注意
本記事はガイドラインに従ってはいますが、本作はストーリー性が強く、また初見だからこそ味わえる演出が多いため、プレイレポとして紹介する上でどうしてもネタバレになってしまいます。そのため事前情報を極力仕入れずにプレイしたい方におかれましては、この時点でブラウザバックなどで記事から離れることを強くお勧めします。
最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。私もプレイするまで正体が掴み切れず泣いています。そこで“なるべく早く”をモットーに、ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」。
今回はThinkingStarsが開発を、Lightning Gamesがパブリッシャーを担い、2022年03月17日にPC(Windows)/PS5/PS4向けにリリースした、サイバーパンクアクションアドベンチャーゲーム『ANNO: Mutationem アノー:ミューテーショネム』をご紹介。
ありがたいことにPC向け通常版において事前プレイの機会をいただいたので、さっそくプレイして内容を見てまいりましょう。ただし注意点として、今回のプレイしたのはメディア用のバージョンなので、実際リリースされた際のバージョンとは一部の内容が異なるかもしれません。その点についてはご了承頂けたら幸いです。
『ANNO: Mutationem アノー:ミューテーショネム』とは?
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本作はとある未来世界を舞台に、ひょんなことから弟を探すことになった主人公アンが、ネオンあふれる街を探索しながら、様々な人物と交流を重ねてクエストをこなし、自身のルーツなど真実に迫っていくアクションアドベンチャーゲーム。マットな質感の3Dで描写された街並みと、表情豊かに動くドット絵の2Dキャラクターが特徴で、戦闘では激しいアクションを楽しめるのも魅力の一つ。
個人的に圧倒されたのが環境の作り込みでした。街の空には巨大なホログラム広告が浮かび、看板には漢字や日本語が、道行く人々はSFガジェットに身を包む。果ては路地裏のポスターにもフレーバーテキストが用意されていたりと、マップに詰め込まれた情報量が凄まじく、密度がとにかく高いのです。
PS初期時代のアニメとゲームの愛好家で構成された開発チームだからか、くすりと笑みが溢れる小ネタやそうそうこういうのが良いんだよ……という心をくすぐる仕掛けがいっぱい。それらはサイバーパンクという世界観を見事に引き立てており、正直なところクエストそっちのけでただ街を歩いて散策するだけでも十分に楽しいプレイ体験でした。
操作・設定・言語
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設定画面にはグラフィック・サウンド・操作設定といったオーソドックスな内容が並びます。最適化がきちんと行われているためか、グラフィック設定を高くしても、筆者のPCにおもく負担が掛かる様子はありませんでした。操作はキーボード&マウスならびにコントローラーに対応しており、今回はXbox Oneコントローラーを無線接続にて使用しています。
また気になる言語ですが、なんと吹き替え音声まで用意されて日本語にもばっちり対応。個人的な感想になってしまいますが、キャラクターと声の相性がバッチリあっていると感じます。特に主人公アンはクール美人な雰囲気がより引き立っており、相棒のアヤネについても元気いっぱいで文句なしの花丸満点でした。
ただし繰り返しになりますが、記事執筆時点ではメディア向けのバージョンであるため、一部台詞が機械翻訳的でキャラの言動が不安定だったり、声があったりなかったりというのはご愛嬌。またこれはあくまでPC版で確認できたことなので、PS版ではまた状況が異なるかもしれません。
プロローグからして特濃
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新規ゲームを始めると過去の回想がムービーで流れます。軌道上からの攻撃、十字架のように光る爆発、巨大モニターが中央に置かれた作戦室、評議会(?)と思しき空間……と、初見のはずなのに「魂レベルで刻まれた何か」が反応して安心感すら覚える演出が続きます。そうです、我々はこういう物語の立ち上がりが大好きなのです。
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回想はそのまま悪夢に繋がり、それはインターホンによって中断されました。ラフな格好で荷物を受け取るこの女性こそ、本作の主人公アンです。
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届いた荷物はロボット。アンの友人である女性アヤネから贈られたプレゼントで、ハッカーでもある彼女は今後アンをサポートしていきます。なおホログラムを空中投影することで、アヤネ自身を表示させることも可能。ドット絵でコミカルに動く様子が愛らしい。
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極めて自然な流れで挟まれるシャワーシーン。守備力の高いトロフィーによるナイスディフェンスが肝心なところで邪魔をします。なお以降は、任意のタイミングでシャワールームにインタラクトできるので、自由に汗を流せるようになります。
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御覧くださいこの画面に詰め込まれた情報の密度。眺めるだけでも十分に楽しいのに、恐ろしいことにここから探索パートが始まり自由に動けるようになります。
周囲環境が主に3Dモデルであるのに対して、キャラクターなどは2Dであるにもかかわらず、双方が妙に馴染んでいるんですよね。また平面的なアンによる前後左右といった立体的な動きも違和感がなく、それは身体の向きが変わるタイミングで、あいだを補完するような芝居がつけられているからだと推察します。
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マップ内のあちこちには、クエストに直接関係なくとも、インタラクトできるオブジェクトがあちこちにあり、それは画像のアンの部屋でも変わりません。各オブジェクトに近づいたり、周囲をスキャンしたりすることで、それらの輪郭はオレンジ色にハイライトされるのがありがたい。
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なおパソコンを確認するとメールチェックやセーブ、そしてもう少しゲームを進めるとスキルアップができます。メールはフレーバーテキスト的な位置づけで、ゲームの進行によって徐々に増えていきます。セーブは、基本的には随時オートセーブが入っていますが、パソコンから手動で行うことでスロット毎にわけて保存することが可能です。
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ちなみに自室などにあるクローゼットでは着替えができます。衣装は本編の進行度、ミニゲームの報酬によって増えるのですが……いやそれにしてもセクシー。
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あれこれ部屋を物色していたら当初の目的を忘れてしまいました。そんなときはこちら「周囲スキャン」。オブジェクトのハイライト以外にも、現在追跡中のクエストが表示される便利な機能です。
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マップにアクセスすることも可能で、建物内部なら各階層ごとにマーカーなどが設置されるため導線がわかりやすい。
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街エリア全体を表示する場合も、メインクエストやサブクエストといった情報がわかりやすく並ぶため、個人的にこの立体的なマップ機能はデザイン含め非常に好印象です。
自宅のある建物は他にも部屋や階層があり、かなりの場所にインタラクトが可能です。流石にそれら全てをここに紹介するのは大変なので、とりあえず今は外に出ましょう。
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わかりますか、プロローグが始まったばかりなのにこの密度。筆者はプレイししている間ずっと、大好きな本を1ページ1ページ丁寧にめくっては物語を楽しんでいる時のような感覚を得ていました。
ひたすら濃い探索パート
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表通りに出ました。3Dの街並みには奥行きがあり、いやはや作り込みがすごい。街は細い路地など入り組んでいますが、ゲームの進行度によっては移動可能範囲がオブジェクトの配置などによって制限されるため、探索するうちに脇道にそれたまま目的地を見失う……といったことはありません。
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これはワールドマップも同様で、5つあるエリアは、ストーリーの進行によって行き先が一箇所に限定されていたりと、誘導が上手にデザインされています。……マップ中央のバッテンが、なんとなくアニメ「ガンソード」の舞台を彷彿させるのは気のせいでしょうか。
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そしてそこかしこに転がるオブジェクトはインタラクトできるものが多く、ポスターなどはフレーバーな読み物としても読み応え抜群。
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なお道行く人はちゃんと歩いており、頭上にマークが出ているNPCは話しかけることで会話が可能。直接アンとコミュニケーションをとるものから、他人の会話を立ち聞きといったものまで、バラエティ豊かな内容は、正直それを追うだけで物凄く楽しい。もちろんなかにはサブクエストに発展する場合もあり、スキルアップポイントなどの報酬が得られるので積極的に話しかけると良いでしょう。
利用可能なショップにも濃ゆいメンツ
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ところで街の中に立ち並ぶ建物、とりわけショップなどの施設は店内に入ることが可能。これまた個性豊かなキャラクター達がアンと小粋な会話をします。アン自身がクールというよりややダウナー系の寡黙美女なためか、控えめなツッコミ役にまわりがちなのがギャップを引き立て面白いところ。
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そんなショップは武器屋をはじめ、装備品を強化できるチップショップ、アイテムを分解して素材を得る工房、コレクション要素の服屋などなどの種類があります。
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なかには露店もあったりと、こういう部分でも世界観をより深めるバリエーションが用意されています。
ミニゲームも思わず笑みになる作り込み
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街を探索するだけでもお腹いっぱいになりますが、ゲームを進めていくと、特定のエリアや施設などでミニゲームが遊べるようになります。
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例えば街のあちこちにあるアーケード筐体。インタラクトによって往年の名作『Pong』によく似たゲームを遊ぶことができます。
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またこちらはストリートファイト的なミニゲームである「極上とうもろこしジューストーナメント」……登場するキャラクターと飛び出すワードの全てが正気度を下げていくパンチのきいたイベントでもあるので是非確認して頂きたいところ。
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さらには主人公アンの実家であるバー。姉の仕事を手伝うということで、特別な衣装に身を包みカウンターに立ちます。
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客の注文に合わせて酒を提供するミニゲームは、制限時間内に目標金額を稼ぐことで新しい難易度が解放されます。
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なおカウンター上部のモニターをよく見ると、サイバーパンクバーテンダーアドベンチャーの傑作『VA-11 Hall-A』の文字が流れています。ははーん、ピクセル系で描かれた世界観だし、ちょっとしたコラボなのね!……と思っていたら、あるキャラクターがまさかの登場。記事執筆時点では翻訳の都合か、いささか口調が異なる様子でしたが、これは大変嬉しい小ネタでした。
戦闘パート
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さてさて、ストーリーの基本的な流れは、探索パートでクエストを引き受けたら街を探索したり、NPC達と会話したりすることで進み、特にストーリーにかかわる場合は戦闘パートをこなす場面も出てきます。
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マップの構造にもよりますが、戦闘はベルトスクロール的なステージで行います。敵を無視して移動することも可能ではありますが、基本的にはステージとして設定された両端に移動制限がかかるため、先に進むには出現する敵を殲滅する必要があります。
武器
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敵は人型からクリーチャータイプまで様々。近接・遠距離など様々な動きで襲いかかってくるので、相手の動きを適切に見極め攻撃を叩き込みましょう。武器は大別すると銃、剣という2つのタイプがあり、特に剣については片手剣、大剣、双剣と種類が分かれます。これらの他にも消耗品として手榴弾などのアイテムが存在するので、シーンによって適宜使い分けると良いでしょう。
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前述のショップを利用することで、これら武器を新調したり、属性などを付与して強化したりすることが可能。もし戦闘パートで敵を手強く感じる時は、武器強化を検討するのも良いかもしれませんね。
コンボ・スキル
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各武器にはそれぞれコンボがあり、敵を浮かせてから叩きつけるなどスタイリッシュなアクションを決めることも可能。
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またアンの全体的な能力含めて、スキルアップグレードによってさらに強力・派手な技も発動できます。
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ある程度相手の体力を削ると、ダウンして隙が生じるので、頭上に表示されたボタンを押してトドメを刺しましょう。たまにトドメを入れても倒しきれない場合があるので、そこはさらにダメ押しで殴りつけると良いかもしれません。
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戦闘パートではボスが登場するシーンもあり、相手は非常に手強い。そういった時はコンボ、スキル、道具を総動員して戦う必要があります。初見だと突破は難しい場合もあるかもしれませんが、やりごたえ・歯ごたえ抜群のバトルです。
おわりに
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個人的に本作に素晴らしいと感じる点はいくつもありますが、情報量の多さや歯ごたえの良さを越えて最もストライクゾーンにヒットしたのは「ホログラムの表示演出」です。
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例えば通行留めのホログラムであれば、単純に紙ペラ一枚がペッと表示されるのではなく、中心に一本の横線が走ってから上下に面として展開するという……わかりますか、このどこまでもツボをおさえた「そう!これだよこれ!」の数々。
ところで、今回のリリースにあたり通常版以外に、コレクターズエディションも用意されています。そちらにはアンの衣装や武器、アイテムといったゲーム内コンテンツに加え、デジタル設定集とサウンドトラックも収録されているため、どちらを購入するのかはお好みで選ぶと良いでしょう。バーのジュークボックスで再生できるBGMが筆者の琴線をぎゅんぎゅんかき鳴らします。
最後に超個人的な感想で締めになりますが、本作は例えるなら、温泉に肩までざぶんと浸かってあああ~最高……と声が漏れるような、素晴らしいプレイ体験でした。
対応機種:PC(Windows)/PS5/PS4
記事におけるプレイ機種:PC(Windows)
発売日:2022年03月17日
記事執筆時の著者プレイ時間:5時間
価格(Steam):通常価格 2,570円、コレクターズエディション 3,600円