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『ファイナルファンタジーXIII』の世界法則の中でも一番厄介なのが、ルシのクリスタルかです。伝承によると「与えられた使命を果たせばクリスタル、果たせなければシ骸」ですが、作中や前日譚の小説の描写を見ると、実際に起きている現象は伝承とは食い違っています。一体どういうことなのでしょうか?それを読み解く鍵は、戦闘システムの名称である「パラダイムシフト」です。
練習問題の解答
問:パルスのファルシのルシがコクーンでパージ
解答例:l'Cie of Pulse’s fal‘Cie was purged in Cocoon.
世界の見方ががらりと変わる「パラダイムシフト」
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本作のユニークなバトルシステム「オプティマチェンジ」は海外版では「Paradigm Shift」という名称に変更、続編の「XIII-2」では日本語版にも逆輸入されました。「パラダイムシフト」という言葉は「価値観の転換」という意味で一般でも使われており、それが物語の主軸である本作においては重要な概念です。
「パラダイムシフト」とは元々科学の歴史において用いられた言葉で、「進化論」や「相対性理論」など、ある1つの理論が特定の時代の研究において大きな影響力を持ち、それがやがて新しい発見によって移り変わる現象を指します。例えばヨーロッパの天文学では、古代ギリシャのプトレマイオスが記した天動説の理論書「アルマゲスト」が約1500年にわたって研究の基盤に使われ、長い間参照される「パラダイム」を形成しました。
発表された当時の観測データでは、「アルマゲスト」は多くの人に支持されるだけの合理性を持っていました。発表時に論壇を驚かせるほどの革新性、今で言えばノーベル賞級の大発見がこの「パラダイム」になる可能性を持っています。
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「パラダイム」が数十年、時に数百年も影響を持つ理由は、研究機関や教育機関における権威と結びついているからです。パラダイムはあくまでも「その時点で合理的であると見なされる」だけで、その後から出てくる新しい発見によって、その理論に矛盾点や誤りが出てきます。
パラダイムは学問の体系を強固にし、広まることで研究をより深く発展させます。しかしその反面、そのパラダイムへの批判を封じ込めてしまいます。そこから外れると支援を得られなかったり、妨害を受けたりすることが往々にしてあります。
著名な教授が自説に固執して若手の研究を潰すこともあれば、中世だったら「異端」の烙印を押して裁判にかけることも。地動説のガリレオが有罪になった例は有名です。それでも研究が進んで、旧パラダイムの不備が否定しきれなくなった時に、再び新しい学説が生まれてパラダイムがそちらに移行する。これがいわゆる「パラダイムシフト」です。
これが科学分野以外にも広がり、社会や業界における価値観が大きく転換することを広く「パラダイムシフト」と呼ぶようになりました。
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パラダイムは時に色眼鏡に例えられることがあります。パラダイムは教育やコミュニティを通じて個人に降りてきます。私たちは普段、こうして装着された色眼鏡のフィルター越しに世界を認識していて、社会の適応に便利なものを見やすくしてくれますが、反対にそのフィルターが覆い隠すものは見えにくくなります。パラダイムは権力に結びついているので、権力者が意図的にパラダイムを自由に操れれば、それをそのまま社会に広め、民衆をコントロールすることも可能なのです。
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『FF13』の世界では、ファルシが支配する聖府が「地上世界パルスは敵」という恐怖を植え付け、世界の真実を探る人間を抹殺してきました(「アルティマニアオメガ」収録「夢見る繭、暁に墜つ」)。ライトニングは社会から放逐されて初めて、人間がファルシに「肥育」されていることに気がつくのです。
また、ルシの使命についてダイスリーやナバート、言い伝えが登場しますが、あくまでもそれぞれの解釈に過ぎません。先入観に囚われるとミスリードに引っかかってしまいます。ファルシが人間を利用するための嘘を捨て、目の前の現象から考え直すことで本当の法則が見いだせます。
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社会が不安定になると常識が崩壊し、「パラダイム」を失った人々は何に頼れば良いのか迷います。立ち止まってしまえばあっという間に追い詰められてしまうでしょう。そんなときこそ、あの言葉が新しい道を示してくれるはずです。
Impressive Scene: Chapter 8 - Nautilus
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Sadz:You think you die and that’s that? You think you die and everything will be sugar and rainbows?
Vanille:Then what can I do? What do you want from me? If I can’t live or die, what do you want me to do?
Sadz:Don’t ask me! You figure it out.
サッズ:死ねば済むと思ってんのか?殺されればそれでめでたしめでたしってか?
ヴァニラ:じゃあどうしろっていうの?わたしをどうしたいの?生きるのも死ぬのもダメなら、どうしてほしいの?
サッズ:俺に訊くな!てめぇでどうにかしろよ!
現実から目を逸らす逃避行の果てに、行き止まりの終着点に来てしまったサッズとヴァニラ。ドッジという希望を失い、サッズの悲痛な叫びが響き渡る屈指の名シーンです。直前の明るい雰囲気からの急展開に驚いた人も多いでしょう。
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ここでは「Everything will be sugar and rainbows」という面白い表現が出てきます。単語がなんとなくユニコーンを連想させますが、実際の英語では「Unicorn and rainbows」という表現です。コクーンにはユニコーンがいないからですね。いずれにしても夢想的、都合が良すぎて非現実的な話に対して、「馬鹿にしてるのか」と皮肉めいた使い方をします。
覚えておきたい英単語集
Commando:遊撃兵、アタッカー
Ravager:略奪者、ブラスター
Sentinel:歩哨、ディフェンダー
Saboteur:工作員、ジャマー
Synergist:協力者、エンハンサー
Medic:衛生兵、ヒーラー
War & Peace:戦争と平和
練習問題:次の台詞を翻訳しなさい。
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Fang:Well, good thing Lady Luck’s on our side.
原:奇跡はうちらの得意技だ
さすがにくどかったのか、日本語で使った「奇跡」は半分ほど言い換えています。印象の違いを感じましょう。