやグッズなどを購入したり、ゲームをこってりプレイしたりと、いろんな方が集まるハブのような存在になって欲しいです。この場所でさらに新しいコミュニティやコミュニケーションが生まれていくことを願っています。
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