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今年も東京、吉祥寺にてインディーゲームの祭典「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024」が開催されました。本稿ではそんな「TIGS2024」に出展されていた、24Frameが手掛けるRPG『INUMEDA』を試遊してきた模様をお伝えしていきます。
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『INUMEDA』は『メタルドッグス』を手掛け、過去には『メタルマックス』シリーズの開発にも携わっていた24Frameが手掛けるオリジナルタイトルです。本作は赤く彩られた世界で、動物霊(御霊)を引き連れて動物霊と戦っていくという内容で、敵を倒せばその分仲間が増え賑やかになりますが、一度でも倒されればその仲間は復活しないというシステムです。
倒されることにかなりのデメリットがある中、こちらに行っては危ないというプレイヤー側の経験値を基に「いかに勝利の連鎖を構築していくか」が重要な“死に覚えゲーム”でしょう。本作ではそんな『INUMEDA』試遊レポをお届けします!
◆兎や羊を引き連れて“生き残る道を探せ”!全滅の絶望感と勝利の連鎖が癖になりそうな『INUMEDA』
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ゲームでは兎をはじめとした、赤色の動物の「御霊」が襲い掛かってきて彼らを倒し進んでいきます。この御霊を倒すと仲間になるようで、主人公の巫女の後ろについてきてくれるようになります。
仲間は青緑色に変わり戦闘で協力してくれるのですが、主人公である巫女のコマンドは少なく、バトルは彼らに任せるようにオートで展開されるため見ていてちょっと可愛らしい!後ろで列を為すのも良い感じで、どんどんと仲間を増やして行きたくなります。
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しかし“動物を引き連れて動物と戦う”という、文字面では一見可愛らしい『INUMEDA』の世界は結構苛烈です。というのもプレイヤーに与えられる情報が意図的に制限されているため、断片的な情報や視覚的なアートで「あの世らしい」「橋の向こう側は危険っぽい」と判断して恐る恐る進んでいくことになります。筆者が兎をある程度仲間にして橋を渡ると、牛や羊(の魂)がこちらに襲い掛かってきます。
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兎の群れvs羊という状況下……これで彼らを倒せたなら仲間となり、兎ちゃんを超える強力な味方となってくれるのでしょうが、本作がシビアなのは「倒されると仲間は復活しない」ということ。もちろん、全滅となれば巫女1人で復活です。
仲間を召喚することもできるためリカバーは比較的簡単なのですが、兎ちゃんたちを牛が強い攻撃で薙ぎ払っていくのを眺めていると「この後の冒険プランが崩れる!」と焦りますし、全滅の憂き目にあった時は「あんなにたくさんいた仲間が……」と軽い絶望に襲われます。いかにして“負けず敵を倒す連鎖”を作っていくかが本作の肝となるでしょう。
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もちろん全滅ですべてが無に帰すわけではなく、前述の「召喚」や「養兎場」といった兎の御霊しか出ない場所で、兎の群れを迅速に作ることも。なにより本作ではトライ&エラーで「この戦力ではまだ危険なエリアだったな」とプレイヤーの経験値が積み重ねられていくわけです。
初めからどこにでも行けるシステムだからこそ『INUMEDA』の赤い世界の歩き方を自分たちで把握していく必要があり、筆者はここに中毒性を感じました。試遊版を遊んだ限りでは、戦闘そのものより“どのように立ち回れば攻略の糸口をつかめるか”という探索が主となるゲームでしょう!
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ちなみに「動物たちが協力して放つスキル」もオートで行われるため、戦闘では「数多く動物を引き連れられたら有利」という印象を受けます。
この点について24Frameの方にお話を伺ったところ現在の試遊版、早期アクセス版では実装されていないものの「現在は戦闘が単調のため、動物の組み合わせで発動できるスキルをプレイヤーが選択できるようにする」との回答をいただきました。正式リリースでは世界の広がりとともに、攻略する楽しみが増えていきそうです。
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もうひとつ気になったのが、本作の世界観です。アーティスティックなビジュアルのためゲーム中で判明するかは定かではありませんが、復活する際のシンボルがどうみても「土偶」なため、巫女といっても平安時代などではなく、「はるか以前の日本をイメージしているのではないか?」と推測する楽しみが個人的には気に入りましたね。
道を間違えて強力な敵が襲ってきた時の絶望感は大きなものですが、プレイヤーの習熟によって攻略の道筋が理解できるため、上手く進めているときの爽快感がその分だけ大きい“死に覚えゲーム”『INUMEDA』。早期アクセス版はSteamで「日本語はサポートされていません」と表記されていますが、日本語対応済みです。
スキル発動などのバージョンアップデートを待つにせよ、今すぐ遊んでみるにせよ、気になった方はぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか?