1274年10月3日、高麗を征したモンゴル帝国が対馬・小茂田浜に襲来。対する日本側はわずか80騎のみで立ち向かい、奮戦空しく部隊は全滅しました。世に言う「文永の役」の開戦です。
今回取り上げるのは、元寇の対馬を舞台にした侍アクションRPG『Ghost of Tsushima』です。昨日17日には待望のマルチプレイモードが実装され、再び対馬に馳せ参じる侍達も多いでしょう。対馬では鎮魂のため毎年「小茂田浜神社大祭」が行われており、今年も11月8日に開催予定です。疫病対策を講じた上で、本作の舞台となった史跡に足を運んではいかがでしょうか。
練習問題の解答
回答例:ま、とにかくクロのおしおきを始めちゃおうよ! だって、“みんな”がお待ち兼ねだからね!
“waiting for”を単純に「待っている」としても間違いではありませんが、ここはストーリー上重要な場面なので一ひねりほしいところ。こんなときは類語辞典(シソーラス)を使ってもっと印象的になる言葉を探しましょう。最近は機械翻訳も質が良くなっているので、翻訳をやるなら類語辞典を使ってディープラーニングに負けない語彙力を身につけましょう。
Let’s Play in English:日本訛りも立派な英語
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本作では登場人物のほとんどが日本人なので、登場人物の喋りは日本人のアクセントに寄せているようです。地名や人名も日本語の発音に準じており、違和感のあるところはほとんどありませんでした。武士や僧侶身分のある人々は丁寧に話すので聞き取りもとてもやりやすいですね。地名はわかりやすさを優先して「Golden Temple」「KISHI Grassland」のように固有名詞でなければ英語に訳してあります。
蒙古兵の言葉は日英共通ですが、「Rice!(米を出せ)」と言葉を使い分けているのが確認できます。日本語では吹き替えの都合上蒙古兵が何を言っているか分からないまま、雰囲気で察するという形になるので、ここは日米での大きな違いです。
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俳句はもちろん形式に則ったもので、ダイスケ・ツジ氏による落ち着いたトーンの朗読は日本語とは違った味がありますね。
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海外のプレイヤーでも思い入れが出来るように、馬の名付けにも意味が併記されています。
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天照大神や迦具土神など日本の神は“kami of ~”と表されます。通常使われる「Divine」や「Spirit」は西欧宗教のイメージが入るので、「神」はそれらとは世界観や信仰の精神を異にするということです。制作者が日本の精神性を大事にしていると分かる表現ですね。
「誉れ」以外にもあったもうひとつの「HONOR」
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「誉れ」――作中で侍の精神を表すものとして語られ、仁の生き方の根底を成す言葉です。自らを律する姿を見せ、そして強大な敵に立ち向かう武勇を民に示す。仁を育てた地頭の志村はそのように説明します。非道な手を使わず、正しい方法で勝つことが肝要であると。
誉れを捨て去れば侍でなくなるのか――そんな葛藤が本作の大きな軸となるのですが、実は英語版には翻訳が出来なかったもう1つの「HONOR」があります。
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神社や墓に「手を合わせる」ことを、英語では“HONOR ~”と表しています。ここでは動詞としての「Honor」ですね。ケンブリッジ辞書では“to show great respect for someone, esp. in public:”とあり、『Ghost of Tsushima』では神や死者に対して畏敬の念を示す日本の所作を表現しています。
神社や祠に礼拝すると、お守りによって仁に加護が授けられますね。この文脈からすると、侍における「Honor」とは「民に尊敬される武勇を持つ」「助けを求める声に応える」ことが重要です。優れた武人が伝説になるように、民にとって侍は一種の守り神のような存在なのです。一般人を超えた神懸かり的な武勇を持っているのではないか、そんな期待も含まれているかもしれません。
冥人は残虐な殺しで恐れられつつも、対馬を蒙古から救う武人として民の期待を背負います。荒魂と和魂が表裏一体であるように、「畏れ」と「敬い」を同時に受ける仁は、侍とは違う「荒神」のように「Honor」を人々から受けていると言えるでしょう。
覚えておきたい英単語集
- Peasant:百姓
- Resolve:決意、不屈の精神、気力
- Deflection:逸らす
- Traitorous:裏切りの
- Stagger:よろめき
- Massacre:皆殺し
- Conspiration:謀議
- Attire:装束
- Straw hats:菅笠衆
- Heavenly Strike:紫電一閃
今週のキーフレーズ:You have to do whatever it takes to survive.
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生きてくためには何でもやらなきゃ
屈辱的な敗北の末、死にきれなかった仁に、ゆながかける言葉です。道半ばの討ち死によりも、手段を選ばず生き抜く。侍の生き方しか知らなかった仁が、彼女の言葉でその価値観を揺るがされる場面ですね。“do whatever it takes to ~”は「~のためにはなんでもやる(手段を選ばない)」というフレーズで、切羽詰まったシーンでよく登場します。“It takes ~”は「時間がかかる」という意味で使われますが、このような「必要なこと」と取る場合もあるので覚えておきましょう。練習問題:次の文を訳しなさい。
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