「もうガチ勢なんですか......?」開発者をも震わせたライターによる新作RPG『スカーズ・オブ・マーズ』のプレイレポ&対談の時間がやってきた! | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「もうガチ勢なんですか......?」開発者をも震わせたライターによる新作RPG『スカーズ・オブ・マーズ』のプレイレポ&対談の時間がやってきた!

開発者から直々のご指名を受けて震えるライターの明日はどっちだ。

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「もうガチ勢なんですか......?」開発者をも震わせたライターによる新作RPG『スカーズ・オブ・マーズ』のプレイレポ&対談の時間がやってきた!
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注意

本作は製品版の先行プレイレポであるため、事前情報なしで遊びたい方におかれましてはご注意ください。

◆コトの発端はデモ版のプレイレポ

コトの発端といたしましては、ACQUIRE Corp.が、2024年6月20日にWindows PC(Steam)およびニンテンドースイッチ向けにリリース予定のリアルタイムRPG『スカーズ・オブ・マーズ』製品版(PC)のプレイレポをちょいと執筆……かと思いきや、なんとプロデューサーの横山さん(以降敬称略、横山)、そして広報さん(以降敬称略、広報)のお二人とお話する機会を頂いたことにあります。


というのもわたくし、過去にこちらで本作のデモ版プレイレポを執筆しておりました。そのためお誘いを頂いた当初は、もしかしたらその記事を読んだお二人が気分を悪くされたのかもしれない、私は何をやらかして、どう叱られるのでしょうか……なんて、突然の事態に怯えるしかないチワワ(筆者=麦秋のこと)でしたが、しかし編集部の言葉は優しかった。

編集部「前回の記事に温かい御礼メール頂いたじゃないですか」

筆者「わん (訳:たしかに)」

編集部「しかも今回の対談、横山さんから直々の指名ですよ。良かったですね」

筆者「くぅん……? (訳:かえって怖くなりましてよ……?)」

なんの解決の糸口もないまま進行していくこの状況。トントン拍子で渡される先行プレイ用の製品版を前にしても一抹の不安がありましたが……いや!それを吹き飛ばしてあまりあるほど本作はやはり面白かった!!面白すぎて全クリ周回してたらまたしても時間があっという間に溶けて気付けば対談当日がやってきたほどです!!!たすけて!!!!第三部完!!!!!(錯乱)

……正気に戻りましてともあれ、前置きが長くなりましたが、本稿では横山さんを中心に本作の開発にまつわるあれこれを伺いつつ、同時に、実際にEDクリアまで遊んでいまは別の難易度で周回プレイ中の筆者による感想や攻略Tipsを交えた「対談プレイレポ」というスタイルで進めていこうと思います。さっそくやってまいりましょう。

『スカーズ・オブ・マーズ』公式サイト『スカーズ・オブ・マーズ』Steamストアページ『スカーズ・オブ・マーズ』ニンテンドーストアページ

◆そもそも『スカーズ・オブ・マーズ』ってどんなゲーム?

記事注釈:(PC版画面)

本作は火星を舞台に、プレイヤーはヒューマノイド部隊の指揮官として、一秒を争うリアルタイムで進行するバトルを、3*3マスの盤面上で的確な指示を出しながら突破していきます。ランダムで分岐する移動ルート、取捨選択を迫られるイベント、ヒリつくような敵との戦闘、そして持ち帰った報酬で強化・研究など「リスクとリターン」の設計が見事なので、何度遊んでも楽しく時間があっという間に溶けていきます。前回はデモ版でしたが今回は製品版、最後までガッツリ遊び倒しました。

◆本編開始

――本日はお忙しいなか貴重なお時間を頂きありがとうございますよろしくお願いしますすいませんでした。

画像注釈:プロデューサーの横山さん

横山いやいやいや、前回のプレイレポ本当にありがとうございました!色々なメディアさんが記事を書いてくださいましたが、麦秋さんのだけ毛色が違ってて、チームで吹き出しながら読んでましたね。我々のゲームをこういう角度から解釈して、その魅力をユーザーの皆さまへ届けて貰えたことに感謝しています。今回もぜひそういったカジュアルなノリで進めてもらえたら!

――実は僕も他メディアさんのレポ記事を拝読する機会があったのですが、「僕の記事だけ様子がおかしいね?」となり、やっちまったと悶えておりました……。

画像注釈:(PC版画面)

横山あっはっはっ!ぜひその感じでお願いします!それでちょっと聞いてみたいんですが……製品版……どこまで……遊ばれました……?

――クリアまでプレイしました。2つあるエンディングはどちらも確認済みです(※)。

※筆者補足
詳細はネタバレになるので伏せますが、終盤とある選択によってエンディングが2つに分岐します。リスクとリターンの関係性がブレない軸として設計の根幹にある本作ですが、それはこの選択肢にもしっかり反映されており、極めて巧みなデザインだと感じました。

横山おお!それは嬉しい!……ちなみに何時間くらいかかりました?短かったですか?

画像注釈:(PC版画面)

――正直に申し上げると、全体的にコンパクトだったので3時間半ほどでクリアできちゃいました。ただ難易度はノーマルだったのと、前回遊んだデモ版ですでにある程度の学習が済んでいたおかげで、今回はもっとサクサク進んだという感触です。その後、難易度ハードで周回を始めたのですが、戦闘の難しさが一気に変わったと感じます。序盤ステージで何度か死亡したりと歯ごたえマシマシで楽しい……!

横山速っ!え、ほんとに3時間半ですか?ゲームが上手い人だとプレイスピードがどんどん速くなるタイプのゲームとはいえ……。デモ版での「ある程度の学習」度合いにもよりますが、プレイヤーの知識や経験がプレイ時間にも関係はしてきますが、ノーマル全クリアとしては速い方だと思います。「ある程度の学習」が凄すぎたとか?(笑)

――いや!たぶん僕の存在が、統計学でいうところの「外れ値」なんだと思います……!これまで200タイトル近いプレイレポを執筆してきましたが、たまに相性が噛み合ってスルスル遊べちゃう作品があるんです。それが今回、『スカーズ・オブ・マーズ』にも当てはまったのではないかなと。

画像注釈:(PC版画面)

横山なるほど(笑)……ちなみに操作系はどうでした?遊びやすかったですか?

――そうですね、やりづらくて困る、ということはなかったです。キーボード、マウス、コントローラーといった複数の選択肢が用意されており、ひと通り触ってみて一番手に馴染むキーボード&マウスを選んだという感じです。コントローラーによる右スティックでのヒューマノイド直接指定も便利ではあったのですが、僕の操作が下手でよく誤爆したもので……結局テンキーなどで直接ヒューマノイドを指定して操作可能なキーマウに落ち着きました(※)。

※筆者補足
本作、戦闘まわりの操作系はシンプルではあるものの、初見だと「なんじゃあこりゃあ……」となるかもしれません。しかし、そこで投げてしまうのは非常にもったいない!序盤ステージがそこらへんの学習を促すよう設計がなされており、ひとたび習熟すればタイムアタック的な楽しみ方もできましょう。歯ごたえを求める人はここらへんで難易度ハード以上に移行すると、もっと楽しくなるかもしれません。これで最高難度のエクストリームを始めたら一体どうなってしまうのか……!なおセーブデータのスロットは3つなので、難易度ごとにデータを分けて進行することも可能です。

画像注釈:(PC版画面)

横山……これはあれだな、麦秋さんがPCゲームにめちゃくちゃ慣れてるからキーマウに収束したのかもしれない。プレイヤーによって操作のスタイルがぜんぜん違うのが面白いです。開発中の社内テストなどではコントローラーを選ぶ人も多かったですね。開発中の社内テストだけでなく、海外のプレイヤーを中心にクローズドのテストプレイも何度か行いました。また海外のイベントに何度か出展して実際にプレイしているのを直接拝見して得たフィードバックから、様々なプレイヤーの好みを想定して選択肢を用意しており、オプションからキーアサインの設定もできるようにしています。

画像注釈:(PC版画面)

――「操作方法の違いに縛られず、どのデバイスを選んでも遊べる」という部分は、本作における非常に大きなグッドポイントのひとつだと思います。そしてキーアサインの設定は個人的にめちゃくちゃありがたかったですね。ゲームに慣れるほど操作スピードがあがっていくので、手指の動きをより少なくして完結させたいという欲求を大いに満たしてくれました。

横山嬉しい……!そう言ってもらえると、選択肢を用意したかいがあります。開発終盤で新しく操作系追加!なんてことになるともう……ほんと……地獄で……(遠い目)。そのため本作では開発の最初からから、「操作系の選択肢を複数用意する」と決めて進めてきました。開発メンバーも「自分が普段から遊んでいる操作で(このゲームも)遊びたいですよね」という意思があって。キーボードも日本とUSでは違いますし、コントローラーといっても、Xbox系、PS系、Switch系など「全く同じ」ではありませんから……(※)

※筆者補足
最初は指を義体化でもしない限りこの忙しい操作系についていけねぇ……と挫けていた筆者。しかし自転車に乗るようなもので、最初は難しいと思っても、慣れればスイスイ遊べるように。また繰り返しになりますが、選択肢が複数用意されているおかげで、自分が一番遊びやすいと感じる操作系に辿り着ける設計になっているのが本当に良かった。

『スカーズ・オブ・マーズ』Steamストアページ

横山そうだ、ところで……エンディングの選択肢はどちらを選びました?

――〇〇(ネタバレ配慮の伏せ字)を選んだ結果えらいことになりました。また同時に、その選択肢に至るまでの自分の思考回路がナチュラルにラスボスと同じだったので、ちょっと己の精神状態が心配になりました(※)。

横山あっはっはっはっはっは!開発チームとしても、選択肢しかりリスクとリターンのバランスについては色々考えていて……。そういった意味で、こちらの想定していた形なのでホッとしました。

※筆者補足
なお、とある傑作ADV開けロイト市警を過去にプレイしていた時、ことごとく選択肢と結果を誤る(?)筆者を見ていた友人には「血も涙もないんか?」と言われました。

横山本作の設計としては、「プレイヤーの成長自体がゲーム攻略における鍵のひとつ」というものがあります。単純に高威力武器を装備したから強い、というわけではなく……フレーム、クラス、ウェポンが影響するシナジー部分への知識・理解が深まると強くなっていく感じで。もちろん操作への慣れなども。それによって戦闘中の決断も速くなるので、ゲーム攻略もどんどんスピードアップしていく。

――たしかに僕も最初は威力でゴリ押しだったんですが、途中から効率に気付きまして。まずは攻略中に取得する研究・強化ポイントが増えるパッシヴスキルをカンストさせて、そこからはフレーム強化を優先にポイントを割り振って武器強化は後回しにしてました。フレームの強化は、体力や攻撃力といったパラメータへの影響が一番大きかったので!

画像注釈:満面の笑みな横山さん

横山えぇ!?開発メンバーみたいなプレイ……!いや驚きましたよ、一緒に開発してたのかなってくらいに(笑)むろん我々は開発側だから「フレーム強化すれば効率的に攻略しやすい」と、わかるんですが……麦秋さんどうやってそこへ辿り着いたんですか……?直感、いやそれとも何か論理に基づいたものなんですか……!?

画像注釈:(PC版画面)

――いえ、それが……単純に装備を組む時に「パラメータの各項目に影響を与える数の多さ」で判断していったらフレーム強化に攻略方法が収束した感じです。ウェポンは攻撃力が上昇、クラスは効果が上昇するといった具合に「ひとつの項目が強化される」じゃないですか。それに対してフレームは「複数の項目が強化される」という事に気付いて、こいつを鍛えるのが効率的なのかな?と考えた次第です。

横山んもー本質ばかり突いてくる……!(とても嬉しそうな笑み)そうなんですよ、ロジックで突き詰めて考えれば、このゲームの場合はそうなんです。でも普通ゲーマー的な心理(?)で言うと、まず武器とか強化して攻撃力を上げたくなっちゃうじゃないですか。研究だって敵を倒しやすくなるようなスペシャルアビリティとかあるのに……しかしそこをサクッと飛び越えてフレームから入るとは……!ちなみに最終的にどのウェポンが気に入ったとか、どういうパーティ編成が好みとかありますか?

画像注釈:(PC版画面)

――基本的に、クラスはデフォルトのままで強化したフレームで、武器はクールダウンタイムの短いものを中心に二丁持ちなどを行い、「DPS(1秒あたりのダメージ)」を意識していました。

横山すると、ちょっとクセのあるクラスやユニークな武器はあまりつかってなかった感じでしょうか?

――そうですね……あ、両手持ちの刀「マサムネ」については使っていました。レベル1でもダメージ量が最高クラスで、アビリティ発動によってさらに強化されるのが良かった。ちょっと攻撃がいやらしい敵などを速く処理したい時、ボス戦でトドメの一撃を叩き込むときなど、この子はとっても優秀でした。あとはスナイパーライフルでしょうか、とにかく攻撃距離が最奥まで届くので手放せなかった……!

画像注釈:(PC版画面)

横山ああ、スナイパーライフルは好きな人がはじめると手放せなくなるウェポンですよね。チームにもそういう人がいました。クールダウンタイムは長いものの、一撃が大きいこの爽快感。本作は「4人のヒューマノイドをリアルタイムで操作して戦闘が進行する」という設計ですが、流石に時間差なしの4人同時は操作が難しすぎるので、実際は1人ずつ動かしていきます。

4人全員を「武器の二丁持ち」にしてガンガン戦うのも熱いですが、クールダウンタイムが重なると「攻撃できるけど攻撃できない時間帯」が発生することもあります。そこでスナイパーライフルなどクールダウンタイムは長いけど威力の大きい武器などを装備したヒューマノイドを挟むことで、位相が良い感じにズレて、結果的に途切れることなく効率的にダメージを与えることが可能になったりします。ここも攻略のオススメポイントですね!あ、回復系の装備は使用されました?

画像注釈:(PC版画面)

――回復役は1機用意しました。両手持ちですが、アビリティで移動速度上昇、範囲回復といった効果を持たせることができたので非常に優秀な子でした。戦闘開幕時にフォーメーション(ヒューマノイドの陣形によって攻撃力などにバフ効果が発生するシステム)でスプレッドを組み、前衛の2機がまず敵を殴りつけてから回復役を挟むように前と左右に移動。そこで移動速度上昇のバフをかけたら散開して戦闘続行。あとは被ダメージ次第で適宜、範囲回復をかけていく感じで戦っていました。

画像注釈:スプレッドフォーメーションの陣形(PC版画面)

横山良いですねー!自分が個人的にプレイする時はラインフォーメーションで、クラス「サムライ」を軸に前衛よりで戦うことが多かったです。ラインフォーメーションは3機で成立できるので、乱戦になっても組みやすいですし。チームメンバーもそれぞれ好みがありましたが、上昇効果の大きいスプレッドフォーメーションを使いこなせると手放しにくいみたいですね。成立には4機必要になりますが。ここらへんもプレイヤーとヒューマノイドの構成状況によって使い勝手が変わる部分なので、ぜひ楽しんでもらえたらと思います。ちなみに、ヒューマノイドの名前って変えられるんですが、そういったカスタマイズ要素って遊ばれました?

画像注釈:(PC版画面)

――すいません、名前はデフォルトのままでした。戦闘中は操作で忙しいので「文字を読む」というよりは、「ヒューマノイドの顔(マスク)」や「アイコンの色」といった視覚的情報を見て判別していました。

画像注釈:開発裏話を語ってくださる横山さん

横山なるほどなるほど。これは開発裏話みたいになっちゃうんですけど、実は最初、バトル画面の構成はもっと違っていました。操作盤面を右側に置いて、敵の表示はもっと手前にくるような。(次の移動先も想定して戦闘できるように、移動の)レーダー画面縮小版などもバトル画面に入っていたり。初期のバージョンでは戦闘画面内の情報量も製品版よりずっと多かったですね。ところが国内外のテストプレイ等を経て頂いた様々なフィードバックをまとめると「戦闘中は忙しいし、情報が多すぎて、その時に知りたい情報が把握しにくい」といったことがわかりました。

そのため今度はごっそり情報量を減らしてみたら、それはそれでわかりにくさがあったり……そうやって見た目や操作のテストプレイやバランスも取りながら現在の形に持っていったという感じです。操作盤面を右側に置いていたバージョンもプレイできるまで作っていたので、そのバージョンをやめてを今のバージョンに作り直したチームメンバーの粘り腰に感謝しています。

自分で名前を変えられるようにしたのは、ロールプレイが好きな人のことも考えてですが、プレイヤー自身が名付けることで忙しいバトル中でもヒューマノイドを判別しやすくなる……という効果もありました。基本的には麦秋さんと同じように文字情報よりは視覚情報(マスクや色)で判別するプレイヤーが多いですが、相乗効果もあったと思います。

画像注釈:(PC版画面)

色については他にも興味深い話があって、「国内と海外のプレイヤーでは、想像以上に色の見え方が違う」という知見を得られたことですね。国内と海外というのは便宜上の表現で、実際にはそんな簡単な区分けではないのですが……。実は、戦闘画面全体の色は当初もっと青色だったんですよ。バイザー越しにみている画面で、そのバイザーと表示されている文字がもっと青に寄せてありました。ところが海外のテストプレイヤーたちから「青色が強すぎる」というご指摘を多くいただきました。特徴的だったのは海外の方々であり、青系に関してのご意見に寄っておりました。チームで調べてみたところ、「瞳の色によって、光の眩しさや見える色に差異が生じることがある」ということに気が付きました。それで全体的な色味も調整していきました。繰り返しますが、実際には国内と海外という簡単な区分けではないのですが、1つの出来事として、自分たちも作りながらすごく勉強になりましたね。

――シンプルに見えるかもしれませんが、その裏には様々な配慮と決断がなされているのですね(※)。

※筆者補足
本稿には全部は載せられなかったのですが、本作をプレイして色々気付いた「ここってこうすれば良いような……?」といういくつかの疑問点を、わたくし生意気にも横山さんに伺ってみたんです。でも、ここまでのエピソードに出てきたように社内テストや外部テストプレイ、海外のイベント出展・試遊などを通して今の形であることがわかりました。いや筆者のような素人がパッと思いつくことは、開発の現場ではすでに議論されており、さらに一部は断腸の思いで決断された後だったりもする、という事実を改めて学びました、お恥ずかしい……!

『スカーズ・オブ・マーズ』Steamストアページ

横山戦闘システムでも、例えば3*3の盤面上をヒューマノイドが移動中に敵から攻撃を受けた場合、当たり判定をどうするのか……というのも。隣接するマスにちょっとでも身体が入っていれば良いのか、それとも半分以上でないと駄目なのか、はたまた身体全部が入りきっていないと回避扱いにならないのか……などなど。

画像注釈:左端の味方1体がちょうど2つのマスを半々の位置にいます。(PC版画面)

――確かに、たまに「あれ、いま避けたよね!?(被弾)」とかありました(汗) 

横山可能な限りプレイヤーが理不尽に感じないよう調整させていただいたのですが……ごめんなさい。

――ああ、別に文句とかではないのです!(土下座)その、被弾する/ しないの差異に気付いてから、あえて3体を敵に撃破させて、最後の1体をちまちま動かしつつ体感の違いを調べたんです(※)。そしたら明らかに足の遅い子と、速い子がいまして。じゃあ待てよ、さっきの戦闘で遅い子がそこそこ動けてたのは……アビリティのおかげか!と、そんな具合で初めてパラメータにおける「移動速度」の重要性に気付いて、以降は戦闘中にバフを乗せるよう意識し始めたりしてました。

※筆者補足
いま執筆しながら気付いたんですけど、私のこういうヒューマノイドを道具のように扱う血も涙もないプレイスタイルが、かつて、某開けロイト市警のゲームにおいて「どうしてそうなる……?」と友人に言わしめた原因なのではないか。

画像注釈:(PC版画面)

横山……いやほんと、麦秋さんのプレイを聞いてると「開発者かな?」ってなるんですよ(最高の笑み)ゲームバランスの話になるんですが、最後の1人になった時もいくつかのパターンを作ってテストして、現在の調整となりました。破壊されると破壊されたヒューマノイドが盤面の一番手前まで下がって移動可能範囲を減らすので、3機破壊されると行動可能範囲が6マスしかなくなる……といった具合です。開発中は、破壊されたその場にヒューマノイドが固定されるバージョンなども検討しました。もしくは破壊されたらパッと消えてしまうとか。

破壊されたらパッと消えるパターンは、ある意味出撃数編成と近いですが「序盤に3機破壊して、最後の1人で戦うほうが効率的」という戦い方が“唯一解”というのは、我々が目指してきたリアルタイム・フォーメーション・バトルとは違うかな……と。

4機のヒューマノイドをカスタマイズして、バッテリーを気にしながら、狭い通路や空間の中でどう連携して戦うのか……その面白さの根っこは、子供のころから遊んできたリアルタイム ダンジョンRPGからも影響を受けていて、スカーズ・オブ・マーズとして全体をまとめていく中で今のスタイルになりました。ちなみに破壊されたヒューマノイドともフォーメーションを成立させることができるので、実はここも攻略のポイントとして有効活用できたりも!破壊されたヒューマノイドだけでは成立しないのでご注意くださいね。

画像注釈:ギリギリの攻防戦を繰り広げている筆者。ここから勝ちを掴んだ時は脳汁が溢れました(PC版画面)

――そういえば、残り1機で戦闘続行する状況に陥った時、特にボス戦は「時間あたりの攻撃力」が「バッテリー(残り時間)」を上回らないと勝てないという「詰み(第三部完)」になりかねなかったですね……!そこをカウンターアタックなどを駆使していかにDPSを上げていくか、という部分でヒリつくバトルも楽しめました。本当にこのゲームはリスクとリターンの駆け引きが熱い設計がなされているように感じます。

横山ありがとうございますっ!!!麦秋さんに台本を渡して言わせていると誤解されないか心配になってきました(笑)本作では全体的な駆け引きのバランスで考えると出撃数4機で固定としました。これは大きな決断でしたね。

――……………実は、「編成できないなら何体か撃破させて減らせば良いじゃない」と間引きプレイに興じたこともあります。

横山もうガチ勢なんですか......?

――いや、あの、一種の縛りプレイといいましょうか……コホン!ところでちょっとお伺いしたいのですが……これ、主人公である指揮官、死線をくぐり抜ける4機のヒューマノイドたち、そして全体的な世界設定含めて、ゲーム内にウィキペディアみたいなのがあれば、さらにぐっと没入感が得られるかな?と感じました。

うまく説明できなくて申し訳ないのですが、ヒューマノイドは基本的には喋りませんが、一言二言または片手を上げて挨拶的な「愛嬌」が見れたらな……といいましょうか。無機質なメカがこちらに見せる何かしらの反応に「感情」を感じ取ってキュンとなることでしか摂取できない栄養があると信じて疑わないのは僕だけでしょうか。

画像注釈:「情報」項目はあるにはあるものの、あくまでチュートリアル的な扱い。(PC版画面)

横山ああ~~~……実はそこについても当初、ゲーム内で世界観や設定を確認できるようなちょっとした説明を用意しようとしていたんです……。どういった流れでヒューマノイドが出来たのか、宇宙進出はどういう流れで行われたのかというような2000年ごろからの出来事年表や、今回の舞台になった施設や軍のことなど一部の仮テキストも作成したのですが……。ただいろいろな事情が重なって実装を見送りました。

また開発メンバーからも「ヒューマノイドたちが喋るシナリオはどうだろうか」という話もあって、喋るタイプのテストシナリオも作ってみたのですが、プレイヤー自身がヒューマノイドの名前とマスク(顔)を変更できるゲームシステムとの間で整合性をもたせることが難しいという事情がありました。

自分なりの設定を作ってロールプレイを楽しもうとしたプレイヤーが「俺の世界のヒューマノイドは“そんな口調で喋らない”んじゃい!」と、解釈不一致を起こしていたりも汗

――どこかで機会があればぜひ読みたいドキュメントですね……!

『スカーズ・オブ・マーズ』Steamストアページ
画像注釈:(PC版画面)

横山ところで話はガラリと変わりますが……本作をプレイ中、何回ほどゲームオーバーになりましたか?ノーマルでも難しかったでしょうか?

――いえ、僕は一般的に想定しうる丁度良い難易度設定だと感じました。簡単すぎず、かといって理不尽に負けるということもなく、こちらの強さ(知識・経験・技量)に応じた体感だったと思います。あと何より「死亡時に所持品半分がランダムロスト」という、デスペナルティがそんなに重くないことが、モチベーション維持という意味でも良かったかなと。

画像注釈:それだけは持っていかんでおくれ!というものに限ってロスト……ッ(PC版画面)

横山いまでこそ死亡時は「攻略中に取得した所持品の半分がランダムでロスト」という設計ですが、開発の超初期段階では全ロストも検討していました。また、ヒューマノイドの装備品なども含めてロストするパターンも。自分としては「アリかな」と思っていたのですが、開発メンバーと検討していく中で「流石に厳しすぎるのでは」、「ゲームを止めたくなってしまう」、「ナシでしょ」という意見が出てきまして。とある会議で開発メンバー全員と当社の代表遠藤で検討していたときに、遠藤の方から「もう少しこう何というか……手心というか……」という言葉もあり(笑)。

そこで改めてバランスを取っていった結果、現在の「ランダムで半分ロスト」「研究・強化ポイントは持ち帰ることができる」という形になりました。攻略中、新しい武器を入手した時に、進むべきか帰還すべきかを迫る緊張感……「ロスト」というリスクとどう向き合うのかが攻略のポイントです。しかもランダムロストなので「ああ!よりにもよってあの武器が持っていかれた……!」というドラマも生まれる等の面白さもありますしね。途中で負けるかもしれないけど、挑戦を続ければ必ず勝てる、という塩梅を目指しました。

画像注釈:(PC版画面)

――なるほど……ところでふと思ったのですが、攻略中に取得した設計図について、名前は表示されるものの、性能の詳細が表示されない、というのは仕様なのでしょうか?例えばインベントリ内のサブマシンガンとアックスの設計図どちらを手放すか……という取捨選択が発生した際、性能も表示されたら比較もしやすくなるのではないかなと思いました。

画像注釈:(PC版画面)

横山そこについては、最終的に表示されないようにしました。リアルタイムで進行する中で、バッテリーという一種の制限時間があり、それはテキストを読んでいる時もカウントダウンが続きます。そのため情報をいくつも表示させてプレイヤーがじっくり読み込む時間を作ってしまうと「気付いたらバッテリーがなくなっていた」という可能性もでてきます。

最初の話に少し戻りますが、良かれと思って情報量を多くしたところかえってプレイヤーが混乱してしまった云々はここでも発生し、また「バッテリー残量に注意しつつ攻略を進める」という基本的な設計にも立ち返った結果、あえて詳細を表示させないようにしました。特に初めてプレイした人は詳細な数値を表示されても比較や実体験がないと判断基準がなくて悩んでしまいます。本作の熟練者は、知識や実体験があるので性能が表示されていてもいなくても直ぐに取捨選択できると思います。本作にある程度慣れた人でも、初めて入手した設計図は拠点に持ち帰るまで性能がわからない……けど、アイコンや名称から何となく必要か不要かの判断はできる……という中での取捨選択のドキドキを楽しんでいただきたいと思います。

――ああ、なるほど!確かにそういったおかげで、ゲームスピードを落とさずに、新しい面白さが付与されたのだとも感じますね。前のプレイレポでも書かせてもらったんですが、ステージを最後まで「駆け抜ける楽しさ」というのを本作に感じてまして。例えるならゲームセンターのアーケード筐体でクリアまで遊んだときのような爽快感と言いましょうか!

画像注釈:(PC版画面)

横山ありがとうございます!「駆け抜ける楽しさ」が好きな方からは「タイムアタックモード」のようなものはどうか?というご意見をいただくこともございました。もちろん検討したのですが、自分が鍛え上げたヒューマノイドたちに対して、ルートに発生する敵(ボスを除く)やイベントといったランダム要素が多く、ルートも毎回異なってしまうので、プレイごとに結果が大きく左右されてしまいます。ではルートや内容は全て固定とした場合、ランダム要素があるから機能していたクラスや研究などが不要となり……。もしも正式に組み込むとなった場合は、かなり考えることがありますね。誰かと何かを競う前提のゲームでもないですし。

――とはいえ根本のゲームシステムがめちゃくちゃしっかり組まれてるので、先ほどの間引きプレイしかり、こちら側である程度「想定外な遊び」の幅を設けることもできたりして、最高に楽しいですね。タイムアタックモードにしても、もしかしたら攻略開始時、あえてバッテリー残量を半分にしてから戦闘開始という「縛り」で対応できそうですし、試してみようかな……!

ともあれかなりたくさんのお話しをお聞きすることができました!!名残惜しいのですが今回はここで締めとさせていただきます。改めて、本日は貴重なお時間と素晴らしいお話を頂きありがとうございまs……

広報ちょっと良いですか?

――!!……はい(真面目な声のトーンに背筋を伸ばす筆者)

広報広報担当として、今回の会話を記事にする際、麦秋さんにお伝えしたいことがありまして。

――……はい(ああ、やっぱり前回の記事は広報的によろしくなかったのかもしれないと覚悟する筆者)

広報今回、麦秋さんにお声がけしたのも、前回の記事を読んで「また自由に書いていただきたい」と思ったからなんです。なもんで執筆される際、どうか遠慮なさらないでくださいね。この対談の時間は、終了予定よりも60分近くオーバーしてますが、ご遠慮なさらずに!!(ニッコリ)

――……!!(フリーズする筆者)

横山麦秋さんと2時間近くも喋りっぱなしだったのね!(爆笑しているプロデューサー)


懐の深いお二人のおかげで、終始楽しく進行した今回の対談。実際クリアまで遊んでいたので、だいぶ突っ込んだ部分まで質問ができました。そして、だからこそ伺えた開発の裏話……いや本当に有意義な時間を頂きました。

個人的な好みも乗ってしまうのですが、「2024年プレイできてよかったゲームランキング」の上位に『スカーズ・オブ・マーズ』は間違いなく入っています。さあ皆さんも今年の夏はヒューマノイドたちを鍛え上げ、火星を跋扈する魑魅魍魎を一網打尽にしてまいりましょう!

『スカーズ・オブ・マーズ』公式サイト『スカーズ・オブ・マーズ』Steamストアページ『スカーズ・オブ・マーズ』ニンテンドーストアページ
《麦秋》

お空の人。 麦秋

仕事であちこち渡り歩いては飛んでます。自分が提供するものが誰かのお役に立てれば幸い。編集部および他ライターさん達のこくまろなキャラに並べるよう頑張ります。

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