現在各プラットフォームのダウンロードストアではゴールデンウィークセールが開催中。読者の皆さまもどのタイトルを買おうか迷っていることと思います。そんなときに参考になるのがレビュー記事です。プレイ前にイメージを固めておくのにも役立ちますし、評判の善し悪しも把握することが出来ます。レビュー記事はメディアにとって花形であり、様々に趣向を凝らした書き方をしてたりもします。今回はそんなレビュー記事独特の表現について見ていきましょう。
練習問題の解説
問題:We’ve been through worse than this before.
回答例:これまでも我々は今以上の苦難を切り抜けてきた
“be through”で「済ませる」「終わらせる」で、“have been”は継続、経験したことを意味します。“worse than this”で「これよりも悪いもの」、全体をまとめると「我々は以前もより悪い状況を乗り切ったことがある」となります。
ダッチが熱弁を振るう場面のため、ここからさらに演説風の口調に替えて「これまでも我々は今以上の苦難を切り抜けてきた」としました。
読み物として面白いレビュー記事の表現
海外の批評はオブラートに包むことなく、ダメなものはとことんダメだとはっきり言います。そのため日本人からすると喧嘩を売っているようにも思える表現も。その代わり、その作品しか持っていない良い部分にはとことん褒めます。さらに、長めになる記事を読み物として面白く仕上げるため、読んだ人に「なるほど」と思わせたり、あるあるでクスッと笑わせたりと、担当するライターには優れた表現力が求められるのです。
WCCFTECK -Pokemon Mystery Dungeon: Rescue Team DX Review - Keeping it Roguelite
This Mystery Dungeon is worth unraveling, provided you don’t mind a roguelike that’s more relaxing than rigorous.
「厳しさよりむしろ安らぎのあるローグライトを気にしないなら、この不思議のダンジョンに挑む価値はある」
“is worth ~ing”は「~の価値がある」と訳され、このフレーズがあれば好評価は間違いありません。日常でも何かを勧めるするときには間違いなく使えるので、覚えておくと非常に便利です。HARDCORE GAMERS -Review: Final Fantasy XV
final four chapters wind up ruining what would’ve been a decent adventure thanks to the poor plot devices.
こちらは逆にこきおろしの評価より。「poor」で貧弱な、「ruin」で台無しにする。特に「ruin」は少しどころではなく壊滅的に失敗、というニュアンスを出すので、レビュアーにしてもとにかく面白くなかったというのが伝わります。
The Sixth Axis -Death Stranding Review
Death Stranding is like nothing I have ever played; beautiful, heart racing, heart breaking, frustrating, epic, stunning, and utterly nuts. I laughed, I cried, I cursed, and I went to the toilet an awful lot. Death Stranding isn't just my Game of the Year, it's a contender for Game of the Generation too.
「『DEATH STRANDING』はわたしがプレイしてきたゲームとは非なるものだ」の後は、様々な感情をひたすら列挙しています。その中には「frustrationg」「cursed」というネガティブなものも。ただ楽しいだけでない、いろんな種類な体験が起こると言うことを示しています。途中にある“utterly nuts”の「nuts」はナッツではなく、ここでは「crazy」、つまり「馬鹿馬鹿しいこと」です。
Nintendo Life -Animal Crossing: New Horizons review
it’s basically all down to you to fund a tycoon racoon’s mad obsession with Bells, and maybe make your island into a town in the process.
「ベルの亡者たるアライグマの事業家に金を支払うのが全ての基本となる」と、なかなか手厳しい表現です。ゲーム中の捕獲ダジャレよろしく、「tycoon」と「racoon」をかけていますね。さらに「狂ったようにベルに取り憑かれた」“mad obsession with Bells”とひどい言われよう。Tom Nookに対する「罵倒」表現はどこの記事も工夫を凝らしていて、読み比べるのも面白いですね。
「Narrative」って結局どういうこと?
近年のゲームレビューにおいてよく登場するのが「ナラティブ」というワード。日本語の意味を調べると単に「物語性」「文学性」ぐらいしか出てきませんが、結局定義としてどういうものなのか、改めて確認しましょう。
ケンブリッジオンライン辞書では“A particular way of explaining or understanding events”、「事象の理解や説明における特定の手法」とあります。つまり、発生するイベントに対して「どのような解釈をするか」が問題となります。定義からすると、「ナラティブ」には「何者かによる意味づけ」が付随されるのです。例えばドキュメンタリー番組にナレーションを付けると、撮られた側と違う意図が生まれることがありますね。これが「意味づけ」、つまり「ナラティブ」の効果なのです。
ゲームにおいては、この「意味づけ」を行うのがプレイヤー自身であるのが「ナラティブ」だとされています。明確な主人公はもちろん、『ペルソナ』や『ドラゴンクエスト』のようないわゆる「無口主人公」であっても、ガイド役の主導が強かったり、プレイヤーと乖離する行動が多かったりすると、それは「ナラティブ」ではありません。
「ゲーム内の事象にプレイヤー自身が解釈を持ち、物語を各々で想像する余地を残している」、これが「ナラティブ」の定義となります。「ランダムイベントなどによって各々のプレイスルーが異なる」ことが「ナラティブ」だとされることがありますが、定義からすると「断続的なイベントの行間に、プレイヤーの感情や解釈が加わってひとつの物語が形成される」と言い換えられるでしょう。
覚えておきたい英単語集:褒めるときに使える称賛の言葉
- Spectacular:華々しい、ドラマチック
- Phenomenal:驚異的
- Hallmark:太鼓判
- Teeming:溢れる、豊かな
- Engaging:魅力的な
- Hooked:惹き付けられる、夢中になる
- Gorgeous:ゴージャス、絢爛豪華
- Stunning:見とれる、見事な
- Outstanding:傑出している
- 9 out of 10:10点中9点