『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』を皮切りに本格的なブームが巻き起こり、『フォートナイト』『Apex Legends』といったPC/コンソール用タイトルで今も注目され続けている「バトルロイヤルシューター」。モバイル向けに展開するタイトルも多く、プロシーンのみならずライトゲーマー層の間でも人気を博し、若年層ゲーマーの間でもおなじみのゲームジャンルとして定着しました。
様々な後発タイトルが発表される中、2020年1月上旬にSteamストアページが公開された『QUICAL』は他作品と一線を画す熱い視線を集めました。開発元はひとりの日本人大学生のみで構成されるsakastudio。本作では「(現状では)ソロプレイのみ」「1試合5分以内」というストイックなルールを採用しており、「ゲーム開始時に武器を選択するロードアウトシステム」とプレイヤーの強化/弱体化を設定できる「パーク/マイナスパーク」など、メカニック面でもユニークな特徴を備えています。
Game*Spark編集部はそんな同作開発元のsakastudioにミニインタビューを実施。これまでの開発エピソードや今後の方針など、気になる質問を投げかけてみました。なお、本稿で使用しているスクリーンショットはアルファ版のものであることにご留意ください。
――最初に自己紹介をお願いします。
sakastudio札幌に住んでいる大学1年生です。ゲーム開発は高校2年生ごろから始めました。学校生活以外ではずっとゲーム開発をしていて、息抜きでプレイも楽しんでいます。
――『QUICAL』の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか? 影響を受けた作品があれば、そちらについても教えてください。
sakastudio以前は別のFPSゲームを開発していたのですが、思ったより時間がかかりそうになったため断念し、2019年の7月ごろから『QUICAL』に着手しました。もともと『マインクラフト』のマルチプレイヤー用サーバーで公開されているPvPゲーム「SkyWars」が好きで、影響を受けました。「SkyWars」は10~20人が空に浮かぶ島の上で戦い、最後の一人になったプレイヤーが勝利する……というルールを採用しています。このゲームのFPS版が作りたいと思ったことが『QUICAL』の開発を始めるきっかけでした。
――改めて『QUICAL』の特徴を教えてください。
sakastudio本作では、今までのバトロワゲームにあったエリア運や、待ち時間、武器の探索時間などの部分を排除し、スピーディーで気軽に楽しめるシステムにしています。またゲームの戦略性を高めるため、ロードアウトやパーク制度を導入し、ある程度運に左右されないような仕組みを作りました。
――本作の開発の中で、外部人員の手を借りた部分や販売されているアセットを使用した部分などはありますか?
sakastudio外部人員などはおらず、開発に関わる直接的な作業はすべて私が行っています。アセットは、他サイトで配信されている銃や環境の3Dモデルを使用しています。『QUICAL』の基盤となっているFPSのシステム部分でもアセットを使用していますが、一部を改造しています。
――『QUICAL』のテストプレイを始めてから、どのような発見がありましたか。テスターからはどのようなフィードバックを得られたでしょうか。
sakastudio「なんとなく」というだけの理由で実装したジャンプ力上昇のパークが「現代兵士が真顔でピョンピョンするゲーム(笑)」と言われて意外と好評だったりしました。他にも「パークの付け替えによって行動パターンが大きく変わるから、そこをもっと押し出すといいかも」など、私が思いもしなかったフィードバックを得られました。
――ゲーム内容について教えてください。「プレイヤーの強化を行える“パーク”」「プレイヤーを弱体化させる“マイナスパーク”」の設定には、それぞれどのような効果があるのでしょうか。
sakastudioパークは他のゲームで見られるシステムと同様に、キャラクターを強化することができます。このゲームの場合は「ジャンプ力」や「足の速さ」「体力」、「リロード速度上昇」などを強化できます。また、このパークをマイナスにして、自分を弱体化させることも可能です。代わりにロードアウトに使えるポイントを増やせるので「リロード速度を落として足を速くする」「マイナスパークを大量に付けてアサルトライフルを2本持つ」といった戦略も選べます。
――将来的にはチームモードを実装予定とのことですが、その他に検討している追加要素はありますか。
sakastudio現段階では「壁歩き」や「壁ジャンプ」「武器のカスタマイズ要素」を追加しようと考えています。テストプレイヤーから「サーバーを建てるときに使用できるパークや銃を制限したい」といった意見をもらったため、細かな設定を加えられるサーバーオプションも充実させていきたいと考えています。
――『ARMA 2: DayZ Battle Royale Mod』から数えると、バトルロイヤルゲームというジャンルが世に出てから約7年が経ちます。後発作品として『QUICAL』がこれからどこを目指していくのか、教えてください。
sakastudioこのゲームは「5分で終わるバトロワ」として話題にしていただけました。しかしバトルロイヤルモードだけでなく、「チームデスマッチ」や「フリーフォーオール」などの一般的なFPSらしいモードも導入し、パークの付け替えによって大きく変わる戦略・戦術を楽しんで欲しいと思っています。
――ありがとうございました。
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