神に“死”を与える『たねつみの歌』が描く、「16歳同士の3世代」を通して見る人と世界の関係性─柔らかな筆致で本質に迫る体験版をレビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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神に“死”を与える『たねつみの歌』が描く、「16歳同士の3世代」を通して見る人と世界の関係性─柔らかな筆致で本質に迫る体験版をレビュー

体験版を通して味わった『たねつみの歌』の魅力を、ネタバレ抜きでお届けします。

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神に“死”を与える『たねつみの歌』が描く、「16歳同士の3世代」を通して見る人と世界の関係性─柔らかな筆致で本質に迫る体験版をレビュー
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50万ダウンロードを突破した『ATRI -My Dear Moments-』をはじめ、『徒花異譚』や『ヒラヒラヒヒル』を続々と展開している「ANIPLEX.EXE」。「ノベルゲームだから、おもしろい」という力強いメッセージが、魅力的な作品を通して徐々に広まっています。

その活動は今も勢いづいており、この冬に新たなノベルゲーム『たねつみの歌』がPC向け(Steam・DMM GAMES・DLsite)にリリースする予定です。また、発売に先駆けて、その魅力を垣間見られる体験版の配信が、本日10月11日に始まりました。

この体験版にひと足早く触れる機会に恵まれたので、そのプレイ体験を通した先行レビューをお届けします。本作に興味はあるけど詳しい内容を知らない人や、体験版を遊ぶか悩んでいる方は、こちらの記事を参考にどうぞ。

なお、ネタバレを防止するため、物語そのものには詳しく触れていません。安心して記事をご覧ください。

■「みすず」が遭遇した、あり得ない出会い

本作の物語は、2023年に16歳の誕生日を迎えた少女「みすず」の視点で描かれます。彼女は、幼い頃に母親の「陽子」を病気で亡くしていますが、父や祖父母から豊かな愛情を受け取り、健やかに育ちました。

その誕生日の夜、「みすず」の元にひとりの女性が訪れます。同じく16歳の「陽子」──1996年の世界からやってきた、将来自分の母親となる少女と。さらに、2050年の世界へと移動し、16歳になった自分の娘「ツムギ」との出会いも果たします。

時間を超えた巡り合いは、不死の神々に死をもたらす儀式を行う「たねつみの巫女」となり、「常世の国」を渡り歩く旅へと繋がります。「みすず」から見て、亡くなったはずの母親と、まだ出会っていない我が子と共に歩む、本来あり得なかった奇跡の“旅”に。

■「同い年の3世代」の視点で描かれる物語

三世代の母娘たちは紛れもなく「家族」という繋がりで結ばれていますが、16歳時点の「陽子」にとって「みすず」との対面は今回が初めて。また「みすず」にとって、母親である陽子と共に過ごした時間は6歳までなので、記憶も思い出も遠くなっていました。そんな存在がいきなり16歳の少女として現れたため、その“非現実的な現実”に戸惑いを隠せません。

一方、2050年の「ツムギ」は、母親のみすずからこの時の出来事を断片的に聞いており、事態や事情は比較的すんなりと受け入れます。しかし、2050年時点で43歳になった母親のみすずのことはよく知っているのに、突如現れた少女の「みすず」のことは全く知らず、その隔たりや共通点を最も強く感じる立場にあります。

また、「陽子」と「ツムギ」は、現実世界で出会うことのなかった祖母と孫。関係は深いが接点はなかった者同士が、この旅を通して初めて直接関わるなど、どの角度から切り取っても興味深い関係性が綴られていきます。

母であり、娘であり、祖母と孫である彼女たちは、しかし全員16歳の少女で、その目線は同じ高さ。神の世界を旅するファンタジックな要素もある作品ですが、その中心で描かれるのは、三者三様な少女たちが感じるリアルな感情と新たな繋がりです。



《臥待 弦》
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