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「デジボで遊ぼ!」ではボードゲーム要素やカードゲーム要素、テーブルトークRPG(TRPG)要素のある魅力のデジタルボードゲームを特集。今回は中世ヨーロッパを舞台にしたターン制の歴史ストラテジーゲーム『Field of Glory II: Medieval』をお届けします。
本作はByzantine Gamesが開発し、Slitherine Ltd.によって2021年2月5日にSteamで配信されました。本作のベースとなっているのは、2017年10月13日にSteamでリリースされた『Field of Glory II』。紀元前280年から紀元前25年のローマの戦いをテーマにした作品で、本作はその中世版(1040年~1270年)になっています。ちなみに同様のシステムで、日本の戦国時代を舞台にした『Sengoku Jidai: Shadow of the Shogun』という作品もリリースされています。
本作の内容ですが、戦場を舞台としたターン制のストラテジーゲーム。ゲーム開始時に用意された多数のユニットを使ってチェスのように戦っていきます。登場するユニットは歴史的に正しいデザインになっているとのこと。どんなゲームなのか、さっそくプレイしていきましょう。
反乱軍との戦い!
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ゲームには、歴史に基づいたシナリオをプレイできる「キャンペーン」、カスタムバトルなどを楽しめる「バトル」、基礎を学ぶことのできる「チュートリアル」があります。まずは「チュートリアル」をプレイ。フランス、ポーランド、ハンガリーの軍隊を操作する3つのシナリオが用意されています(チュートリアルといっても説明が出てくるだけで、自力でクリアしなければならないのですが)。
最初のシナリオは1216年のフランス、「尊厳王」ことフィリップ2世の時代です。フィリップ2世はイングランドの「獅子心王」ことリチャード1世と共に十字軍に参加しましたが、不仲になって病気を理由に帰国。その後、リチャード1世の弟であるジョンに王位簒奪をそそのかします。
ジョンは兄の死後に王位に就くも、フィリップ2世と全面対立。負け続けてフランス側の領土を失ってしまいます。一方のフィリップ2世は、フランスをヨーロッパの強国へと押し上げることに成功しました。1216年はジョンが亡くなった年でもありますね。
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戦闘開始前に勝利条件が表示されます。条件としては「敵の40%を敗走させること。ただしこちらの損失より25%以上多くなければならない」、もしくは「敵の60%を敗走させること」です。『Europa Universalis IV』などをプレイしたことのある方はご存知だと思いますが、当時の戦争は全滅まで戦うことはなく、兵力が敵と釣り合わなくなってくれば敗走。その後に講和交渉が行われるという流れになっています。
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戦場はフランスのリール。大国相手に戦うのではなく、リールで起こった反乱軍の鎮圧です。画面の左上にある緑色の2本のバーが味方(上)と敵(下)の敗走状況。パーセントで表されており(最初は0%)、敗走が増えていくと緑色のバーが減っていきます。これで互いの戦力を確認し、前述した勝利条件を目指しましょう。
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ユニットの移動方法ですが、一般のターン制シミュレーションのようにユニットをクリックしてから移動先を選択します。移動時に3つの三角形が並んでいるアイコンを選ぶと、そのユニットにグループ化されている他のユニットも一緒に移動させられます。
それと、ユニットには様々な種類が存在します。本作ではゲーム開始時に、一気にたくさんのユニットを動かさなければならないので、何をして良いのか分からず戸惑うかもしれません。とりあえず自軍のユニット把握から始めるといいかと思います。
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自軍の左翼には軽弓兵がいます。画像の縞部分は攻撃の届く範囲。ちょうど敵軍の軽弓兵が射程範囲内にいますね。画像左下の丘の上にいるのはクロスボウ兵。本作では地形効果があり、高い所から攻撃すると威力が上がります。
軽弓兵とクロスボウ兵の違いですが、軽弓兵は射撃レートが高く、射程が長く、機動力があります。軽装備の兵士相手には強いですが、重装兵は苦手です。逆にクロスボウ兵は重装兵には強いですが、射撃レートが低く射程距離も短いため、軽弓兵ほどたくさんの敵を倒せません。ユニットの特徴に合わせて相手を攻撃するのがいいでしょう。
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クロスボウ騎兵は機動力のあるクロスボウ兵です。鎧によって保護されているので、クロスボウ兵より硬いです。その左に並ぶのは重騎兵。攻撃力が高く、突撃にはボーナスが付きます。画像だとクロスボウ兵の矢がぎりぎり相手に届きませんね。
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自軍の後ろの森の中に隠れているユニットは農民です。装備は貧弱で、武器は農具しかありません。戦わせても邪魔になるだけですし、やられて敗走したら相手のスコアになってしまいます。このまま隠れていてもらった方が良さそうですね。
戦闘開始!
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ユニットをだいたい把握したので戦闘開始。まずは直接ぶつかるよりも、遠距離攻撃でダメージを与えていきます。本作における「HP」にあたるものですが、それぞれのユニットには「Strength(強さ)」があります。
ダメージを受けるとStrengthが低下していき、50%を切ると自動的に逃走します。ちなみに画像のクロスボウ兵ですが、攻撃が届きませんね。このまま丘の上に待機させておきましょう。
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軽弓兵の射程範囲には敵がいるので、攻撃を仕掛けます。本作では「ユニットの向き」も重要になっており、向きによっては攻撃力が落ちます。画像右下ではマスの半分が赤で塗り潰されていますが、これは敵の方向を向いていないので、本来の攻撃力にならないことを意味します。射撃する時は敵の方を向いてからにしましょう。
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自軍右翼のほうで、味方の重騎兵が敵の重騎兵とぶつかりました。騎兵の場合突撃を仕掛けることができ、攻撃ボーナスが入ります。ぶつかった後は近接戦闘に移行。戦闘が起こると互いの「ユニットの質」「装甲」「兵科」「階級」「能力」などの要素から、その結果が算出されます。
またユニットの衝突による「陣形が崩れたかどうかの判定(Cohesion Test)」も行われ、パスできないと崩れた状態になり、さらに状況が進むと敗走を始めます。どういう判定が行われたのかを戦闘ログで見ることもできます。この辺りの細かさはTRPGっぽさがありますね。
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次は別部隊による斜めからの突撃攻撃。本作のマス目は四角ですがユニットは八方向に向くことができ、斜め向こうの相手にも攻撃できます。側面や後ろから攻撃すれば、それに応じた攻撃ボーナスが付きます。
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さらに歩兵の騎士を前進させ、斜めからの攻撃。しかし敵のユニットの方が強く、こちらの方が崩壊判定を受けさせられました。結果、騎士たちは崩れずに持ちこたえたようです。重騎兵は強いですね。
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クロスボウ騎兵ですが、射撃範囲が狭いので前進して矢の届く場所まで移動。一応騎兵なので、突撃を仕掛けることもできます。また敵が敗走状態になった時には、追撃を掛けることも可能。ちなみに前方の軽弓兵に射撃攻撃を仕掛けましたが、大したダメージは出ませんでした。軽装相手は弓兵の方がいいですね。
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次のターン。すでに敵にぶつかってしまった騎兵は再度突撃はできません。そのまま接近戦に持ち込まれます。三方向からの攻撃を食らっている敵の重騎兵は、すでに隊列が乱れています。
ここで味方の重騎兵が攻撃を仕掛けたことで、敵重騎兵は散りぢりの状態(fragmented)に。もはや敗走間近ですが、残り2部隊からの攻撃に対する崩壊チェックに耐え抜き、粘りを見せます。ボードゲームっぽさ(と言うかTRPGっぽさ)が出てきましたね。
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一方、中央で敵の槍兵とぶつかっていた味方の騎士たちですが、突撃によってクリティカルが出たのか一発で敵を崩壊状態(disrupted)に持ち込み、1マス押し返しました。さすがナイトは格が違ったようです。
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騎士たちの左側では互いの槍兵が争っています。接近戦が行われている場所に対しては、弓による攻撃はできません。味方の槍兵の後ろにいるカラフルな騎兵は我が軍の指揮官です。槍兵には戦線維持を頑張ってもらいましょう。
勝利を目指して!
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大乱戦状態の中央。先程、騎士の攻撃で1マスバックさせられた槍兵が、報復攻撃とばかりに突撃を掛けてきました。また3方向から攻撃を食らっている敵の重騎兵も、崩壊チェックをかいくぐって戦線を維持中。
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しかし終わりの時が来ました。Strenghが50%を切ると、ユニットは自動的に敗走を始めます(部隊の質が高いともう少し持ちこたえる)。逃げる敵の重騎兵を味方の重騎兵が自動追撃しました。
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槍兵同士の戦いもこちらが有利になってきました。敵の敗走度は現在の所10%。勝利条件の40%までまだ遠いですが、ユニット数に差が出てくれば一気に戦局は動くでしょう。
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先程逃げた敵の重騎兵を、クロスボウ騎兵の突撃でさらに追撃。敵の重騎兵がまた逃げたので、味方の重騎兵とクロスボウ兵が自動的に追いかけます。
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とうとう戦場の端まで追い詰めました。戦場外に敵が逃げてしまうと戦線離脱となり、しばらく戻ってきません(もしくはそのまま戻って来なくなります)。残る敵ユニットにも攻撃を仕掛けていきましょう。
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敵の槍兵を次々と退却させていく騎士たち。やはり格が違いますね。敵の左翼はすでに崩壊状態です。このまま残る敵を包囲していきます。
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敵の大将とも言うべきワゴンユニットに迫り、攻撃を加えました。このワゴンは味方の士気を高め、崩壊しにくくしたり、逃走時もそれほど逃げないようにしたりといった、士気高揚のバフ効果を持っています。どうりで敵がやたらと粘りを見せていた訳です。
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敵ユニットの敗走が増えていき、均衡が崩れたので一気に押していきます。敵のワゴンを倒すことは出来ませんでしたが、40%の兵を敗走させて勝利!
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次のステージではさらに多数のユニットを指揮しなくてはなりません。騎兵の位置が沼地の前とよろしくないので、配置換えをする必要もあります。それと騎兵は馬から下して歩兵にすることも可能。果たして戦闘に勝利できるのか。続きは自身の手でプレイしてみてください。
大型ボードゲーム感覚のターン制ストラテジー
本作は単に敵を攻撃して、HPを減らして……という一般的なターン制ストラテジーとは違い、ユニット同士の衝突時や接近戦の判定など、戦闘で細かい処理がされています。ユニットの特徴や能力、装甲の度合い、攻撃方向など、様々なファクターで結果が判定。戦闘ログでその辺りの処理が見られるので、ボードゲームやTRPGが好きな人には合う内容とは思います。
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戦役をクリアしていくキャンペーンモード以外に、自分で細かく条件を決めて戦うことのできるカスタムバトルもあります。日本語サポートはありませんが、ユニットの説明が読めればプレイに問題はないかと。シリーズファンの方はもちろん、歴史ゲームが好きな方はぜひプレイしてみてください。日本の戦国時代が好きな方は、前述した同システムのゲーム『Sengoku Jidai: Shadow of the Shogun』がオススメです。
製品情報
『Field of Glory II: Medieval』
開発・販売:Byzantine Games、Slitherine Ltd.
対象OS:Windows
通常価格:3,090円
サポート言語:英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/1368870/Field_of_Glory_II_Medieval/
開発・販売:Byzantine Games、Slitherine Ltd.
対象OS:Windows
通常価格:3,090円
サポート言語:英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/1368870/Field_of_Glory_II_Medieval/
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter、「マイナーゲーム.com」Twitter。