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バンダイナムコエンターテインメントから発売されたばかりのレーシングゲーム『Project CARS 3』(PS4/Xbox One/Steam)は、リアリティを追及しながらも、レーシングゲームの間口を大きく広げました。
世界の名だたるブランドから200以上の名車やレースカー、全世界にまたがる120以上のコースを収録しているので、クルマ好きはもちろん、モータースポーツが好きな方にも、オススメしたい作品です。
ポイントは3つあります。まずは、直感的な操作性に加えてアシスト機能もあるので初心者でも遊びやすいこと。次に、天候や気候の変化などダイナミックかつ壮大な景観が美麗グラフィックで表現されており、圧倒的な没入感を楽しめること。最後に、数百種類の自分好みの車の購入でき、ハンドリングやエンジン出力など車の性能の向上、ショールーム/ガレージや車とレーサーのカスタマイズなど、やりこみ要素が充実していることです。
レースゲームとしてパワーアップしつつも、数多くの実車が登場するなどその再現度の高さも特徴の一つである最新作。そんな本作がプロの目から見てどれだけリアルなのかを検証するため、Game*Spark/インサイド編集部と自動車メディア「レスポンス」で共同企画を実施。「自動車メーカーの人が『Project CARS 3』をプレイしたらリアルに感じるのか!?」ということで、日本を代表する自動車メーカーの三菱自動車工業と本田技研工業、それぞれの担当者に実際にプレイしてもらい、正直な感想をうかがいました。
三菱のイメージリーダー「ランエボ」はどこまでリアルなの?
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三菱自動車工業 国内営業本部の村田裕希氏は、三菱自動車工業が生産・販売していたスポーツカー「ランサーエボリューション(通称、ランエボ)」を選択(1992年~2015年)。初代モデルは三菱が世界ラリー選手権(WRC)におけるホモロゲーションの取得を目指すために生産され、ラリーのベース車両としての基本性能やレカロ社製のスポーツシートやMOMO社製ステアリングなど豪華な装備が人気を集め、三菱のイメージリーダーの一つになりました。
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ランエボで4年連続ドライバーズチャンピオンを獲得したことを記念して、
ランエボVIをマイナーチェンジしたトミー・マキネンエディションが発売。
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今回はカラーリングもあわせて“試乗”してもらった。
――さっそくコースを走ってみていかがですか?
村田裕希氏(以下、敬称略)アシスト機能がすごく充実していますね。ギアチェンジもオートでやってくれるし、コーナーでもベタ踏みすれば、ぶつからないように曲がってくれる。ここまでサポートしてくれる機能は他のレーシングゲームではなかなかないので、ビギナーに優しいです。本格的なレーシングゲームは敷居が高いから、操作方法を学んで段階を踏んで行けるのはありですね。
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――もちろん、アシスト機能は自由に設定できるので、全部無しにもできます。
村田アシスト機能もいいですけど、やりこみ要素があるのは嬉しいですよね。やって終わりのレーシングゲームはつまらないですから、キャリアを積んで欲しい車を手に入れていくと言った成長要素があるのも良い。
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――ゲームはよく遊んでいました?
村田PlayStation 3をよく遊んでいましたね。自動車メーカーは休みがまとまっていて長いんですよ。連休が10日間くらいある時は前日に、中古屋さんで5~6本買ってずっと遊んでいました。いまだにPS3が手放せないのは、ソフトがすごく安く買えるからです。今は家族がいるのでずっと遊んでいたら怒られちゃいますけど(笑)。
乗り物が好きなのでレース、シューティング系はよく遊びます。他にも歴史やスポーツのシミュレーションゲームも。11月にPlayStation 5が出るということですが、今のうちにPlayStation 4を買っちゃうか悩んでいます。
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――本作だとサーキットを選べるだけじゃなく、季節や天候も変えられますし、雨は降水量も調整できるんですよ。
村田細かい!せっかくなので、雨の中を走ってみます。光の反射もキレイですね。路面も徐々に乾いていくのかぁ。レコードラインから変わっていくのもリアルです。
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――ご自身でもサーキットは走られるんですか?
村田モータースポーツは昔からやっていて、学生時代から10年くらいダートライアルという競技に出ていました。砂利道を走るので基本は横向き運転なんですよ。舗装はちょっとハンドル切れば車曲がるけど、砂利は思いっきり切らないと曲がらないといった違いがあります。
――ダートレースのジャンルのゲームもたくさん出ていますね。モータースポーツのゲームは歴史も長いのでないジャンルを探す方が難しいかもしれません。
村田いまだにPS3をプレイしている身なので、こんなにリアルな進化をしているなんて想像つかなかったです。
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――フォトモードも充実していて、被写体深度とか色々いじれるんです。結構ハマっている方多いんですよ。
村田下から煽って撮る感じが車好きには楽しいと思いますね。たまにドリフトで角度が決まったところだけ撮るとかの楽しみもあります。あと、ドリフトをしながら思ったのですが、上りのカーブなどでは後ろに荷重がかかっているのもリアリティがありますね。
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フォトモードは走るのに疲れた時に良いですね。車好きな人は自分の車を見ているのが好きなので、さらにカスタマイズできた時にはたまらない時間だと思います。SNSのアイコンとかをこういう写真にしたいですね。それこそ、弊社のカタログでワンシーンに使いたくなるレベルだ(笑)。
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――リアルでありながらも、カジュアルな要素もあって間口を相当広げている作りに感じられますね。
村田作りはすごくリアルですよね。運転ではやっちゃいけない動きをしたら、車が本当にそういう動きになりますし。リプレイを後から見るのも楽しいですよね。単純なレースゲームよりも要素が多いのでのめり込める気がします。
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世界最難関のサーキット「ニュル」は本職も太鼓判を押すリアルさ
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足元は見えませんがレーシングシューズに履き替えて準備万端。
本田技研工業ブランド・コミュニケーション本部広報部の木立純一氏は、ドイツにある世界一過酷なサーキットと呼ばれる「ニュルブルクリンク(通称・ニュル)」を選択。同社の開発した新車のテストを実施している重要なコースでもあり、数々の有名なコーナーで知られる難易度が高いコースです。
木立氏は広報という立場で、ホンダの技術やそれに基づく走りについてユーザー向けに分かりやすく伝えるだけでなく、開発ドライバーを育成する立場としてニュルを知り尽くしています。さらに、毎日寝る前にレーシングゲームをこなす熟練の腕前で、アシスト機能なしに同サーキットを快走してくれました。
――プロの開発ドライバーに失礼な表現かもしれませんが……とても上手ですね。プレイしてみていかがですか?
木立純一氏(以下、敬称略)まず、グラフィックが良いですね。挙動については、バランス的にシミュレーターのようなガチガチの再現度というわけでもなく、かといって設定が現実とかけ離れているかと言われれば全然そんなことはありません。実際にホンダのクルマで走ってみましたが、ステアリングやブレーキの感覚などもかなり実車に近いレベルで再現できていると思いますよ。なんならリアルより良いクルマかも(笑)。
一方で、クルマやレースをよく知らない人だととっつきにくいレーシングゲームが多いので、アシスト機能なども充実していますし、ゲームとして気持ち良く楽しめると思います。慣れたら無効化できるので、こうした入口から車好きが増えてくれると嬉しいです。
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――木立さんは「ニュル」にはどのくらいの頻度行かれるのでしょうか?やはり昨今の状況ではなかなか行けないと思いますが……。
木立毎年3月くらいから走行が始まるんですが、年5回くらいは行っていますね。しかし、今の状況ではニュルに行けないので、ニュルのコースで評価できることを集約して作った北海道・鷹栖にあるテストコースや鈴鹿サーキットやツインリンクもてぎを走ってます。
――改めて、木立さんのお仕事についてもおしえていただけますか?
木立商品に紐づく強みや技術を翻訳し、メディアを通じてお客様に伝えるのが広報の仕事となります。私の場合は、広報の仕事もやりながら、商品開発の仕事もやっています。担当はヒトとクルマを繋ぐヒューマン マシン インターフェイス(通称:HMI)です。例えばメーターの見え方や、ドライバーからの視界など、走行中の安全を担保しながら必要な性能を動的な観点で評価し、開発メンバーと話して取り組んでいます。
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――開発ドライバーの人材育成も担当されているんですよね。
木立はい、国内のテストコースやニュルブルクリンクを使った開発ドライバーの育成も担当しています。開発ドライバーというのは、開発中のクルマをテストコースやサーキットなどを使い、車両性能を評価して図面に落とし込むのが主な仕事です。
――開発ドライバーは、レーシング経験がある方が多いんですか?
木立いえ、レース経験の無い人もいます。ニュルを走行できるレベルに達するには、国内のテストコースやサーキットで10年ほどの経験が必要です。それでも、ニュルは100周ぐらい走らないと走り方を覚えられない。それから徐々にペースを上げて、車の挙動を体で感じてもらって、感性を磨き、ようやく開発や評価ができるレベルになります。
――そもそもニュルブルクリンクというのはどういうコースなんでしょうか?
木立ニュルブルクリンクは、全長20.8キロの世界最長サーキットです。北コース(ノルドシュライフェ)とGPコースがあって、有名な24時間レースは北コースとGPコースを繋げて開催されます。このコースはタイムアタックのイメージが強いんですけど、実際は、欧州メーカーを中心にハイパフォーマンスカーだけでなく、私たちにとって身近なクルマのテストも行われています。
北コースの特徴を簡単に説明すると、高低差が約300メートル、大小172ものコーナーがあり、ジャンピングスポットや、車両挙動が不安定になる場所も多く、なにより路面のμが低いのが特徴で高度なドライビングスキルと判断力がドライバーに求められるコースです。ギャラリーコーナーという場所では、カメラマンが待ち構えてスクープ写真を撮っています。
――実際に遊んでみて、本物のニュルと比較するとどうでしょうか?
木立コースのレイアウトはもちろんそのままで、かなりリアルですね。ニュルは路面のアンジュレーション(起伏)が激しいんですけど、それもかなり高いレベルで再現されています。正直思っていたよりもかなり良いですね……。ゲームをプレイしているだけで練習にもなりますし、今は他のレーシングゲームをプレイしていますが、本作も好きになりそうです。
あと、サーキットの中だけではなく、コースサイドに見える古城や町並みもほぼ完璧に再現されています。
――実際の開発ドライバーにクルマもサーキットも太鼓判をもらえるって相当高いレベルで再現されているんですね。
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木立では、ウェットで走ってみますか。……ちょっとブレーキは効きすぎる感じもあるけど、微妙に滑る感じも結構再現されていますね!ちなみに雨の日は、訓練走行はしますが、テスト走行は条件が異なるのであまりしないんです。訓練走行時に体感するウェットな路面もかなり再現されていますね。実際に走っている感覚にかなり近いなぁ。
――最後にフォトモードはどこで撮りましょうか?
木立やっぱり、ギャラリーコーナーで撮りましょう!この辺りにカメラマンがよくいるので。ここ!こういう感じ!スクープ写真にありますね(笑)。クルマ好きの方にはすぐ分かるはずです。
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両氏とも、リアリティあるクルマの再現度にかなり満足している様子で、プレイ中もかなり真剣にその挙動を確かめながら細心のレーシングゲームを堪能していました。口を揃えて、ビギナーにとっても敷居が低いこと、ある程度腕に自信のある人でも楽しめることに言及していました。本作ではサーキットの走り方が分からずともかなり細かくブレーキタイミングやコースを指示してくれるので、初心者でも安心です。
もちろん、上級者はマニュアルでの運転や、マルチプレイなどでライバルと腕を競い合ってさらに高いレベルを目指してプレイすることもでき、両氏が指摘するように間口はかなり広いゲームになっています。
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『Project CARS 3』公式サイト