今回はリズムゲームの元祖『パラッパラッパー』を特集します。フリースタイルラップがブームになり、体育の授業にもダンスが取り入れられ、最近ヒップホップが再び注目を集めています。この作品に続いてこれまでに多くのリズムゲームが登場しましたが、ラップをテーマにしたものは今でもなかなかありません。ダンスもPlaystationで初めてモーションキャプチャが使われ、しっかり踊れる振り付けになっています。
ステージが6つで今となっては少々物足りませんが、PS4でリマスターされた音源は色褪せません。改めて英語ラップに挑戦してみませんか? 合い言葉はもちろん“I gotta BELIEVE!”
練習問題の解答
回答例:血に塗れたこの戦禍の中を、私はいつまで戦えるのだろう?
いったい、いつまで……?
2行目の“How long, I wonder?”は、1行目の“How long ~”のリピートの後に弱気や自信のなさを示す“I wonder”を付け加えています。“How long”が“I wonder”にかかっているのではないので注意です。
「チェケラ!」にみる英語発音の変化
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ラップの真似をするとき、大体は「チェケラッチョ」が真っ先に出てきます。これは“Check it(this) out, YO!”がやや訛ったもので、MCが始めるときの合図としてよく使います。日本でもすっかりおなじみになったこのフレーズですが、実はこの「チェケラ」は英語における訛りの要素がまとまった見本に最適なのです。
この中に含まれているのは「リンキング」「フラッピング」「リダクション」の3要素で、アメリカ英語のリスニングには必ず知っておかなければいけないもの。それぞれ『パラッパラッパー』で出てくる例を元に解説します。
リンキング:語末の子音と語頭の母音が結合する
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Whatcha gonna do when they come?
日本語の発音だと基本的に子音と母音はセットですが、英語の場合は語頭、語末にある子音は子音のみで発音します。語末の子音の次に、語頭が母音の単語が来た場合、子音と母音が繋がって発音される「リンキング」(リエゾン)が発生します。「Check」の「K」と「it」の「I」が繋がって「KI」に変化、「チェキ」という発音になるのです。
例文の「Whatcha」は元々“What ya”がリンキングしたもので、そこからこのような文字表記が生まれました。
フラッピング:母音に挟まれた[T]の発音が[R][D]に変化する
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Butter butter butter, joins to the bowl
続いて“it out”ですが、リンキングで続けて発音すると普通「タ」の音になるはずです。ですが「T」の子音には「フラッピング」という別の現象が働き「ラ」の発音に変化します。
「T」の音は声帯を使わない舌先と歯茎の破裂音、「無声歯茎破裂音」といいます。母音が続くときにこの発音をすると、一旦声帯の動きを止めなければいけません。そのため、有声を続けたまま歯茎をつかう歯茎はじき音の「R」、有声歯茎音の「D」へ変化するのです。英語の授業でも「Water」は「ウォータ」ではなく「わぁーらー」と発音するように習ったと思います。
このフラッピングはイギリス英語にはありません。イギリスでは子音を強く、アメリカでは母音を強く発音する傾向があるので、アメリカ英語らしい発音をするなら声を大きく出していくと、フラッピングが自然に起こるようになります。
みんな大好きニワトリ先生のパートでは「Butter」3連発が出てきます。「バター」ではなく「ら」の音に変えてまねしてみましょう。
リダクション:発音の一部が抜ける
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Kick to the limit, in order to get her now
“Check it out”の最後はほとんど「あぅ」と発音し、語末の[t]はほとんど無視されます。副詞など使用頻度の高い語ほどきっちり発音しなくても通じるので、弱い子音は落としてしまうことが多いのです。また、日本人の英語もこのリダクションが起こりやすく、語末を落とす、あるいは母音を足す、「あいうえお」の母音にする「日本訛りの英語」は広く認知されています。
『パラッパラッパー』ではステージ1のタマネギ先生が日本訛りで、パラッパと発音の違いを比較できます。
今週のキーフレーズ:But I’m a chicken got it? Ya beef jerky!
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いつか間抜け(Turkey)って言われたけど
あたしゃニワトリ(chicken)だよ こんにゃろめ(beef jerky)!
七面鳥、鶏、ビーフジャーキー、料理番組なので肉の名前が出てきましたが、これをスラングとして読むと相当口の悪い罵倒表現になります。 ちなみに肉の方の「ジャーキー」はメキシコのケチュア語で干し物を指す「チェルキ」が変化したもの。スラングの方は「Jerk」からで、語源が違うものがダジャレ的に一緒になりました。
練習問題:次のフレーズを訳しなさい。
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I’ve been working here ever since my mama was baby
ステージ3のカエル先生より。文自体は現在過去完了で難しくないですが、ひとつ引っかけが入っています。状況から正しい意味を推測しましょう。