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独・ケルンで2009年より毎年開催されるヨーロッパ最大級のゲーム見本市「gamescom(ゲームズコム)」ですが、2025年はもっとも同イベントで世界中からの注目が集まる「Opening Night Live(ONL)」映像出展の料金が前年よりさらに跳ね上がり、小規模スタジオには厳しい状況となりました。
gamescomは、東京ゲームショウや今は無きE3と合わせて「三大ゲームショウ」とも呼ばれ、インディーから大手まで世界中から様々なゲームが集い新製品の試遊や発表を行う、ゲームファンはもちろんメディアからの注目度も非常に高い大規模イベントです。
2025年は8月20日~24日開催が予定されており、19日には恒例の“オープニングイベントとしてジェフ・キーリー(Geoff Keighley)氏が司会を務める、「Opening Night Live(ONL)」を生配信。このONLは会場となるケルンメッセに加え、YouTube/Twitch/TikTok/Steam/Facebook/X/Bilibiliなど複数プラットフォームで視聴でき、新作ゲームの告知とトレイラーやプレイ動画が発表されます。
ONLへの参加は、原則会場へのブース出展もマストに
注目度に比例しONLへの映像出展はかなりの高額に。2024年は30秒で115,000ユーロ(約1,860万円)、30秒刻みで5万ユーロ追加となり最長2分間で265,000ユーロ(約4,285万円)に。しかし、2025年のONLはさらなる値上げが行われるようです。公式サイトによれば、30秒で140,000ユーロ(約2,260万円)、最長3分で465,000ユーロ(約7,520万円)というかなり強気の価格設定です。さらに必要コストはこれだけではありません。公式サイトいわくONLへの参加には「会場内にミニマムサイズ(100平方m)以上のリアルブース出展が必須」と明記されています。なお、ブースは早割価格で150平方mまでなら1平方mあたり168,50ユーロ(約2万7,000円)です。
一方で、視聴率に大いに貢献するような目玉タイトル/ニュースに関しては主催者側がピックアップした「エディショナルプラン」として追加費用なしに設定されています。
しかし2024年のGame*Sparkの現地取材では、「ONLでの放送を確保するため、無理やりでも会場出展しなければならなかった」という声も実際に耳にしており、ONLには“絶対に外せない”ピックアップニュースと、映像を流す時間を買った実質コマーシャル映像がPR表記の区別もなしに紹介されている状況と言えるでしょう。
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固定ファンのついているシリーズ作品や一定以上の規模のタイトルにとって、世界から注目されるgamescomのONLへの映像出展はPR費用としてむしろ安いと言えますが、今回のさらなる値上がりにより躊躇する開発・販売元は増えると予測されます。
2024年には生配信のONLと別に、30分の事前収録番組がネット限定配信される「ONL pre show」があり、こちらは30秒で57.500ユーロ(約927万円)と少し低めの料金でしたが、公式資料を見る限り2025年はこのプレ枠がありません。
コロナ禍やいまだ続くウクライナ侵攻の影響で、物流・資材費・人件費すべてが世界的に高騰するなか、今回の値上げも致し方ないのかもしれません。ただ、ゲームジャンルを問わず大手からインディーズまで多種多様な新作を世界中のファンがチェックでき、gamescomを大いに盛り上げてくれるイベントだけに、出展できるメーカーが大きく限定されるような値上げ続きは残念なところかも知れません。
※UPDATE(2024/11/22 13:40):追加費用面や、エディショナル枠の存在の記載など、本文内容の追記を行いました。