『Dune: Awakening』原作愛溢れるプロデューサーにアレコレ聞いてきた!オープンワールドクラフトサバイバルMMOとして現れる“砂の惑星”【TGS2024】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『Dune: Awakening』原作愛溢れるプロデューサーにアレコレ聞いてきた!オープンワールドクラフトサバイバルMMOとして現れる“砂の惑星”【TGS2024】

映画版「DUNE」で主役をつとめたティモシー・シャラメさんについての話も。

連載・特集 インタビュー

新作オープンワールドサバイバルMMODune: Awakening』が、2025年初頭にリリースされます。9月26日から29日にかけて開催されたTGS2024にもブースが登場し、開発スタッフが来日を果たしました。今回は、同作のプロデューサーをつとめるNils Ryborg(ニルス・ライボーグ)さんにインタビューを実施してきました。本稿では、その模様をお伝えしていきます。

『Dune: Awakening』はその名の通り、伝説的な小説「Dune」をゲーム化した作品。最近では映画も公開され、SFファンのみならず認知度が広まっている作品と言えるでしょう。ゲームを手掛けるのは『Conan Exiles』を手掛けたFuncomであり、期待している方も多いのではないでしょうか。気になるゲームシステムはもちろん、「Dune」IPにかける情熱まで伺ってきました。

◆原作小説や映画がある「Dune」IPで『Dune: Awakening』はどう描かれるのか

――まずは自己紹介からお願いします。

ニルス・ライボーグ氏(以下、ニルス):プロデューサー及びストーリーシネマティクスを担当しているNils Ryborg(ニルス・ライボーグ)と申します。美術やストーリーに関する点などが得意な分野となりますね。

――「Dune」は非常に有名な原作小説のみならず、近年ヒットを飛ばした映画版「DUNE」も存在しています。まず、『Dune: Awakening』は小説・映画どちらがベースとなった作品かお聞かせください。

ニルス:私たちが『Dune: Awakening』の制作に着手した時には、実はまだ映画が公開されていませんでした。なので、基本的には原作小説を原典としています。映画の世界観のみならず、いちからIPホルダーの方々と協力し世界観を抽出し構築していきました。

――「映画のゲーム化ではない」ということですね。

ニルス:そうですね。あくまで原作小説のゲーム化です。私たちが『Dune: Awakening』を作る上で意識したことは映画とは違う世界線を作るということです。

映画を観た方はご存知かと思うんですが、主人公の「ポール・アトレイデス」は未来を観てしまうことによって逃れられない運命を背負う悲劇のキャラクターです。しかし、逃れられない未来を観る彼のような存在がいるとプレイヤーが主役の世界が作れないため、彼がいない世界を作りました。小説の中でも彼の出生にまつわる分岐があったわけですが、別のバージョンの分岐をした世界となっています。

世界線が違うわけですので、映画で死んだキャラクターと接触することもありえるのです。プレイヤーには、新しい世界を体験していただけるのではないかと思っています。

――映画版「DUNE」を観た方はやはり主人公「ポール・アトレイデス」を演じるティモシー・シャラメさんが印象に残ると思っていますが、彼は出ないわけですね!

ニルス:そうですね!ティモシー・シャラメさん演じる主人公を殺したというわけではなく、あくまでこの世界では生まれてこなかったという設定です。私自身も彼の演技に多大なインパクトを受けたので残念な選択ではあるのですが、主人公としての存在感と存在意義が「Dune」の世界では強すぎました。

“生まれなかった選択”をしたことによって、プレイヤーが「Dune」の世界でどのように生きていくのか、この砂漠の中にいるキャラクターたちと触れ合って物語を紡いでいくのかを、楽しんで貰えるはずです。

――個人的な話で恐縮ですが、親戚がティモシー・シャラメさんの耽美さに魅了され「Dune」の世界にハマりました。同じように、プレイヤーの中でもイケメンを作りたいと思う人がいるかもしれません。そこで、『Dune: Awakening』でのグラフィックやキャラクリエイトなどのこだわりについてお聞かせください。

ニルス:キャラクタークリエイトにおいては非常に多様な要素を包括して、様々な方に楽しんでいただけるのではないかと思っています。

ティモシー・シャラメさんのような生まれもって美の神に愛されたような造形を作り出すというのは、ゲームの開発者としても難しいところではあったんですが、 プレイ開始時のプリセットを基に体格や身長、タトゥーや傷などといった点から耳に口、顎の線であったりの細部などに渡り、非常に細かくキャラクターを作っていただけるかと思います。 もちろん美少年を作ることも可能です。これらは今も調整中ですので、これからさらに要素が加わることもあるかと思います。

私個人は、傷がたくさんあるような厳ついキャラクターを作りがちなんですけれどね(笑)。

――原作・映画とある「Dune」の世界で、『Dune: Awakening』がMMOゲームとして目指す立ち位置を教えてください。

ニルス:まずはMMOであることについてですが、これは私たちの会社Funcomが「オンラインを経由し人と人で遊ぶ」といった点がゲームの中心的な楽しさであると信じているところから来ています。私たちが過去に製作した『Conan Exiles』などのゲームでも協力要素がふんだんに盛り込まれているので、得意な所ではありました。

そこで「Dune」というIPに出会いました。このIPの特性としては人と人との関わりや政治的活劇などがありますので、そこをプレイヤーに味わっていただけるようなMMOを目指しています。

小説の中では、キャラクターが声に出さずモノローグとして心の中で考えを巡らすシーンが多くあります。これはひとえに“発言をすることが意味を持ってしまう”という政治的要素が強いからですが、MMOではそういったものも含めて、人と人とのやり取りの中でさらなる楽しみを見出せるのではないかと思っています。

もちろんオープンワールドサバイバルクラフトMMOですので、ゲームの初期段階は厳しい環境の中で生き残ることがプレイヤーの目標になります。しかし後半になってくると“生き残るだけ”ではなく、ゲームの中のキャラクターであったり、政治派閥と深く関わりを持っていくというドラマも展開されるでしょう。そういった人と人との関わりが、私たちの得意分野と合わさって楽しんでいただける箇所ではないかと思われます。

――ありがとうございます。「Dune」には様々な建造物が出てきますが、サバイバルクラフトで作れるようになる建造物についてお聞かせください。

ニルス:まず大きな建物、もしくは映画の中に出てくる荘厳な建造物というものは、プレイヤーでも作れるようになっています。 ただひとつ、「Dune」はまさに封建的な時代での物語ですので、何かをする権利を買うためには皇帝に税を収めなければいけないというシステムがゲームの中にも存在するわけです。

この世界においての税というのは「スパイス」ですね。惑星アラキスで取れる資源ですが、より大きなものを作ろうとしていくとそれ相応に税も増えていくので、「スパイス」を集めるということが必須になってきます。

そのために安全なエリアから危険なところに出向いて、リスクを冒しつつスパイスを大量に搾取 する、あるいは他のプレイヤーと協力して資源を入手するということ。さらには協力して建物を作っていくというようなプレイングが必要になってくるでしょう。

――敵対的なPvP要素などはどう扱われる予定なのでしょうか。

ニルス:『Dune: Awakening』は協力と敵対、それぞれいいとこ取りのバランスとなったゲームだと考えています。 プレイを始めてプレイヤーがすぐにたどり着く地点では、シールドという建造物であったり砂嵐から守るような設備もありまして、砂原からプレイヤーを守ることができます。この中ではPvP要素は排除されているため、他のプレイヤーとの交流は協力的なものになるでしょう。なのでこのエリアにいる間の敵は、厳しい環境であり“惑星そのもの”でしょうね。もちろん厳しい環境ですので、それだけでも歯ごたえがあるサバイバル、お楽しみいただけます。

ただ、ゲームの後半でより強力なアイテムを求めたり、リソース、スパイスを多く集めるつもりであれば、このシールドから外に出て、ディープサンドというエリアに向かわないといけません。ここではプレイヤー同士のインタラクションがより激しくなり、PvPもオンになります。

例えば、大量にスパイスを採取するとなったらサンドクローラーという地面を這うような巨大な収集用の機体が必要になります。そしてそれを運ぶためのヘリコプター、スパイスが溢れる地脈をいち早く見つける偵察部隊、そして連絡係も必要になるでしょう。

もちろん、そういった採取を狙い資源を奪うようなプレイヤーもいるかもしれません。それに備えた護衛団も必要になるでしょうし、略奪というプレイングも含め、協力、敵対共に楽しめるはずです。

――開発チーム、またはニルス・ライボーグさんがこだわり、関心を持ってほしい点をお聞かせください。

ニルス:個人的なバイアスが入っていますが、キャラクターであったり、ストーリーのシネマティクスに注目して欲しいですね! ここはぜひ見ていただきたいと声高に言いたいです(笑)。

さて、より俯瞰した目で言えば『Dune: Awakening』ではゲームの中でサバイバルというところが大きな筋になってくるわけです。まさに映画の中で出てくるような環境ですので、太陽が自分の水分を奪っていく環境でプレイヤーが「どう工夫して生き残っていくのか」と味わっていただけるでしょう。

たとえば夜に移動を行う、影の中で身を守る術を見つける、植物から水分を抽出するような機械もしくは発明を行っていく。 時には敵の血を奪ってそれを水分とするということもあるかもしれません。

さらに技術を発展させて、映画もしくは原作の中で出てくるようなスティルスーツと呼ばれるような「Dune」特有の技術を使って生き残っていく術を発見していく。まさに「Dune」という世界の中をプレイヤー自身の手で体験していただけるようになっています。

――「Dune」ファンは世界中にいて、海外での反応も気になります。現在の感触はどういったものでしょうか。

ニルス:今、公開している情報だけでも、海外ファンの方から好感触をいただいていて、何よりだと思っています。 ここからさらに「Dune」ディープなファンの方々には、私たちが作ったストーリーであったりシステムとして何を選んだかといったところをこれからより深く楽しんでいただけるのではないかと思います。

もちろん、私を含め制作チーム全員が原作小説の大ファンなのですが、特に私たちのクリエイティブディレクターがもう誰よりもディープな「Dune」ファンですので、非常に厳しい彼の目のもとで働いている状況です(笑)。そういった環境で制作をしているので、ストーリーであったりゲームプレイの側面から「Dune」愛を感じていただけるのではないでしょうか。

――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

ニルス:『Dune: Awakening』は 来年の初旬にリリースをする予定です。皆さんに完全な状態でゲームを楽しんでいただけるよう、スタッフ一同邁進しています。ぜひぜひ、お楽しみを! 日本語のローカライズも準備をしていますので、日本のファンの方々にもすぐに楽しんでいただけるはずです。

本の中での世界、映画の中で描写された“俯瞰の世界”と比べて、ゲームの中では実際に自分の目で「Dune」の世界を体験できます。どうぞリリースをお待ちいただければ幸いです。


『Dune: Awakening』は、PC/PS5/Xbox Series X|S向けに2025年初頭リリース予定です。

《高村 響》

ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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