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海外から見た日本像というのはしばしばネタになることがあります。非常に真面目に考察されているのに「これじゃない」というのは往々にして起こりえることです。やがては、その着眼点を昇華した「ニンジャスレイヤー」という名作の誕生にもつながるのですが、基本的には意図していないような作品の方が多かったりします。
ゲームと映画で色々なNINJAの概念を楽しんでみるのも一興でしょう。早速、ゲームのNINJA像を見てみましょう。
JAPANの金字塔といえばこの作品
『Shadow Warrior』(1997年)
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外国から見た日本の文化にNINJAが組み合わさるとカオスが生まれるともいうように、本作品も突っ込みどころが満載のゲームになっています。
主人公ロー・ワンは日本の複合企業ジラ・エンタープライズに属して暗殺などを行う忍者マスターなのですが、暗殺や謀略などの企業の暗部を担っています。しかしジラ・エンタープライズが異世界の敵と契約し、日本を征服しようと企んでいることを知ったロー・ワンは会社を辞めることになるのですが、その力を恐れたZ社はロー・ワンを葬ろうとします。
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本作品はグロテスクな描写も大きな注目ですが、ファーストレベルである東京から地下鉄の駅構内に唐突に現れるパチンコ屋に脈絡のないアニメポスターが猥雑に溢れています。映画『ブレードランナー』のような東洋文化のごちゃ混ぜ感は意図的にやったとの事ですが、とはいえ、それでも今のNINJAゲームの源流ともいえる作品といっても良いでしょう。
謎の城と温泉と来てSUSHIの豪華セット
『Hitman 2: Silent Assassin』(2002年)
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ステルスアクションの傑作としても名高い『Hitman』シリーズの二作目。本作品には日本ステージが存在しており、47が日本で暗殺ミッションに挑戦します(リボーン版のHitmanではOPムービーで若干触れられています)。
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日本の最終ミッションでは東北の雪降る地でヤクザの親玉の暗殺へと向かいます。広大な土地にぽつんと存在する本城への潜入を妨げるのはNINJAたち・・・天守閣へ向かう道の出城のてっぺんにはお風呂が完備されており、発見されると出城からスナイプしてきます。
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本城でもNINJAが城の警備を行っており、梁などに身を潜めています。47を見つけると「やめー!やめー!」「なんじゃらほい!」「貴様なにやってんだよー!」といった謎の警告ボイスを喋りながら一斉に攻撃してきます。
後述する映画でできあがったNINJAのイメージには本作品が一番近いような気もしますが、日本ステージの中にはターゲットが内容こそズレていますが、流ちょうな日本語で会食するシーンなどもあり、非常に興味深い作品となっています。
どこにでも現れる忍者が劇中最強なのでは・・・?
『太閤立志伝V DX』(2022年)
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戦国時代に生きた武将や文化人となって大志を遂げる本作品。イベントコンバーターも存在することで戦国時代を無限に楽しめるのも魅力の一つですが、忍者プレイも楽しめる本作品も代表的な忍者ゲームといえるでしょう。
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「え!?国産じゃない、それも真面目な歴史モノ……」と思われるかもしれませんが“リコエイションゲーム”たる本作は中々どうして。各地の忍者の里で忍術も学べるほか、分身の術を駆使して辻斬りを極めることだって可能です。内容的にも国内のエンタメ小説の忍者像、そして海外のNINJAにつながる匂いを感じ取ることができます。
そして、本作品、なぜか浪人のキャラクターでスタートしても専属の忍びが付くのも注目のポイントです。本来、情報の伝達も遅ければ、留守にした空き家の安全も怪しい時代において、どのような場面でも各地の動向を事細かに伝えてくれるほか、各地を放浪している間も自宅の金庫が無事なのは忍者のお陰(?)、一家に一人忍者が欲しい、と言った具合ではないでしょうか。
ゲームで特筆すべき忍者はといえばまだまだ沢山いることでしょう、ですがここで視点を変えて、海外ゲームにも存在するNINJA像というのはどこから生まれてきたのか?と気になる読者の方はいらっしゃいませんでしょうか?ミームにしろ、キッカケというのはどこかしらある物ですが、昨今のNINJAが生まれるキッカケとなった海外映画でのNINJA像も見てみることにしましょう。