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「デジボで遊ぼ!」ではボードゲーム要素やカードゲーム要素、テーブルトークRPG(TRPG)要素のある魅力のデジタルボードゲームを特集。今回は古代ギリシア・ペルシアを舞台にしたターン制の4Xストラテジーゲーム『Imperiums: Greek Wars』をお届けします。
本作はチェコのインディーデベロッパーKube Gamesによって、2020年7月30日にSteamで配信されました。海外グランドストラテジーゲームが日本語に翻訳されるのは、近年では『シヴィライゼーション』シリーズぐらいで、Paradox社の歴史ストラテジーゲームどころか、『トータルウォー』シリーズといった大手の作品すら日本語サポートが無いのが現状です。「歴史物」は専門用語も多く、日本にユーザーがそれほどいるわけでもないことから、掛かるコストとリターンが見合わないという問題があります。
手元の Imperiums: Greek Wars の翻訳用テキストの翻訳率100%到達! まだ校正が残ってるけど、とりあえず70,000ワード頑張った。 #ImperiumsGreekWars
— vol (@vol) October 29, 2020
本作も歴史用語たっぷりの作品ですが、有志翻訳者のvol氏が7万ワードにも及ぶ英文を翻訳してくれたお陰で、日本語でのプレイが可能に。2021年1月21日には公式での日本語サポートがアナウンスされることとなりました。
本作の内容ですが、『シヴィライゼーション』シリーズのようなターン制の4Xストラテジーゲームです。4Xというのは「探検(eXplore)」「拡張(eXpand)」「開発(eXploit)」「殲滅(eXterminate)」の4つの要素が含まれた作品のこと。プレイヤーは内政から外交・戦争・研究といった国家運営を担わなくてはなりません。本作はどんなゲームになっているのか、さっそくプレイしていきましょう。
侵略者との戦い
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ゲームにはチュートリアル・ソロプレイ・マルチプレイが用意されています。まずはチュートリアルのシナリオから開始。歴史ゲームだけあって、ゲーム背景の解説やトリビアなども表示されます。ゲームをしながら歴史の勉強もできるのがいいですね。しかし本当に翻訳が大変そうな内容です。
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シナリオスタート。マップはグリッド型になっています。『シヴィライゼーション』シリーズで言うと、『シヴィライゼーションIV』のような感じですね。担当勢力は、古代ギリシア人よって建国された国家マケドニアです。アレクサンドロス大王の時代には、ペルシアを征服して大国家となり、東西交流によってヘレニズムが興りました。
画面中央には「開拓者」と「戦士」のユニットがいます。『シヴィライゼーション』シリーズの初期ユニットとしてもお馴染みですね。ちなみに本シナリオでは、この2ユニット以外にも、多数のユニットが配置されています。
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見やすくするために、マップ上にグリッド線を表示させました。ピンク色の線は「国境」を示しています。本作では、戦闘ユニットを移動させることにより、その移動先の土地が占領されて領土になります。これによって国境を広げることが可能です。
『シヴィライゼーション』シリーズだと、国境を広げるには、都市を発展させるか、土地を買い取るかをしなければなりません。この辺りは本作との大きな違いですね。領土はユニットの補給線にもなっており、コーエーテクモゲームス『三國志14』の「土地塗り潰しシステム」に近い物があります。
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本作の開拓者は道路や建設物を造ることができ、『シヴィライゼーション』シリーズでいう所の「労働者」の役割も担っています。さっそく開拓者で道路を造って、都市間の移動速度を上げましょう。他にも開拓者がいるので、食料生産を上げるために畑を作らせておきます。画面右上の丸いマークをクリックすると、ターン終了です。
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ターン終了後は、他の勢力の行動フェイズに入ります。勢力が多いので、そこそこ時間が掛かりますね。そしてこのフェイズ中に、アテナイとダルダニアがマケドニアの領土に踏み込んできました。
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都市アニガイのすぐそばに、敵ユニットが迫ってきました。前述したように、ユニットが踏み込んだ時点で、その土地は占領されます。都市を取られるわけにはいかないので、戦士ユニットを都市内に格納。こうすることで、都市の防御力を上げることができます。
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敵に攻められてばかりいるのも何なので、こちらから攻撃を仕掛けてやりましょう。騎兵を移動させ、敵の都市周辺にいる守備隊を攻撃。戦闘結果は引き分けでした。敵兵は地の利からボーナスを得ているので、簡単には崩せないようですね。
内政と外交
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傷付いた騎兵は自国の都市に移動させることで、数ターン掛けて治療が行えます。その間に戦士ユニット2体で、先ほどの敵ユニットを攻撃。今度は勝利することができました。
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内政の方にも力を入れましょう。遊牧民というユニットは、開拓者と同様、都市の建設を行うことが可能です。軍事ユニット扱いなので戦闘も可能ですが、あまり強くはありません。都市建設後は、遊牧民ユニットは消費されて消滅します。
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食糧生産を上げるために、畑を多く作らなくてはなりません。開拓者不足なので、都市で開拓者を生産。ユニット生産は、完成まで数ターン待たなければなりません。その間に、別の作業もしておきましょう。
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金鉱山からは黄金が産出されますが、都市と道をつなげることで、さらに生産量を増やすことが可能です。開拓者を使って道を作り、都市と金鉱山を連結させましょう。経済力は国力の基礎となります。
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国力を長期的に上げるためにもっとも重視しなくてはならないことは、人口を増やすことです。人口が多くなれば、国全体の生産力も上がります。そのためには出生率を上げなければなりません。
画面左上の丸いアイコンをクリックすることで、国家ウィンドウを開くことが出来ます。ここでウィンドウ下部の出生率支援のスライダーを右に動かし、出生率増加のための投資を増やします。
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出生率増加への投資ですが、現在の金鉱山からの収入だけでは足りません。交易ウィンドウで他国と交易し、余った食糧を使って黄金を獲得しましょう。カルキディケが応じてくれそうなので、使者を派遣して交易協定を結びます。次のターンで、調印に成功したとの報告が入りました。
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アテナイとダルダニアからの攻撃が激しくなってきました。現在は凌げていますが、2勢力相手に戦うのは得策とは言えません。アテナイと和平し、敵をダルダニアだけに絞った方が良さそうです。外交ウィンドウでアテナイに使節団を送り、和平交渉をします。
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先程交易を行ったカルキディケとは友好的な関係になっているので、さらに踏み込んだ外交関係を築きましょう。「領土の通行許可」と「マップアイテム情報」に対する新たな条約を結びます。序盤はできるだけ味方が多い方がいいですね。
さらなる国家の発展を目指して
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敵勢力からの侵略を防ぐため、都市の改良を行いましょう。都市の防衛力を上げるため、防御ボーナスが得られる「防御」の改良を取ります。改良には黄金や鉄鉱、石材といった資源が必要になります。
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都市の改良と同じように、ユニットに対しては「訓練」が行えます。戦士ユニットに「偵察兵」の訓練を行いましょう。アクションポイントを増やし、移動力を上げることができます。
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技術に遅れた国家は、やがて近隣国に滅ぼされてしまいます。そうならないためにも、技術研究を怠るわけにはいきません。研究ツリーでは、毎ターン産出される「知識」を消費することで、新たな技術を獲得することができます。今回は経済力を上げるため、「貨幣」を研究します。
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カルキディケとの新たな条約は締結されましたが、アテナイとの和平条約は却下されてしまいました。ここはカルキディケを利用し、アテナイへの攻撃を持ち掛けます。アテナイの状況が不利になれば、和平交渉も通りやすくなるでしょう。
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アテナイの都市で占領できそうな所があったので、戦闘ユニットを送り込むことにします。国家の決定ウィンドウでは、多くのリソースを消費する代わりに、経済や軍事など様々な分野においての大きな政治決断をすることが可能です。今回は戦闘ユニットのモラル(士気)にバフを与える将軍を雇うことにします。
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将軍を連れて、3体の戦闘ユニットでアテナイの都市メソニを急襲。何度か攻撃を仕掛けたことで、守備隊を倒すことができました。敵に将軍を倒されると、逆にモラル低下につながるので注意が必要です。
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先程外交でカルキディケにアテナイへの攻撃を持ち掛けましたが、結果は失敗。もう少し具体的な外交策として、共同の軍事キャンペーンを行います。マケドニアがアテナイの都市メソニとピドナを攻撃するので、その間にカルキディケにアテナイの都市ボディダニアを攻撃させます。
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守備隊のいなくなったメソニを攻撃して占領し、次はその南のピトナへと進軍。ここは将軍ユニットの能力「不穏の扇動」を使って、ピトナで反乱を起こさせましょう。戦わずに勝つのが最善の兵法です。
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カルキディケが共同の軍事キャンペーンを承諾してくれました。そしてすでにアテナイの都市ボディダニアを占領したとのことです。このままアテナイへの攻撃を続行します。
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一方、北西の戦線では、味方ユニットが敵の騎兵によって、都市エデッサからの補給線を切られてしまっていました。すぐにユニットをエデッサに退却させ、逆に敵騎兵の補給線を切ってやりましょう。こういう土地占領による補給線切りは、『三國志14』を思わせますね。
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都市ピドナですが、将軍の扇動にもめげずに抵抗を続けていました。カルキディケとの軍事キャンペーンの期限までに陥落させないと条約違反になりますので、ユニットによる直接攻撃で占領。
占領後は市民を奴隷化することも可能ですが、都市のモラルと忠誠心を低下させるのでやめておきます。マケドニアはこのまま領土拡大を続けられるのか。続きは自身の手でプレイしてみてください。
DLCも翻訳済みの、自由度の高い4X歴史ストラテジー
プレイ開始時は『シヴィライゼーション』シリーズのようなゲームかと思っていたのですが、プレイ感覚は結構違いますね。戦闘ユニットが移動した土地は占領状態になり、これによって都市とつながっていないユニットは補給線を切られるといった、『三國志14』のような兵站の概念が組み込まれています。また外交も、地図交換や共同軍事キャンペーンといった多用な協定を結ぶことが可能です。
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さらに自作シナリオやランダムマップでのプレイが可能など、リプレイ性の高いゲームになっています。MODも作りやすい環境で、ファンタジー世界を舞台にしたMODなどもSteamのワークショップで配布されています。
またトロイア戦争シナリオをプレイできる無料DLC「Imperiums: Troy」もリリースされており、すでに日本語翻訳済みなのが嬉しいですね。vol氏による日本語マニュアルも充実していますので、骨太な4Xゲームが遊びたいという方は、ぜひ本作をプレイしてみてください。
製品情報
『Imperiums: Greek Wars』
開発・販売:Kube Games
対象OS:Windows
通常価格:2,990円
サポート言語:日本語、英語、フランス語など7カ国語
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/1183470/Imperiums_Greek_Wars/
開発・販売:Kube Games
対象OS:Windows
通常価格:2,990円
サポート言語:日本語、英語、フランス語など7カ国語
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/1183470/Imperiums_Greek_Wars/
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter、「マイナーゲーム.com」Twitter。