◆新たなストーリー
前作『XCOM: Enemy Unknown』は国際秘密機関XCOMがエイリアンによる地球侵攻を防ぐという王道的なストーリーでしたが、今作ではXCOMの抵抗も虚しくその侵攻が成功し、エイリアンによる支配が完成してしまった世界が舞台。人類が再び世界を取り戻すために立ち上がるストーリーが描かれます。
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この像は前作の……!
具体的には地球の指導者たちが無条件降伏し、XCOMも解体されてから20年が経過。エイリアンは新政府「アドヴェント」を樹立して、人類との共存共栄と輝かしい未来を宣伝しています。しかしながらその裏では反対勢力を次々と抹殺するとともに、「アヴァター計画」なる謎の計画を進めていたのです。そんな中、散り散りになりながらもレジスタンスとして活動していたXCOMは、前作のプレイヤーキャラクターでもある“コマンダー”が、エイリアンに囚われて生きていたことを知り救出作戦を決行。本格的に反撃の狼煙をあげます。
ちなみに、人類がエイリアンに降伏したのは前作『XCOM: Enemy Unknown』におけるゲーム内容の3分の1あたり(拡張パック「Enemy Within」の内容はストーリーに組み込まれていません)。『XCOM: Enemy Unknown』は序盤の難易度が高いことで知られており、途中で挫折してしまった方も多いかもしれません。そういった意味では、今作のストーリーは前作の弱点をうまく利用したと言えるのではないでしょうか。映画「インデペンデンス・デイ」好きの筆者としては、圧倒的不利な状況から反撃を試みる展開はなかなか熱いものがあります。
さらなるストーリーの詳細は発売後に実際にプレイしてもらうとして、次は本題のゲームプレイについてご紹介します。『XCOM 2』の基本的なゲームシステムや操作方法、進め方はほぼ前作を踏襲しており、経験者であればすんなり受け入れられるでしょう。また、分かりやすいチュートリアルが用意されているので、初心者でも安心してプレイを始められます。
◆洗練されたゲームプレイ
ゲームは司令部で物資(資金)や人員の管理、研究開発や施設建造などを行う「戦略パート」、現場に出動しエイリアンと戦う「戦術パート」に分かれています。
「戦略パート」
前作との大きな違いの1つは司令部が移動式になっていること。エイリアンの輸送船を改造した“アヴェンジャー”に乗り込み、世界各地を飛び回って各国のレジスタンスとの連携を強めていきます。レジスタンスとの接触を増やすことで活動資金となる補給物資を増やし、エイリアンの計画を阻止するための情報を手に入れられます。
前作ではXCOM加盟国の離脱に怯えながら必死にミッションをこなしていた苦い記憶がありますが、今作では比較的ゆったりと進められる印象。メインミッションだけでなくサイドミッションにもじっくりと取り組めます。とは言っても、あまりのんびりしているとエイリアンのアヴァター計画が着実に進行していくので、研究開発や施設建造などは効率よく実行する必要があるでしょう。また、ワールドマップ上にはブラックマーケットが存在しており、素材や武器などアイテムの売買が可能です。
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活動範囲は全世界だ
研究はゲームを進める上で非常に重要な要素です。エイリアンの亡骸の解剖や回収したアイテムを調査することで、新たな技術が獲得でき、その技術を利用したより高性能な武器や装備、施設などを作ることができるようになります。研究を後回しにしているとジワジワとエイリアンに対抗できなくなってくるので、今何をすべきかを見極めて研究を行わなければなりません。中にはメインストーリーを進めるために必須な研究も存在します。
エンジニアリング部ではアイテムの作成や施設の建造を行います。前述のように今作の司令部はエイリアンの輸送船を改造したものであるため、施設建造スペースにはエイリアンの廃棄物などが残っていたりします。故に施設建造前に“掘り起こす”作業を行い、それらを撤去しなければなりません。掘り起こすだけでもゲーム内時間で数日要するので、手が空いている技術者がいるならすぐに作業にあたらせましょう。
なお、エイリアンはアヴァター計画の進行に加えて、レジスタンス殲滅のための陰謀を企てます。その種類は様々で、あらゆるゲリラ作戦に確実に増援が派遣される“迅速な対応”や、各ミッションに一般市民に化けたフェイスレスが潜む“エイリアンの潜入者”、アドヴェント兵に有毒弾が配備される“ヴァイパー弾”など、あの手この手でプレイヤーを苦しめようとします。見過ごせば後々の活動に影響が出るので、ゲリラ作戦を通じて早めに叩いておきます。
「戦術パート」
エイリアンとの戦闘はこれまでどおりターンベースで行われます。今作では新たに“潜伏状態”が加えられており、敵に発見されない限り密かに行動することができます。これにより包囲や側面攻撃で戦闘を有利に進められます。視界に入った敵を攻撃する“監視”などと組み合わせ、待ち伏せた敵を1ターンで一掃できるとテンションも高まります。
その他には“ハッキング”の要素が追加。すべての兵士はロックされたドアやコンピューター、チェストなどにアクセスが可能で、ロックの解除に成功すると何らかの報酬を手に入れられます。逆に失敗すると敵の増援などペナルティが与えられる場合があるので要注意です。
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敵の射線に入らないようにしよう
戦闘終了後には倒したエイリアンの亡骸やエイリアンの合金・結晶、補給物資などのアーティファクトが回収できますが、それとは別に“戦利品”(武器のカスタムパーツなど)というものがあります。こちらは戦闘中に倒した敵がドロップし、範囲内に移動することで入手が可能です。ただし、戦利品は前作拡張「Enemy Within」に登場した“メルド”のように、数ターンで自然消滅してしまうので、ドロップしたらなるべく早く回収しましょう。
ターンベースと言うと何となく地味な感じがしますが、『XCOM 2』では前作同様、移動や射撃アクションを大きく映すカメラワークによってスピード感や迫力を演出してくれます。しかしながら、時折位置がおかしかったり肝心な部分が見えなかったりすることも……。ストーリーに関わるシーケンスではしっかりとしたカメラワークでドラマティックな展開を見せてくれるのでご安心を。
◆より魅力的になった兵士
「クラス」
今作においてデフォルトで使用できるクラスは“遊撃兵”、“グレネード兵”、“狙撃兵”、“技術兵”の4種類。兵士のランクが新兵から一等兵に昇格した際に、ランダムでどれか1つのクラスが選択されます(ゲリラ戦訓練施設を使用すれば選択可能)。伍長以上からは二者択一で1つずつアビリティを選択することができます。
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クラスによって装備は様々
- 遊撃兵: 前作の“アサルト”に相当するクラスで、新要素の近接武器を装備しているのが大きな特徴。偵察や接近戦に長けたアビリティが利用可能。
グレネード兵: 前作の“ヘビー”に相当するクラス。キャノンやグレネードといった銃火器を装備しており、チームの火力の要。
狙撃兵: 前作の“スナイパー”に相当するクラスで、遠距離からチームを援護。ピストル中心のアビリティを選択すれば、接近戦にも対応できる。
技術兵: 前作の“サポート”に相当するクラス。グレムリンなるドローンを装備しており、離れた位置から味方を支援したり、コンピューターのハッキングなどを行うことが可能。
いずれのクラスも得意分野がハッキリ分かれており、彼らを戦場でどう動かすかを試行錯誤するのが本作の醍醐味です。なお、ゲームが進むと精神攻撃を駆使する“サイキック兵”も使用できるようになります。
サイキック兵の強力な攻撃
「カスタマイズ」
兵士のカスタマイズは大きく進化しており、非常に細かく設定することができます。これによって兵士への愛着はより高まることでしょう。
外見で威圧するのも大事?(そのような効果はありません)
- カスタマイズ可能な箇所
■ キャラクター情報
・名
・姓
・ニックネーム
・履歴
・国籍
・性別
■ 小道具
・ヘルメット/帽子
・腕
・脚
・胴体
・顔(上半分)の装飾
・顔(下半分)の装飾
・アーマーのパターン
・武器のパターン
・左腕のタトゥー
・右腕のタトゥー
・タトゥーの色
・傷跡
■ 顔
■ 髪型
■ 髪の色
■ 目の色
■ 人種
■ 肌の色
■ アーマーのメインの色
■ アーマーのサブの色
■ 武器の色
■ 声
■ 態度
上記のようにカスタマイズ可能箇所は広範囲におよび、小道具やアーマーのパーツも豊富。色々なスタイルの兵士で自分好みのXCOMを結成できます。また、兵士は専用戦闘チップで兵士の戦闘能力を向上させたり、アップグレードパーツで武器の性能を高めることもできます。専用戦闘チップとアップグレードパーツは、戦利品あるいはブラックマーケットで入手可能。
武器のアップグレードおよび専用戦闘チップによる兵士の強化
◆進化した敵
『XCOM 2』において敵となるエイリアンは文字通り大きな“進化”を遂げ、より人に近い姿になった者もいれば、より凶悪な姿になった者もいます。前作に比べて洗練されたデザインが征服者としての威厳を感じさせます。
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交戦する機会の多いアドヴェント兵。数タイプ存在し、それぞれ役割や装備が異なる
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二本足ロボのセクトポッド
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セクトポッドは脚を伸ばすともの凄い高さに
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謎の浮遊球体ゲートキーパー
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ゲートキーパーの中身が顕に!
いかにもな姿のエイリアンだけでなく、ロボットや人智を超えるような能力を持った敵が存在しており、プレイヤーは大いに苦しめられることでしょう。エイリアンのデザインに関しては公式ブログにおいても語られているので、興味がある方は要チェックです。
◆バラエティに富んだ環境
『XCOM 2』では様々な環境で戦闘が行われます。アドヴェントが作り上げた壮麗な都市部「シティ」から、エイリアン侵攻前の趣を残す「町」、犯罪や反社会的行為が横行する「荒廃地区」、アドヴェントの支配から逃れた人々が暮らす「下層地区」、人里離れ自然が生い茂る「原野」など、バラエティに富んだ環境はそれぞれ異なる建物や地形を持っており、必然的に敵との戦い方も変わってきます。また、サイドミッションのステージはプロシージャルに生成されるため、ゲームプレイにバリエーションをもたらしてくれます。
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「荒廃地区」
◆より美しくなったビジュアル
使用エンジンが独自に手を加えたUnreal Engine 3.5(前作はUnreal Engine 3)になったことで、ビジュアルも美しく進化。特に質感のクオリティアップは顕著で、非常に見映えが良くなっています。格好良いシーンがあると思わずスクリーンショットを撮りたくなります。
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まるでヒーローのようなサイキック兵
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サイキック兵がクリサリドをマインドコントロール
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強力な敵に立ち向かえ!
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ミュートンを斬り倒した遊撃兵
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XCOM兵士の集いの場であるバー。そして散った戦友を祀る慰霊碑……
◆まとめ
『XCOM 2』は『XCOM: Enemy Unknown』で評価されたゲームプレイはそのままに、要素の取捨選択を行い、さらなる洗練で全体としての完成度を進化させています。前作をプレイした人はもちろんのこと、ターンベースストラテジーを初めてプレイする人も十分に楽しめるのではないでしょうか。また、今作はPC/Mac/Linux専用ということで、既にModおよびSteam Workshopへの対応が発表済み。ゲームをクリアした後もModで長く遊べるかもしれません。
少し気になった点としては、ロード画面のセーブファイル順序がわかりにくいこと、前作よりもロードが長くなったこと、先にも触れたアクションカメラのカメラワークが挙げられますが、いずれも許容範囲でプレイを妨げるほどのものではありません。ゲームの面白さがそれらを忘れさせてくれます。とにかく完成度が高い作品なので、XCOMシリーズファンのみならず、SF作品やストラテジー好きなゲーマーはプレイする価値があるはずです。
発売日は2016年2月5日、Windows/Mac/Linuxを対象にデジタル配信予定。価格は通常版が7,000円、DLC「Reinforcement Pack」とサウンドトラックが付属するデジタルデラックス版が8,449円となっています。なお、2月12日にはWindows向けパッケージ版も発売予定です。