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“異色ヒーローが異色ヒーローを操作する”——筆者は今回の仕事で、そんな異様な風景を目にしました。
ひとりはプロレス界の異色ヒーロー真壁刀義選手。リング上のファイトスタイルから “暴走キングコング”という異名を持つ一方、スイーツを好むギャップが人気を呼ぶ選手です。もうひとりはパフォーマー界の異色ヒーローであるEXILEの世界さん。華やか、かつ硬派な印象のある同グループにて、アニメやゲームを好むキャラクターとしても注目されています。
両者は一見、共通点が無いように見えますが、「マーベルや、その映画シリーズ(MCU)が好き」という繋がりがあります。そんなふたりに、つい先日リリースされた『マーベル ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(以下、マーベルGotG)をプレイしてもらいつつ、お話を伺いました。
『マーベルGotG』の原作である「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(以下、GotG)は、アライグマ(?)や喋る木といった異色ヒーローたちがチームを組む物語です。本作はThe Game Award 2021にて、もっとも優れた物語表現のゲームに与えられる「Best Narrative」部門を受賞するなど、高く評価された一作。そんな『マーベルGotG』をはたしてふたりはどうプレイし、なにを語ったのでしょうか?
異色ヒーローを上手く操作する世界さんと、まるで映画のようなゲームに驚く真壁選手
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「あ、僕は普通に発売日にPS4版を買ってクリアしてます」
今回、PS5版の『マーベルGotG』をおふたりにプレイしてもらうという企画の開始早々、なんと世界さんは『マーベルGotG』についてさらっとそう語りました。いくつかのインタビューにて、普段からゲームを嗜んでいることは語られていましたが、関係者はクリアまでは想像しておらず、現場はいきなり驚かされることに。
さらに世界さんは関係者を驚かせ続けます。「ダウンロード版とパッケージ版のふたつを持ってます。パッケージは自分の手元にある良さがあると思うんですよ」過去のインタビューで「オタク=最強にカッコいい」と語っていますが、遊ぶ用と保存用を買うあたり本物です。
一方の真壁選手はというと「普段は『テトリス』とかパズルゲームをたまにやるんだよ! ……でもそれくらいだな…」ある意味イメージ通りでした。
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さて『マーベルGotG』ではチームのリーダー、スター・ロードを操作して戦っていくのが主なプレイ内容となっています。基本はTPSの操作で、原作コミック・映画のような派手なアクションや、チームとの会話を楽しめるゲームデザインを魅力としています。
まずは世界さんからゲームを改めてプレイ。事実上『マーベルGotG』の2周目プレイの形ですが、「PS5版は初めてです」とのこと。「×と◯の決定ボタンが逆なんですよね?」と確認するシーンも見られました。
世界さんは的確にスター・ロードを操作。銃撃や蹴りを使ってザコ敵をやすやすと一掃していくプレイを披露します。「世界さんはこうやって動かしてるけど、映画が普通に流れてるみたい。それがすごいよな」真壁選手も精微なゲームのグラフィックに感心していました。
世界さんのゲームプレイをよく見ると、細かな動作もマスターしているのが見て取れました。たとえば射撃をし続けると銃がオーバーヒートして撃てなくなるのですが、ここでタイミングよくボタンを押すことですぐにクールダウンし、射撃に戻れるシステムがあります。世界さんは器用にこれを使いこなし、スムーズな戦闘を行っていました。
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本作のもっとも魅力的なポイントは、やはりかわいらしい姿で毒を吐くロケットや筋骨隆々の戦士ドラックスなど、同じガーディアンズの仲間と共に冒険できることでしょう。
もちろん戦闘で協力できるほか、時には仲間が傷ついた時に助けにいくこともあります。世界さんは戦闘中、敵にやられたガーディアンズを見逃さず、きっちりフォローする動きもこなしていたため、視野の広いゲームプレイを見せてくれました。
「ゲーム中でずっとガーディアンズのみんなが喋ってくれるのがいいですよね」世界さんは本作の魅力をそう語ります。「それが「GotG」の世界そのままだなと感じます」
さらにゲーム中ではガーディアンズとの会話で、どう返答するかを選択する場面も。「言い方がいいかはわからないけど、ギャルゲーをやっている感じもありますね。会話の違うパターンも見たくて、何周してもいいゲームになっていると思います」世界さんはそう本作を楽しんでいました。
ところで世界さんのゲームプレイで独特だったのは、ボール状のザコ敵をなぜか銃ではなくキックのみで闘うスタイルを見せたことです。世界さんによれば「MCUに出てくるこういうクリーチャー、なんでか蹴りたくなっちゃうんですよね」とのこと。「GotG」のメンバーは清廉潔白なヒーローではなく、みんな荒々しいキャラクターですが、このゲームプレイからは世界さんに「GotG」的な何かが憑依したかのように見えたのは、気のせいでしょうか。
さてゲームプレイしてもらいつつ、お互いに面識があるかを伺ってみると、会うのはこの企画が初めてだそう。「(真壁選手を観て)本物だ~、って思いました」世界さんも新日本プロレスを観ているとのことで、実際に真壁選手に会うと、ファンのような感想を持ったそうです。
一方で真壁選手は意外な回答を返していました。「僕、実際今回の現場で普通を装ってますけど、けっこうドキドキしてるんですよ(笑)」
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ゲームプレイは続いて真壁選手に交代。先述のとおり、パズルゲームを主に遊んでいるというのもあってか、TPSの操作には少し苦労している様子。ですが世界さんが隣で上手く遊び方を教えると、器用にアクションを使いこなして見せます。初心者でもすぐに楽しめるようになるのも『マーベルGotG』の魅力でしょう。
ゲームプレイでイベントシーンになり、ガーディアンズのひとりであるドラックスが映ると真壁選手は真っ先に反応。「映画『GotG』を観てて、こいつガタイいいやつだな~と思って、『誰かに似てるな~』って思ってたら……バティスタだったんだよね」
そう、映画『GotG』のドラックスは、アメリカのプロレス団体WWEの元スーパースターであるバティスタ選手が演じていることでも有名です。真壁選手もプロレスラーが世界的な映画やゲームに出演していることに注目。
真壁選手もバティスタ選手のように俳優業で活躍したいと思ったことはあるか? とうかがってみると「あるよ! 何を言ってんだよ! 」と即答。「やっぱり俺は肉体派であり、殴ったり闘ったりする映画は大好きなんだよ。これまでも映画やドラマに色々出させてもらってるけど、これからも一歩一歩、俳優の勉強をさせてもらいたいな、と思うよね」
「ちょいちょい映画に出させてもらったことはあるんですけど、『GotG』のような世界的なアクション映画にはそうそう出させてもらえない。だから同じプロレスラーとして、元WWEのバティスタが出ているっていうのは素晴らしいと思うね」
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当初は異色に思われた世界さんと真壁選手のおふたり。しかし今回のゲームプレイを通して、プロレスにおける名タッグチームのようにも見えてくるような気がしました。次のページより、おふたりにさらに詳しくゲームと原作や映画について伺ったインタビューをお届けしましょう。