
長引く戦争の影響が、先の発売延期に続いてまた異なる形で現れることになりました。
GSC Game Worldが開発・発売を予定していた『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』ですが、本ゲームのWEBサイトへのロシア国内からのアクセスがブロックされたことが明らかになりました。これはロシア検察庁の要請に基づくものとする報道がなされています。

4月22日付でのロシア国営通信であるイタル・タス通信の報道によれば、今回の規制はGSC Game Worldがウクライナ民族主義者組織への資金援助を呼びかけたことが一番の原因とし、加えてページ内にて大規模な暴動や過激派、またその他の違法な大衆行動への参加を呼びかけるような記述があったとしています。
『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』はチェルノブイリ発電所跡に突如発生した「ZONE」と呼ばれる領域を舞台にしたサバイバルホラーFPSで、当初4月28日に発売予定でしたが後に12月8日に延期を、さらにロシアによるウクライナ侵攻により3月3日に開発の一時中断が発表されました。

今回の規制に関して、WEBページへの来訪者に対してウクライナ民族主義者組織への資金援助の呼びかけがなされていたほか、対ロシア軍との戦闘への参加への呼びかけもなされていたことから、一連の対応はロシア連邦法における「法に抵触するような情報に対するアクセスの規制」の条項に基づく正当なものだとロシア側は主張しています。
なお、GSC Game Worldの公式サイトでは、ロシア軍が警告なしにウクライナの都市を爆撃し始めたこと、市民は戦争を望んでいないこと、ロシアの侵略を阻止する行為に賛同している人々に感謝していることが述べられているとともに、ウクライナ軍支援の援助と国際慈善財団「COMEBACKALIVE」への寄付が呼びかけられています。GSC Game Worldがウクライナ軍を支援する意思があることは事実としてある一方、ロシア側の主張のように、「ウクライナ民族主義者組織」への資金援助呼びかけがなされていると直接的にとれるものは確認できません。イタル・タス通信の報道によると、ウクライナ軍の支援=民族主義者組織への支援と判断されているようです。

『S.T.A.L.K.E.R.』のゲーム内には、「ZONE内での “自由”」を至上のものと考える集団や「徹底した管理統制」を是とする集団、また純粋に利益を目的とした悪党といった様々な組織が登場し、クエストなどを通じてなされる彼らとの交流の様子はシリーズの魅力の一つでもあります。
今回の規制は、あくまでこうしたゲーム内容に基づくものではありませんが、今後どのような対応がなされるかが不安視されるニュースではないでしょうか。
※UPDATE(2022/4/25 22:35):一部、説明不足により誤解を招きかねない部分がありましたので、追記し再公開しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。