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Steamでデジタルボードゲーム(デジボ)を中心とした「デジタルテーブルトップフェスティバル」が開催されました。期間は10月26日までです。それに伴って、デジボのセールが行われています。
今回はおすすめデジボを、「簡単ルールのパーティーゲーム」「定番人気ゲーム」「2人で対戦ゲーム」「1人でも楽しめるボードゲーム」「戦略ボードゲーム」の5ジャンル、合計12本を紹介していきます。これまでのセールで紹介したことの無い作品を中心にしています。
簡単ルールのパーティーゲーム
『「通路」(Tsuro) - タイルで道を作ろ』
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筆者的に、パーティーゲームでまず遊んで欲しいのがこちら。10月19日にSteamで配信されたばかりの新作ゲーム『通路(Tsuro)』です。昔、「チクタクバンバン」という玩具ゲームがありました。電池で動く目覚まし時計型の玩具がボードから落ちないよう、パネルを動かして線路をつなげていくというものです。本作はそのボードゲーム版と言っていい内容になっています。
プレイ人数は2~8人で、ルールは極めて簡単。ゲームスタート時に、全員が自分のコマを盤面の外に配置し、自分のターンになったら山札からカードを3枚取って、そのうちの1枚を自分のコマの前に配置します。パネルには線路が書いてありますので、それに従ってコマを動かしてください。コマが盤面の外へ出たら(盤面の外へつながる線路に乗ってしまったら)負け。最後まで生き残ったプレイヤーの勝ちです。
8人で遊ぶとかなりカオスで、他人の置いたパネルによって自分のコマが盤面の外へ投げ出されてしまったりなど、いろいろなハプニングがあって盛り上がること間違いなし。出来ればお正月や何かの集まりの時などに、実物をプレイして欲しい作品です。
(製品情報:定価950円(現在25%OFFの712円)、日本語有り、Steamページ)
『TAKENOKO』
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文明発展ボードゲーム「世界の七不思議」で有名なアントワン・ボウザ氏による、おそらく日本であろう世界を舞台にした「パンダ接待ゲーム」。中国から送られてきたパンダをもてなすため、竹の庭園を耕したり、拡張したりするのが目的です。
ゲームにおいて各プレイヤーは、ボード上にあるパンダ、もしくは庭師を動かすか(一直線上なら何歩進んでもOK)、土地パネルを配置します。手札にある「勝利点カード」に書かれた内容を達成したら、勝利点が得られます。例えば「パンダに緑の竹を2つ、赤い竹を2つ食べさせる」などですね(パンダを竹のある土地パネルに移動させれば、1つ食べてくれます)。
勝利点カードに書かれた形と同じように土地パネルを配置したり、竹を育てたり(庭師を土地パネルに移動させれば竹が増えます)といった方法でも得点可能。最後に一番得点の高いプレイヤーの勝利です。日本語が無いのが残念ですが、ルールが分かればプレイ自体は問題無いと思います。パンダの奥さんや子供も登場する拡張「チビッコ(Chibis)」もDLCで配信中です。
(製品情報:定価1,010円(現在60%OFFの404円)、日本語無し、Steamページ)
『Tokaido』
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ひとことで言えば「サイコロを振らないすごろくゲーム」。様々な特徴のある人物から一人を選んで自分のコマとし、東海道を旅してゴールを目指します。それぞれのマスは1人か2人しか止まれないようになっており、常に「ゴールから一番遠い人」が動くことができます。
プレイヤーは何マスでも進んでいいのですが、ゲームの目的は「観光を楽しむこと」。つまり、早くゴールにたどり着かない方がいい。山のマスに止まれば「山カード」が、海のマスに止まれば「海カード」がもらえます。これらを集めることで勝利点をゲット可能。またお土産を買ったり、神社に賽銭を投げたり、旅人と会ったり、おいしい物を食べたりなども、すべて勝利点に結びつきます。
友達とプレイする時、この辺りの点数計算の説明がちょっと面倒ですが、一度プレイすれば理解できるかと思います。ちなみに本作の実物はフランス人ボードゲームデザイナー、アントワーヌ・ボザ氏が作ったもので、日本の作品ではなかったりします。それと実物の方は日本語版が発売されておらず、輸入品に頼らざるを得ない状況です。現在、本作は70%OFFの303円とかなりお買い得な値段になっていますので、とりあえず日本語サポートされている本作を遊んでみるのがいいでしょう。
(製品情報:定価1,010円(現在70%OFFの303円)、日本語有り、Steamページ)
定番人気ゲーム
『Clue/Cluedo: The Classic Mystery Game』
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ボードゲームの古典的名作。プレイヤーは殺人事件の起こった館内を移動しつつ、各部屋で推理を働かせ、犯人や凶器、事件現場を突き留めます。ルールは簡単で、ゲームスタート時に「犯人」「凶器」「場所」のそれぞれのカードを一枚ずつ見えないように取り、袋の中に入れておきます。残りのカードをプレイヤーに配りますので、つまり誰も持っていないカードが事件の真相ということになります。
プレイヤーはサイコロを振って各部屋へ移動。部屋の中で自分の推理を言い、もしそれらのカードを誰かが持っていれば、教えなくてはなりません。そうやってどんどん「疑わしくないもの」を消去していき、袋の中にある「犯人」「凶器」「場所」を当てれば勝利です(当てるのはいつでも行えますが、外した場合はその時点で負けです)。
プレイヤーは登場人物の誰かを担当していますので、「実は自分が犯人だった」という、自分で自分の犯行を暴き立てるという展開にもなったりします。本作はDLCが「シーズンパス」という形で用意されていますが、ボードのテーマや登場人物の変更ぐらいで、ゲームプレイに影響を与えるものではありません。ゲームをプレイするだけであれば、特に必要は無いでしょう。
(製品情報:定価1,220円(現在50%OFFの610円)、日本語有り、Steamページ)
『Agricola Revised Edition』
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遊んだことがなくても、農場経営ボードゲーム『アグリコラ』の名前を聞いたことのある人は多いとは思います。本作はその『アグリコラ』をバランス調整した「改訂版」です。現在遊ばれている実物の『アグリコラ』は、ほとんどがこちらですね(元のバージョンはプレミアが付いて高額になっています)。
本作はそれぞれのプレイヤーが資材を集め、それを使って自分の農場を繁栄させていきます。農作物を育てたり、ブタや牛を飼ったり、自分の家をアップグレードさせたりなど、出来ることはかなり多い。さらにゲームには多数のカードが登場し、この効果を利用してゲームを有利に進めることができます。
有名ゲームですが、その複雑さゆえに、実際プレイしてみると「面白さが分からない」という方もいるとは思います。本作はある程度やり込んで、カード効果や定石が分かってきてからやっと面白くなってくるので、最初は忍耐が必要になるでしょう。デジタル版でルール把握や練習をしておくといいとは思います。
(製品情報:定価1,010円(現在60%OFFの404円)、日本語無し、Steamページ)
『Roll for the Galaxy』
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宇宙において自国を発展させていく人気のSF戦略ボードゲーム『Race for the Galaxy』(以下『RFTG』)のダイスバージョン。プレイヤーはダイスを振って「探索」「発展」「移住」「消費」「生産」を行います。最後に多くの勝利点を得たプレイヤーが勝ちとなります。
基本的な部分は『RFTG』と同じなので、『RFTG』をプレイしたことのある方ならすぐに理解できるでしょう。ただ本家の方とは違い、ダイスの目で行動が左右されるので、そこを上手くやりくりするのが本作の楽しいところです。筆者的には、本家よりも中毒性の高いゲームだと思います。ルールは本家より分かりやすいですね。
ちなみに本家『RFTG』の方も、Steamでデジタル版が配信されています(現在30%OFFの588円)。3種類の拡張DLCも出ていますので、遊んでみたい方はこちらもチェックしておくといいでしょう。本作も『RFTG』も日本語はありませんが、カードの効果とルールが分かれば問題無いとは思います。有名ゲームなので解説サイトも多いですしね。
(製品情報:定価1,520円(現在30%OFFの1,064円)、日本語無し、Steamページ)
2人で対戦ゲーム
『Hasbro's BATTLESHIP』
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子供の頃に遊んだことのある人も多いのではないかと思われる「戦艦ゲーム」。互いのボードに、相手に見えないように戦艦を配置。「2のB」など交互に攻撃地点を指定し、当たったら「ヒット」と報告します。先に相手の戦艦をすべて撃沈したら勝ちです。「運と推測」のゲームですね(ヒットは自己申告なので、「対戦相手がずるをしない」というのも重要だったりします)。
デジタル版では、変則的なボードやルール、シングルプレイを始めとした様々なモードなど、デジタルの良さを活かした新たなゲームとして仕上がっています(もちろんクラシックモードもあります)。戦艦ゲームを一人用で遊びたい人には、特に打って付けですね。
「昔、戦艦ゲームをプレイしたことがある」「気軽に遊べるゲームが欲しい」という方は、ぜひ本作を試してみてください。オンライン対戦も可能なので、フレンドがいる方はチャットをしながら一緒にプレイすると盛り上がるでしょう。日本語はありませんが、戦艦ゲームなのでルールはすぐに分かるかと思います。
(製品情報:定価1,010円(現在50%OFFの505円)、日本語無し、Steamページ)
『Yomi』
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『Yomi』というタイトル通り、格闘ゲームにおける読み合いをカードゲームで再現した作品。プレイヤーはそれぞれ手札から1枚カードを出し、格闘ゲームでお馴染みの「打撃」「投げ」「防御(回避)」の3つすくみの関係で勝敗を決めます。
互いに「打撃」や「投げ」を出した場合は、発生の速い方が優先されます。また打撃が当たった後、さらにカードを出して攻撃を続けていくコンボ技や、大ダメージを与えられる必殺技なども使用可能。ダウンからの起き攻めまでありますので、「格闘ゲームは好きだけど、反射神経が足りない」「昇竜拳が出ない」という方には打って付けのゲームだとは思います。
本作を実際に格闘ゲーム化した『Fantasy Strike』もSteamで基本無料配信されていますので、興味のある方はこちらもチェックしてみてください。本作は現在70%OFFの444円と、配信以来の最安値になっているのでおすすめです。追加キャラクターDLC「Expansion Characters 」もセール価格なので、一緒に購入するといいでしょう。
(製品情報:定価1,480円(現在70%OFFの444円)、日本語有り、Steamページ)
一人でも楽しめるボードゲーム
『Spirit Island』
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人気の一人用大型ボードゲームのデジタル版。最大4体の精霊たちを使い、病原菌のごとく島にどんどん攻め込んでくる人間どもと戦い、島と原住民たちを守るのが目的です。ゲーム的には、協力型ボードゲーム『パンデミック』に近い内容になっています。もちろん別々のプレイヤーがそれぞれ精霊を担当することで、協力プレイも可能です。
精霊たちにはそれぞれ特徴があり、能力を上げていくことができます。さらに魔法カードを駆使して侵略を防ぐという、カードゲーム的な要素も含まれています。ルールは『パンデミック』に比べて複雑かつファンタジックになっていますね。
本作は日本語はありませんが、ルールとカード効果が分かればプレイできるでしょう。実物の日本語版もエンゲームズからリリース予定なので、どうしても日本語が良い方は、日本語版の発売を待つのもいいかと思います。『パンデミック』好きな人はぜひプレイしてみてください(筆者的には『パンデミック』より楽しめています)。
(製品情報:定価2,570円(現在20%OFFの2,056円)、日本語無し、Steamページ)
『One Deck Dungeon』
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一人用ダンジョン探索ボードゲーム。盗賊や戦士、魔法使いなどのキャラクターから1~2人選び、ダンジョンの最深部まで潜ってボス敵を倒すのが目的です。プレイヤーは4枚の「扉カード」を引き、好きなカードをオープンして、出てきた敵や罠などに対処していきます。
一番簡単な難度でもそこそこに難しく、敵や罠の対処はダイスロールが中心になってくるため、運要素は結構高めです。敵を倒すことで経験値を得て、レベルアップさせることも可能。キャラクターごとにスキルがあるので、上手く活用していきましょう。救済策として、死んでも獲得したポイントを使うことで、キャラの能力を上げることができます(それでもクリアは難しいのですが)。
難度が高い分、中毒性はかなりあります。使用キャラの種類も多いので(DLCでの追加キャラもあります)、毎回違った楽しみ方ができるでしょう。現在、90%OFFの101円なので、気になったら買っておいてもいいかと。日本語はありませんが、ルールとちょっとした英語が読めればプレイできるとは思います。
(製品情報:定価1,010円(現在90%OFFの101円)、日本語無し、Steamページ)
戦略ボードゲーム
『Axis & Allies 1942 Online』
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第二次世界大戦の枢軸国と連合国の戦いをテーマにした戦略ボードゲームの古典的名作。2~5人までプレイ可能で、枢軸側はドイツ・日本、連合側はアメリカ・イギリス・ソ連を担当します(プレイ人数が足りない場合は、一人が複数の国を担当します)。
ゲームでは、ユニットの生産や移動、戦闘を行い、相手陣営の重要拠点を占領しながら、先に9勝利点に達した陣営の勝利です。世界を舞台にしたグランドストラテジーを短時間でプレイできるのがいいですね。
実物はフィギュアの配置が大変なので、準備不要でプレイできるデジタル版の存在は結構貴重。詳しいプレイレポートは、以前の「デジボで遊ぼ!」の記事を参照してください。日本語はありませんが、ゲーム中のテキストは少なく、ユニットの生産と動かし方が分かればプレイに支障は無いかと思います。
(製品情報:定価2,050円(現在50%OFFの1,025円)、日本語無し、Steamページ)
『Blood Rage: Digital Edition』
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北欧神話をテーマにした大型戦略ボードゲームのデジタル版。プレイヤーはヴァイキングやモンスターを率いて、来たるべきラグナロクに備えて他の勢力と戦っていきます。本作のユニークな点としては、「戦いに勝利=ゲームの勝利」ではないことです。
ヴァイキングの戦士たちにとっては、「いかに勇敢に戦い、そして死んでいくか」が重要です。そのため死んでも勝利点が入ることもあり、むしろラグナロクで崩壊する土地に戦士を配置して死んでもらうといった戦略を使うことにもなります。最終的に勝利点の一番多いプレイヤーの勝ちです。
ゲームで使われるカードのイラストも美麗で、全体的に格好良いゲームに仕上がっています。日本語はありませんが、ルール自体はそれほど難しいものではありません。実物の完全日本語版がアークライトから発売されていますので、興味のある方はチェックしておくといいでしょう。
(製品情報:定価2,050円(現在30%OFFの1,435円)、日本語無し、Steamページ)
デジタルボードゲーム12選、いかがでしたでしょうか。日本語無しの作品もありますが、ネットで検索すればルールや攻略を解説するサイトは出てきますので(公式がルールブックのPDFを配布している場合もありますので)、それらを調べればプレイできるとは思います。
実物の日本語版も販売されているものがあるので、実物を遊んでルール把握をしてからデジタル版をプレイしたり、逆にデジタル版で興味を持って実物にも手を出したりなど、デジタル・アナログの双方向からアプローチしてみるのもいいでしょう。
デジボの良いところは、一般のRPGやストラテジーなどと比べれば短時間でさくっとプレイできるところですね。他のデジボのおすすめについては、筆者が以前書いた「年明けに楽しみたいSteam人気ボードゲーム20選!」の記事も参照してください。それではよいデジボ生活を!
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter、「マイナーゲーム.com」Twitter。
※ UPDATE(2020/10/24 13:00):『Agricola Revised Edition』は「日本語無し」に修正しました。コメント欄でのご指摘、ありがとうございました。