気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Morteshka開発、PC/海外PS4/Xbox One/スイッチ向けに8月11日にリリースされたカードアドベンチャーRPG『Black Book』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、スラヴ神話を題材にしたカードアドベンチャーRPG。魔女になることを定められた少女ヴァシリーサは、婚約者と共にその運命から逃れようとするものの、謎めいた事件で彼を失います。そうしてヴァシリーサは隠された7つの秘密を解き明かした者の願いを叶えるという悪魔の遺物、Black Bookを求めて旅に出ます。スラヴ神話をベースとした設定や悪魔たち使役するバトルなどが特徴。記事執筆時点では日本語未対応です。
『Black Book』は、2,570円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Vladimir Beletsky氏(以下Vladimir)本作のゲームデザイナー、ライター、そしてプログラマーのVladimir Beletskyです。大好きなゲームはたくさんありますが、欧米のRPGでしたら『Baldur's Gate 2』、日本のRPGでしたら『ファイナルファンタジー7』『ベイグラントストーリー』『ファイナルファンタジータクティクス』がお気に入りです。
――本作の開発はなぜ始まったのでしょうか?
Vladimir『The Mooseman』(私たちの一つ前の作品)の開発が終わると、私たちは神話を題材としたゲームを作り続けようと決めました。『The Mooseman』はフィン・ウゴル文化に影響を受けたゲームで、本作はスラヴ神話に影響を受けたものとなっています。
――本作の特徴を教えてください。
Vladimir一番特徴的なのは、まるで実話のように精霊や悪魔の存在が語られる「ブィリーチカ」と呼ばれる物語を題材とした本作の設定でしょう。本作は実在するこれら「ブィリーチカ」をベースに展開します。本作に登場するすべてのモンスターやイベント、ゲームシステムまでもが、この民話のジャンルから影響を受けているのです。
例えば、プレイヤーはチョールト(悪魔)を使って人々を呪うことができますが、プレイヤーの特性を犠牲にしてチョールトたちを寄せ付けないといった選択も可能です。これはコルドゥン(魔法使い、自分のマスター)を苦しめるチョールトという神話を元にしています。
――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Vladimir神話やおとぎ話に興味がある人には、本作の設定を魅力的に感じてもらえるのではないかと思っています。特にスラヴ文化について何か新しいことを知りたい人ですね。本作は様々な文献を実際に調べ、人類学者の人たちに協力してもらいながら開発しました。実在する民話をベースとしているので、本作をプレイしていただければ必ず何か新しいことを学ぶことができるでしょう。
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――本作が影響を受けた作品はありますか?
Vladimirはい、たくさんのものから影響を受けています。デッキビルディングシステムという点では、『Slay the Spire』から最も影響を受けました。ゲーム全体のデザインという点では、多くのJRPGを参考にしています。
映画では、コンスタンチン・エルショフ監督による1967年の「妖婆 死棺の呪い」から多少影響を受けています。しかし最もインスピレーションを受けたのは、ニコライ・ゴーゴリやヴァシーリー・チホフによる小説でしょう。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能でしょうか?
Vladimir日本語にはぜひ対応させたいと思っていますが、まだなんとも言えません。本作の売り上げ次第と言えるでしょう。本作の登場する単語数は15万個ほどありますので、有志翻訳は現実的ではないと思います。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Vladimir私たち開発チームは当初からリモートで作業をしていましたので、パンデミックの影響は受けませんでした。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Vladimirはい、もちろんです!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Vladimir日本文化と日本のゲーム産業は世界に多大な影響を与えていますし、もちろん私たち開発チームも大きな影響を受けています。私たち(ロシア・ペルミ)で作られるゲームというのはまったく有名ではありませんが、私たちの作る小さなゲームが日本のプレイヤーの方たちにも楽しんでいただけると嬉しいです。本インタビューを読んでいただき、ありがとうございました!
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。