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あなたはTwitterに戻り、そこで湯水のようにあふれる怨嗟と後悔の声を浴びた。いつもどおりの作業だった。歪められた真実、ハード同士の言論戦争(というより糞の投げ合い)、差別されつづける女性と不具者とnoobたち。
さあ、明日も仕事である。いつもどおりの十二時間労働、もしかすると残業もあるかもしれない。そうなった場合、残業代は出ない。
あなたはいまの時代にはめずらしく、有線でLANを引いている。もとはネットゲームにおけるラグを最小化するためだったが、就職してしまったいまとなっては疲れ果てており、プレイする体力の余裕がそもそもない。
あなたはこの世界とあなた自身の生活について考えたが、その思索はあまりに辛い作業だったようだ。あなたはいつのまにかYouTubeに違法アップロードされたお笑い芸人の漫談を聞きながら、ストロングゼロの500ml缶を煽っていた。レモン味だった。
恐怖の触手が夜闇からしゅるしゅると伸びてあなたの顔に触れたが、アルコールがあなたに勇気をもたらした。あなたはLANケーブルを引き抜き、それをカーテンレールにひっかけて、そこからあなた自身をぶらさげて死んだ。そうするほかに、解決法もなかった。
もちろん自殺は問題の解決法ではなく、問題を消去する行為である。しかしあなたはそれでよかった。単純に、もうたくさんだったのだ。
あなたは天国にも地獄にも行かず、意味消失し、消えた。あなたが死んだことを儀礼的に悲しむ人間はそれでも何人かいたが、数年後には忘れ去られた。しかしあなたにはすでに何も関係がなかった。あなた自身の存在はもはや存在さえしていなかったし、したがってこの世の何事とも関係がなかった。それどころか、この世と関係がないという状態すら存在していなかった。あなたは虚無になったのだ。よかったなあ。
ゲームオーバー