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宇宙からやってきた侵略者に対向するSF的シチュエーション、巨大生物の群れや無数の飛行物体に立ち向かう過酷な戦い、ビルや街並みをなぎ倒す豪快な演出などで好評を博した『地球防衛軍』。
その発端となった1作目とその続編は、お手頃な価格で楽しめる「SIMPLE2000」シリーズのラインナップとして登場しましたが、その中でも確固たる支持を獲得。ナンバリング3作目の『地球防衛軍3』からはフルプライス展開を遂げ、作品を重ねるに従ってボリュームやクオリティなどを着実に進歩させていきました。
この『地球防衛軍』シリーズは、ナンバリングだけで5作品をリリース。さらに、鋭意開発中の『地球防衛軍6』をはじめ、携帯ゲーム機への進出や、派生作の『EDF : INSECT ARMAGEDDONEDF : INSECT ARMAGEDDON』や『EARTH DEFENSE FORCE: IRON RAIN』が展開したほか、STGとなる『地球防衛軍4.1 ウイングダイバー・ザ・シューター』、シミュレーションの「THE地球防衛軍 タクティクス」など、過去から現在まで多彩な展開を続けている名シリーズです。
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そしてこのたび、本シリーズに新たな仲間が加わります。12月24日に発売される『ま~るい地球が四角くなった!? デジボク地球防衛軍 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS』(以下、デジボク地球防衛軍)は、シリーズの主軸と同じTPS視点のアクションSTGとなりますが、その見た目は大きく一変。キャラクターも、敵も、そして地球までもが、四角形で構成されたボクセルな世界となっています。
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もちろん、変化は見た目だけではなく、ゲーム性にも大きな違いがあります。果たして、『地球防衛軍』シリーズの魅力をどのように受け継ぎ、そしてどこが異なるのか。その実態に迫るべく、今回は期待集まる本作のプレイレポートをお届けします。
なお、本作はニンテンドースイッチ版もありますが、本記事はPS4版によるプレイとなります。
シリーズの魅力もしっかり受け継いだ『デジボク地球防衛軍』
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ごく基本的な部分だけを見ると、『デジボク地球防衛軍』は、シリーズ本編の『地球防衛軍』に近いゲーム性を備えています。3Dで表現された街や郊外などを舞台に、蟻や蜘蛛をモチーフとした巨大生物や飛行物体が大量に出現。時には、見上げるほどのロボットや怪獣といった圧倒的な存在感を持つ敵も登場し、その全てがプレイヤーに襲いかかってきます。
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こちらが操作できる兵科も、陸戦兵やウイングダイバーなど、シリーズでなじみ深い面々ばかり。もちろんフェンサーやエアレイダーもいますし、『INSECT ARMAGEDDON』や『IRON RAIN』の兵科も参戦。慣れ親しんだ兵科で戦うことができるので、シリーズファンはご安心ください。さらに、本作オリジナルのご当地隊員「ブラザー」も多数登場。合わせて100人以上の隊員が仲間となり、この激戦に立ち向かってくれます。
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操作方法も、Lスティックで移動、R2ボタンで攻撃、Rスティックで視点移動、□ボタンでリロードなど、こちらも本編のものを受け継いでいるので、シリーズ経験者ならば戸惑うことは少ないでしょう。ただし、ジャンプが×ボタンだったりと、一部異なる部分があるのでご注意を。
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また本作には、SPゲージを使って発動させる「スペシャル」と呼ばれる要素があります。攻撃系のスペシャルであれば、その場の戦局を一変させるほどの効果を持ちますし、自動攻撃やスピード&リロード速度アップ、仲間の隊員を強化するものなど、その内容は隊員によって様々です。
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建造物などは、武器によりますが破壊可能なので、地域一帯を敵ごと吹き飛ばすプレイも無論できます。遮蔽物にして身を守るもよし、辺り一面を薙ぎ払うもよし。武器の効果範囲によっては自分もダメージを食らう点も、従来と同じです。
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あくまでプレイしたステージの範囲ですが、逃げながら戦う「引き撃ち」や、一部の敵だけ反応させて少しずつ倒す「釣り」など、恒例のテクニックも通用しました。
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細かい点でいえば、戦闘中に発生するオペレーターなどの通信も健在。戦況の変化だけでなく、ストーリー展開も感じ取れる部分なので、ささやかながらも重要なポイントです。ちなみに本作ではテキストでも表示されるので、聞き逃した部分は(表示中であれば)再確認できます。
このようにゲーム性の基本的な部分は、『地球防衛軍』の特徴を継承しており、無数の敵と戦う爽快感や、テクニックを駆使して乗り越える達成感などは、本作でも感じられる大きな魅力のひとつとなっています。
ですが本作は、「見た目が四角くなっただけの『地球防衛軍』」といった枠には決して収まりません。前述した「スペシャル」だけでなく、本作には「デジボク地球防衛軍」だけの要素が数多く備わっており、これが新たな刺激を生み出しています。そんな本作独自の特徴について、『地球防衛軍』との違いに着目する形で紹介させていただきます。
「装備できる武器は2個まで」の制限から解き放たれた!
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『地球防衛軍』シリーズでは、ミッションへ挑む前に兵科を決め、装備可能な武器を2つ装備して戦いに挑みます。この“武器2つ”という縛りがなかなか絶妙で、使い勝手のいい近距離武器、中距離を制圧できる制圧武器、狙撃可能な遠距離武器などを揃えたくなるのですが、2つの武器で全てをカバーしきることは難しく、足りない部分をテクニックで埋めたり、協力プレイで補い合う形となります。
“武器2つ”という制限を前提としたゲーム性が『地球防衛軍』シリーズの基本でしたが、『デジボク地球防衛軍』はこの縛りから解き放たれてました。
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というのも、本作は最大4人の隊員でチームを組んでミッションに挑みます。チーム内の4人はいつでも切り替えが可能(方向キーで切り替え)で、武器はひとり一つずつ装備。つまり隊員を切り替える(ブラザーチェンジ)ことで、ミッション内で4つの武器を使い分けることができるのです。
例えば、近距離・中距離・遠距離の武器を装備させた各隊員でチームを組めば、オールレンジで戦えます。さらに、もう一枠でエアレイダーを加えれば爆撃要請もできますし、ウイングダイバーにすれば機動力の向上も望めます。ビルの屋上までウイングダイバーで移動し、スナイパー系の武器を装備したレンジャーに切り替えて高台から射撃──といった戦法も取れるため、戦略の幅が大きく広がります。
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武器の取捨選択は、『地球防衛軍』シリーズで悩ましい点のひとつでした。その試行錯誤もゲーム性の一要素ですが、“武器2つ”の縛りから脱却する楽しさが味わえるのは、本作のようなスピンオフ作品ならではの醍醐味でしょう。
ちなみにチーム性の利点は、武器の切り替えだけではありません。操作していない隊員は自動的に戦ってくれますし、リロード中に操作する隊員を切り替えても、そのままリロードを続行してくれます。リロードに入ったら別の隊員に切り替え、他の隊員と共に戦いつつ、リロードが完了したらまた戻す──隊員同士の連携が上手くハマると、これまでの『地球防衛軍』シリーズにはなかった心地よいテンポを味わえます。
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そしてもうひとつ、チーム戦ならではの利点として、仲間の救援も大事なポイントです。隊員の体力(アーマー)はそれぞれ個別での管理なので、ひとり倒れても他の隊員で戦闘を続行できます。
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『地球防衛軍』シリーズをソロプレイで遊んでいた場合、倒れる=ミッション失敗を意味しますが、本作ではまだ巻き返すことが可能。チーム全員が倒れるまで、敗北とはなりません。しかも、他の隊員でアーマーを分け与えれば、倒れた仲間が復活。攻撃だけでなく、継戦能力の意味でも、仲間同士の連携が重要です。
アイテム集めから解き放たれた!
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強大な敵へと立ち向かうには、頼れる仲間の存在だけでは足りません。難所も少なくない『地球防衛軍』シリーズでは、武器の入手も非常に重要です。そして武器を手に入れるには、敵を倒してドロップさせるのが、シリーズにおける一般的な入手方法でした。
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ですが、この点についても『デジボク地球防衛軍』は大きく異なります。戦闘中にドロップするアイテムは3種類で、白はアーマー回復、赤はチーム全員のアーマー回復、黄色はSPチャージ。この3種類のアイテムしか、敵は落としません。
また、この説明でお気づきの方もいるかと思いますが、武器だけでなくアーマー増加アイテム(回復ではなく、最大値を増加させるアイテム)もドロップしません。戦力の強化方法も、『地球防衛軍』シリーズとは大きく異なるのです。
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本作における武器と、様々な効果を持つアクセサリーは、仲間となる隊員たちが持ってきてくれます。加入と同時に武器やアクセサリーも増え、戦力がまるごと増強される形に。必ず持参するわけではありませんが、仲間の加入が新武器の獲得にも繋がるわけです。
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仲間になる隊員は各マップのどこかに倒れており、その場に駆けつけて救出すると仲間になります。倒れている場所は、ミニマップ上の「!」マークで表示されているので、見つけるのは難しくありません。戦局が激しくなる前や、新たな敵が出る前に、ささっと移動して仲間にするのがお勧めです。
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そして、アーマーの最大値はミッションをクリアするたびに増加します。出撃していた全隊員のアーマーがそれぞれ増加するので、弱い隊員をチームに入れ、強い隊員でクリアを目指す──といったプレイも悪くありません。なお、アーマー最大値の増加量は隊員によって異なるほか、同じミッションでも難易度が高いほど増加量もアップします。
『地球防衛軍』シリーズでは、ドロップアイテムの回収が必須でした。そうしなければ、強い武器が手に入りませんし、アーマーの最大値も増えません。ミッション終了後は時間経過でメニュー画面に戻ってしまうので、戦闘しながらアイテムを集める、といったプレイ経験を持つ方も多いことと思います。
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ですが本作では、アーマーが減ったり、SPゲージを増やしたい場合以外は、アイテムを取る必要はなし! 戦局が厳しい時だけ取りに行き、後はアイテムのことを気にせず思う存分敵と戦える。本作は、“アイテム集めから解放された『地球防衛軍』”とも言えるのです。
これは、裏を返せば「武器やアーマーを集中的に稼げなくなった」とも言えるので、人によってはマイナスかもしれません。ですが、無数に散らばるアイテムの中から武器を回収すべくあちこち移動しなくて済むのは、個人的に嬉しいポイントでした。全体的なプレイ感として見ても、テンポ良く進むため、この形も決して悪い印象はありません。
兵科による武器種の制限が解き放たれた!
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『地球防衛軍』シリーズでは、それぞれの兵科(レンジャーなり、ウイングダイバーなり)が装備できる武器は、各兵科ごとに分かれていました。レンジャーの武器をフェンサーが持つ、といったことはできません。
ですが、この点においても『デジボク地球防衛軍』はひと味違います。ゲームを始めたばかりの序盤では、隊員は兵科の縛りに従った武器しか装備できませんが、“同じ隊員”を仲間に加えるとその隊員のスキルが上がり、装備可能な武器種が増えていきます。
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スキルを上げる必要こそありますが、これは「兵科による武器種の制限から解き放たれた」と表現しても過言ではないでしょう。既にいくつもの『デジボク地球防衛軍』ならではの新要素を紹介してきましたが、こちらも見逃せない違いと言えます。
例えば、ウイングダイバーにロケットランチャーやミサイルなどを装備させると、高い機動性と瞬間火力を合わせ持つことができます。また、自前の武器でバリバリ戦うエアレイダー、というプレイも一興でしょう。
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今回のプレイでは、鉄の剣(格闘カテゴリー)を持って登場する「スパルタブラザー」にアサルトライフルを持たせてみたところ、中距離で戦える上にアーマーが高めなので、安定した戦いぶりをみせてくれました。
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武器種の縛りがなくなったら、戦い方が全部同じになり、隊員ごとの個性が無くなるのでは・・・と心配する方がいるかもしれませんが、前述した「スペシャル」と、クールタイムこそありますが何度でも使える「アビリティ」の存在が、隊員の個別化を担っています。
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「アビリティ」は、「飛行」や「スラスターダッシュ」といった、『地球防衛軍』シリーズの兵科が持っていた能力をスキルとして表現したもの。過去シリーズにあったものは、これまでと同じような感覚で使用できます。
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また、ためた時間で性能が上がる「チャージブースト」や、回避に役立つ「スピンジャンプ」など、本作独自の「アビリティ」も多数あります。「スペシャル」と「アビリティ」は隊員固有で付け替えできないので、これらの能力が各隊員の個性となります。
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隊員×武器×チーム編成による膨大な組み合わせから、自分だけのベストチョイスを見つけ出す。これも、『デジボク地球防衛軍』ならではの楽しさでしょう。
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この他にも、『地球防衛軍』シリーズと『デジボク地球防衛軍』の違いは数多く詰まっています。例えば、特撮系作品のお約束が詰まった『地球防衛軍』シリーズでは、徐々に追いつめられる絶望感のある物語や、壊滅的状況を主人公が切り開くことで勝機が見えてくるダイナミックなシナリオ展開が定番となっています。
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一方、『デジボク地球防衛軍』のストーリーは、確かに危機的な状況に置かれているものの、見た目の可愛らしさも相まって絶望感はそこまで漂っていません。また物語も、仲間との馴れ合いを拒むフェンサーの過去に迫ったり、エリートの挫折と成長を描くなど、各隊員に迫る展開を盛り込んでいます。
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物語の切り口ひとつを取っても、本家と違う魅力を放っている『デジボク地球防衛軍』。シリーズファンならば、その違いとスピンオフならではの新たなプレイ感に酔いしれてみるのもお勧めです。またシリーズ初体験の方は、本家よりもマイルドなビジュアルなので、シリーズの入門用として遊んでみるのもアリです。そして本作が気に入ったら、『地球防衛軍』シリーズに手を出してみてはいかがでしょうか。