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発売から2か月経過しましたが、まだまだ勢いの衰えぬ『ELDEN RING』。ネット上でも新たな関連動画や記事を毎日のように目にします。
アクションゲームがあまり得意ではない筆者も、縁あって本作で初めて所謂「死にゲー」に触れ、大変楽しくプレイすることができました。その際に感じたことは依然の記事で挙げていますので、筆者がどういった人間か、どの程度のゲームプレイヤーかについてはこれから記す『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(以降『SEKIRO』)のレポートの参考として見てもらえればと思いますが、前回長々と自己紹介した内容を簡単にまとめますと、
アラフィフのおっさん。
15年以上ゲームから離れていて最近またゲームをやりだした。
アクションは得意ではない。
友達が血まみれ
といった感じです。
ところで、前回の記事で「アラフィフのおっさんゲーマー」という属性については「50歳以上のゲーマーって殊更に言うほど珍しくもないんじゃないか?」とのコメントを何件もいただきました。本題に入る前にこの点について掘り下げていきたいと思います。「おっさんのおっさんによるおっさんの為の話なんていらない」という方は早速本題からご覧ください。
実は筆者もこの業界で仕事するまでは「50代ゲーマーなんて珍しいものではない」と思っていました。ただこの年代、みなし属性とは言えGame*Sparkの読者層では極めて少ない部類ですし、ライター陣の中でも希少な存在だということをデータから見ていきましょう。
まずGame*Sparkの大雑把な読者の構成比率です。直近3ヶ月のGoogleアナリティクスの数字からまとめました。ツールの仕様上、10歳ごとに区切れないので若干正確ではありませんが、それでも50代以上のゲーマーは珍しい(≒どれだけ多く見積もっても全体の15%未満)と表現しても差し支えない数字です。
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Game*Sparkという偏った媒体の読者属性を例にするのもやや不正確だということで、より一般的なデータがまとめられているファミ通ゲーム白書2021での調査結果をもとにまとめてみると、日本国内のゲーマーの人口分布は以下のようになっていました。(調査対象として4歳以下、60歳以上は入っていません。以降の図表は白書のデータをもとに筆者が図表にしたものです。)
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「ほぼ日本の人口分布そのままですやん!」とツッコミが入りそうではありますが、ここから「年間でスマホ、タブレット等のアプリでしかゲームをしない人」を除いた、「家庭用やPC、スマホ等アプリ等幅広くゲームをするゲーマー」の数を割り出すと以下のようなグラフになります。
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そうすると50歳以上からの人数が他年代と比較するとほぼ半数程度になることが分かります。逆に40~50歳辺りに「スマホアプリだけをプレイするゲーマー」がこれほどまでに多いということも興味深いです。
国内ゲーム市場の半分以上がスマホ等のアプリによる売上なので、それのみを楽しむ人を「ゲーマー」から除外するつもりはないのですが、スマホでしかゲームをしない人を除いた方が、Game*Spark読者の皆様の考えるゲーマー像としては、近いのではないでしょうか?(下記グラフはファミ通ゲーム白書 2021のリリースより引用したもの)
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そしてその少ないはずの同世代の同志が声をあげて存在感を示してくれたのは実生活で周囲に同年代のゲーム好きが皆無に等しい筆者としては大変嬉しく思います。
さて、レポートに入る前に、そもそも何故今更『SEKIRO』なのか?と疑問に思う方は多くいることでしょう。そもそも『SEKIRO』は2019年に発売されたゲームです。その年のGOTYをはじめとして数多くの受賞のあるタイトルですし、昨年Game*Sparkで行った「ハードコアゲーマー総選挙」でも4位と、名作として既に不動の地位を築いているゲームと言っていいでしょう。
少しネットで検索すれば発売当時のレビューやレポートがいくらでもあるのも事実ではありますが、その当時とは違った目線からこのゲームをレポートしたいと考えて筆をとった次第です。
筆者は『ELDEN RING』について前述のレポートで「実は万民にお勧めできるいい意味で裏切られた名作」としてアクションの得意不得意に関わらず「死にゲー」と躊躇しないで是非多くの人にプレイして欲しいと述べました。こう述べるに至ったのは、私がこれまでフロム・ソフトウェアの「死にゲー」は敷居が高いと思って敬遠していたにも関わらず、実際にプレイしてみて「このゲームと出会えて良かった」と考えが180度変わった経験によるものです。『ELDEN RING』はそれほどまでに間口の広いゲームだと断言できます。
余談にはなりますが、良いと思ったものは誰かに紹介したくなるもので、筆者もCEROのレーティングなどどこ吹く風で、離れて暮らす中学生の息子に「凄く面白かったから興味あるなら買ってやるぞ」(私はPS5版をプレイ。息子はFPS好きで高フレームレート教の信者なのでPCでゲームをしている)と、理解ある父親ムーブで声を掛けました。親父……ありがとう!という美談を紹介したかったところですが、「動画配信で一通り見たからいらない」と一蹴され、今時の若者とゲームとの関わり方に複雑な思いです。
長男にはうまくいきませんでしたが、他の人にも地道に布教活動をした成果か、私の周囲でも『ELDEN RING』で初めてフロム作品に触れてどっぷりとはまっている人が何人かいます。従来のフロム作品と本作の出荷本数の違いから見ても、世間ではそうした新規層も少なくないことでしょう。
こうして『ELDEN RING』に触れたことで「死にゲー」に抵抗感が無くなった人にとっては、『SEKIRO』や『Bloodborne』をはじめとしたフロム・ソフトウェアの高評価タイトルが未着手で世の中に存在することは幸運とも言えると思いますし、そういった他の「死にゲー」にも手を出してみたいと思うのも自然な心の動きだと思います。ですので今回は「『ELDEN RING』から入った死にゲー初心者が他の死にゲーをプレイしてみた場合の感想」としてストーリーには触れることなくレポートしていきます。