『Alan Wake』を始め、特徴的な作品を数多く生み出してきたRemedy Entertainment。昨年の12月には、開発を担当した『CONTROL』が大きな話題となりました。
『CONTROL』は「連邦操作局のビル」という限られた場所を舞台としながらも、現実世界に侵食する異常な存在の影響を受け、ビル内のロケーションは多彩に変化。異質な現象を雄弁に物語るデザインワークや「超能力」を駆使するパワフルなアクションなどが、特に注目を集めています。
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発売してから3ヶ月以上経過するため、すでに『CONTROL』を堪能し、エンディングを迎えた方も多いことでしょう。しかし本作で語られる物語は、まだ終わりを見せません。先日、DLCの第一弾となる「THE FOUNDATION」が、家庭用版に先駆け、PC向けにリリースされました。
DLCといえば、その世界を広げるような展開もあれば、ゲーム性に新たな刺激をプラスするものもありますが、このDLC「THE FOUNDATION」は『CONTROL』にとってどんな存在だったのか。その一端に迫る「THE FOUNDATION」プレイレビューを、今回お届けしたいと思います。
◆「THE FOUNDATION」のストーリーは、良くも悪くも『CONTROL』のテイストを継承
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この「THE FOUNDATION」は、本編のクリア後に遊べる追加要素となります。時間軸も、本編での問題を片づけた直後。プレイヤーが操作する主人公も、ジェシーが続投します。
今回は、新たに移動可能となった新セクター「基盤」での異変を受け、その調査に乗り出す形としてスタート。この「基盤」は、これまでのセクターと同程度の広さを持っている上に、一部では高低差もあるため、その広さはなかなかのものです。
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ネタバレになるので内容について詳しくは触れませんが、建物の下層にある「基盤」での異常は、連邦操作局の崩壊に繋がる危険性をはらんでいるため、その状況を打開すべくジェシーが「基盤」の各地点を巡ります。当然敵も立ちはだかり、銃(サービスウェポン)と超能力を併用するお馴染みのバトルも展開。
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また、かつてこの「基盤」を調査した面々が残した資料を辿ることで、「ここで何が起きたのか」「どのような現象が引き起こされているのか」の手がかりとなる情報が、断片的ながら少しずつ入手できます。起こった事態は“不可解”ながらも、その不可解さに振り回されるのは、『CONTROL』経験者ならばお馴染みの感覚。本編クリア後にしばらくプレイから遠ざかっていた方も、「THE FOUNDATION」をプレイすればすぐに「ああ、『CONTROL』に戻ってきたんだな」と実感できることでしょう。
ですが、『CONTROL』の物語といえば、専門用語の多さから来るとっつきにくさ、丁寧とは言いにくいローカライズ、事態や謎に対しての把握が必要など、いくつかの問題点がありました。そういった特徴の多くは、「THE FOUNDATION」にも引き継がれています。
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異常事態の解決を目指す展開は、調査班の資料でその異様さを垣間見せ、また本編にも登場した人物との接点も興味深い進展を辿ります。今の目的、過去の資料、謎めいた足跡と、大きく3つの柱でユーザーを先に促す「THE FOUNDATION」の物語は、『CONTROL』の世界をより深く理解する助けになる内容でもありました。
ただし、プレイヤーの相性に左右される面が大きいことも付け加えておきます。本編の物語がピンと来なかった人は、「THE FOUNDATION」も同様に感じるかもしれませんし、逆にしっかりと楽しめた方は、今回のDLCも味わい尽くせる可能性が高そうです。
◆本編以上に手強いバトルも? 新たな超能力は、爽快ながらも使い道は限定的
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『CONTROL』の醍醐味といえば、超能力を駆使するバトルも欠かせません。相手の攻撃をシールドで弾き、調査機器や剥がした壁、時には敵そのものを投擲して大ダメージ。回避や浮遊で相手を翻弄し、弱った敵を洗脳して一時的な仲間に仕立て上げる。シンプルゆえに力強い超能力を使いこなす戦いは、「THE FOUNDATION」でも充分に堪能できます。
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しかも「THE FOUNDATION」では、新たな超能力も登場。今回、クリスタルを一時的に急成長させる新能力を手に入れます。この超能力を使えば、足場を作ってより高い場所へ移動できたり、敵の足元に鋭いクリスタルを生成し、そのまま串刺しにすることも可能。見た目の急激な変化も手伝い、なかなか派手な能力です。
「THE FOUNDATION」を攻略する上でクリスタルによる足場生成は欠かせませんし、攻撃時にうまくハマれば手強い敵も一気に打破。使う際の手応えも感じられる新能力ですが、使える機会は限られており、特定の場所でしか発動できない難点も。
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いつでもクリスタルの棘が出せれば戦術の幅はかなり広がりそうですが、発動できるのはクリスタルの根本がある場所だけ。棘による攻撃は、特定の地点まで敵を誘導するか、進路がたまたま重なった時に発動させるか、この2つの使い方が基本となります。罠に敵を誘い込むような使い方を想像してもらえると、近いかもしれません。
そして、ジェシーが頼りにするもうひとつの武器「サービスウェポン」にも新たな要素が加わりました。「THE FOUNDATION」を探索していると、まだ先がありそうなのにクリスタルが邪魔をして進めない場面に直面することが多々。ですが物語を進行させることで、クリスタルを破壊できる能力が「サービスウェポン」に付与され、更なる探索が可能になります。
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「THE FOUNDATION」のプレイを進めると可能になる“クリスタルの生成や破壊”がバトルや探索に広がりを与えますが、生成・破壊ともに行えるポイントが決まっているので、自由度が低めなのが少々残念なところです。
「THE FOUNDATION」は本編のクリアが前提なので、「新たな超能力はもうちょっと派手でも良かったのでは・・・」と個人的には思いましたが、ゲームの仕組みに絡めた上にバトルのバランスも崩しておらず、絶妙な塩梅での導入と見ることもできます。
◆休日をまるまる「THE FOUNDATION」で楽しめるプレイボリューム
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クリスタルの生成・破壊による探索といった新要素だけでなく、様々なギミックも「THE FOUNDATION」に用意されています。一目で解法が思いつくものもあれば、解き方が分かっても実行に試行錯誤したり、ひらめきを要するケースもあるなど、難易度のバリエーションは豊富。とはいえ、「難しすぎて解けない!」みたいなギミックはないので、その点はご安心ください。
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「THE FOUNDATION」のプレイボリュームは、探索やバトルのリトライなども含めて、筆者の場合はざっと8時間ほどでした。いくつか手強いバトル(特にラスト!)があったので、本作のバトルに長けている方や探索を効率よく行える人は、もっと短時間でクリアできることでしょう。
その一方で、メインの進行とは切り離されたサブミッションや、本編でお馴染みの「隠されたロケーション」もあるので、全体のボリュームは決して短い内容ではありません。腕前にもよりますが、休日をまるごと使って遊ぶのにピッタリといったボリューム感です。
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特に、新たな変貌アイテムのアクセスに挑む「迅速プラットフォーム」は、かなりの難易度。ジェシーが乗る移動式の台座はスペースが狭く、いつものように縦横無尽に動くバトルが展開できません。浮遊はできますが足場は高速で移動しており、着地を誤るとかなりのダメージに。敵からの攻撃も激しく、しかも限られた足場では回避も厳しめと、なかなか厄介な戦いを強いられます。
ちなみに筆者の場合、「迅速プラットフォーム」を5戦ほどチャレンジしましたが、いずれもあえなく失敗。最後の敵(でありますように……!)の体力を半分ほど削ったものの、押し切ることはできませんでした。あくまで個人的な所感ですが、足場が狭くあれこれと手段を選べないため、メインストーリーの最終戦を上回る絶望感があります。
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歯応えのあるバトルもあり、数こそ少なめですが探索要素も健在。「THE FOUNDATION」の単体価格は1,580円(第2弾DLCを含むシーズンパスもあります)ですが、価格相応のプレイボリュームが用意されていると実感しました。
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クリアまでの通しプレイで実感した「THE FOUNDATION」の特徴に迫ってみましたが、要点だけ述べるならば、以下が主だったポイントとなります。
・ストーリー運びは、本編と同様のテイスト。『CONTROL』の物語が楽しめた方は、「THE FOUNDATION」で得られる情報を元に、更なる考察が味わえそう。新たな異変を追う中で謎の断片を集める楽しさも健在。明確で分かりやすい答えを求める人には、やや厳しめ。
・超能力を駆使するバトルも継続。新たな能力が加わったものの、バトル全体のバランスを変えるほどではなく、使える場面も限定的。かなり手強いバトルがあるので、腕に自信がある方はぜひチャレンジを。
・「THE FOUNDATION」のメインは新たな物語と新マップでの探索なので、シナリオ(とサブミッション)のクリアそのものが大きな目標。全体的なボリュームは相応にあり、急がずに全要素を楽しめば価格分はしっかりと楽しめる印象。
「THE FOUNDATION」は『CONTROL』の楽しさを受け継いだ中身になっているので、「これまでにない切り口」といった斬新な刺激はありません。ですが、本編が気に入った方にとっては、『CONTROL』の延長戦が楽しめる内容なので、まさしく正しいDLCと言えそうです。
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冒頭で述べた“世界を広げるようなDLC”ではありませんが、『CONTROL』の世界へ一層深く潜れる醍醐味が、この「THE FOUNDATION」で味わえます。作中で見つかる様々な資料を読み漁り、よりディープな『CONTROL』の世界へ潜り込むのも一興でしょう。