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今回紹介するのは、高い評価を得たアドベンチャーゲーム『Dear Esther』で知られるデベロッパーThe Chinese Roomの一人称視点ADV『Everybody’s Gone to the Rapture ‐幸福な消失‐』。様々な要素が美しく絡み合い、融合した本作のプレイレポをお届けします。
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一人称視点で本作は進行するため、操作方法は左スティックの移動、右スティックの視点移動、○ボタン(×/□/△でも可)のインタラクト、コントローラーを左右に傾ける動作のみなので、複雑な操作はいっさい要求されません。
■イギリス、シュロップシャーで起きた奇妙な事件を追体験
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最初のロードはすこし長めだが、カットシーンと見紛うほどの景色からスタート、
本作でプレイヤーはイギリス、シュロップシャーにある田舎町を訪れ、全住民、滞在者が消えた地域一帯を探索。そこに残留している消えた人々の"意思"を追体験し、ここでなにが起きたのかを調査していきます。
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消えた人々の「意思」
序盤から登場する「光の玉」はプレイヤーの前を浮遊し、人々の"意思"へと導いてくれます。"意思"の前でコントローラーを左右どちらかに傾けると、時間が巻き戻され、光の粒子で形作られた「住人がまだ人だったころ」の会話が再生されます。
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「意思」の前でコントローラーを左右に傾ける
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突如すべての陸路を封鎖され困惑する住民
その過去の記憶では、町を封鎖された住人たちが、"なにか"によって人々が消えていくことに困惑したり、事態を打破すべく奔走したりする様子が映されます。また、音声はすべて日本語吹替えされているので、すんなりと世界観に入り込むことが可能です。
本編中では、すでに消えてしまっているものの多くの人物が登場します。とくに主要なキャラクターであるケイトやスティーブン、ジェレミー神父といった6人の人物は各エリアの主軸となるメインキャラクターに設定されています。本作におけるエリアは最初に訪れる「ヨートン」をはじめ、6つに分かれているので、1つのエリアに割り当てられた1人のメインキャラと、関係がある人々の過去(意思)を探索していくことで物語が進行します。
マップの各地に点在する"意思"をすべて見ると、上記のように各エリアに設定されたメインキャラクターの"消えるとき"が解除され、次のエリアに行けるようになります。なお、本作はオートセーブ式で"意思"を1つ見るとセーブされるため、プレイを中断する際の目安になるでしょう。
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左下の「ヨートン(YAUGHTON)」から探索していく
■美しいグラフィックに彩られた退廃的で儚い景色
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イギリスといえば…パブ
人々が姿を消したこの場所では、すべての時間が止まったままで描かれています。イギリス映画でよく見たパブやのどかな風景が広がり、古き良きイギリスが感じられます。ただし、1つ1つのエリアが思ったよりも広めに作られているにかかわらず、移動は歩くのみ。加えて、視点移動の速度も調節できないため、テンポに関しては遅いと感じるプレイヤーもいるかもしれません。
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しかし、CRYENGINEで描写された風景は掛け値無しに美しいと言って差し支えありません。主のいなくなった家々や牧場をはじめ、せせらぐ川、深深とした森など、一抹の寂しさを感じさせる景色や風景は、本来の目的を忘れて観光気分に浸れる違った楽しみ方を与えてくれるでしょう。
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本作に登場する作り込まれたオブジェクトの数々は謎に満ちた『Everybody’s Gone to the Rapture』の世界を理解するための一助となります。例としては複数のドアに貼られているQuarantine(隔離)の張り紙や、様々な建物内に落ちている血まみれのティッシュ、"星"や"蝶"、"光"という印象的なワードを使用した本やポスターが挙げられます。
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印象的なワードが何度も登場
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加えて、ラジオや電話などから流れる音声もその1つです。とくにラジオをインタラクトすると、本作で最も重要なキャラクター、ケイトの"なにか"に関する調査報告を聞けます。作中でこれらオブジェクトに言及することはほとんどありませんが、謎を紐解く鍵になるやもしれません。
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しかしながら、最大の魅力はなんと言っても夜空。トレイラー映像でも確認することはできますが、実際に見ると思わずため息がでるほどの絶景。シェアボタン連打間違いなしの夜空は、通常の探索時には見ることができず、"意志"を見ている最中、もしくは前述のメインキャラが消えたあと、次のエリアに行くときだけに限って見れます。星や光というワードがよく使われることもあり、ここは特に一見の価値ありと言えるでしょう。
■すべてに意味があるかのような示唆に富んだ世界
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本作をプレイしていると、おそらく複数の謎や疑問点に辿り着くでしょう。プレイヤーの目の前を浮遊し導いてくれる"光"、人々を消失させた"なにか"の正体、国内版の副題「幸福な消失」の意味など例をあげれば枚挙に暇がないほどに。
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人のほかに鳥にも影響を与えているよう
改めて言うようですが、本編中で人に会うことは一度もなく、どこもかしこも無人です。しかし、不思議と不気味さや恐怖は感じず、胸に去来するのは、ひたすら悲しく、温かく、儚い人々の想い。
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きっと、クリアしてもわからないことが頭に残ったままかもしれません。というのも、謎がハッキリと明かされず示唆されるのみで、情報が断片的にプレイヤーの前に提示されることが多いからです。ゆえに、繰り返しプレイして初めて気づくこともあるでしょう。
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多様な示唆と発見のバランスが心地よく、すべてに意味があるかのような意味深な作りは何度もプレイしたくなります。『The Vanishing of Ethan Carter』や『Gone Home』、開発元の前作『Dear Esther』などが好きな方はプレイしておきたいタイトルです。ちなみに筆者はときたま寄り道しつつ4時間弱でクリアしました。もっと細かく探索しながら進めることもできるので、プレイ時間は前後するかもしれません。
『Everybody’s Gone to the Rapture ‐幸福な消失‐』はPS4を対象に本日8月11日よりダウンロード版が配信中。価格は2,160円(税込)です。