NINJA流行のきっかけといえばこの作品
『燃えよ忍者(Enter the NINJA)』(1981年)
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恐らく、ヒットの度合いと後への影響を考えたら大半の海外NINJAに多少なりとも影響を与えていそうなのがこの作品でしょう。アメリカで忍者ブームを巻き起こした本作品はゲーマーにもお馴染みのケイン・コスギ氏の父親であるショー・コスギ氏の当たり作品で、キレのあるアクションシーンも相まって全米で大ヒット。後の忍者作品の乱造へと繋がっていきます。本作品も、ヒットの影響でシナリオ上の関係も薄い三部作が作られています。
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日本で忍術を極めた主人公コールは昔の戦友に頼まれ単身フィリピンの農場で用心棒を務めることになります。戦友の農場から石油の産出が確認されたことでマフィアと血で血を洗う抗争に発展します。コールの強さに業を煮やしたマフィアは日本から対抗するため忍者を呼び寄せるのですが……コールの免許皆伝に納得のいかない兄弟子のハセガワが敵として招かれることになります。
本作品はスプラッタ描写も多く、アクションシーンでは流血シーンが多めです。忍術とか忍具を使った所謂本格的な忍者ではなく、刀やヌンチャクをメインとした武闘派アクションとなっています。KARATEで戦う忍者像や、忍者の攻撃がスプラッタな結果を生む、といったイメージの源流の一端を知ることができるでしょう。
ドイツでまさかの忠臣蔵
『ベルリン忠臣蔵(Der Sommer des Samurai)』(1986年)
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事件現場に謎の日本語が残され、青年実業家が次々に不審死する怪事件が勃発。事件現場を地図上で繋ぐと、そこに浮かび上がる「大石」の文字が……大石内蔵助が復讐のためドイツに蘇る!
西ドイツの首都ハンブルグを舞台としたドイツ映画で、日本の赤穂浪士討ち入りをモチーフにした作品になっています。大石内蔵助は青年実業家であるキルケに転生し、ある目的のため復讐を果たそうとしています。
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それだけ見れば何が忍者なのかというところなのですが、何故か侍というよりは忍者と言った方が正しい風貌と行動を行っており。煙玉や、ハッキングなど現代忍者と言うべき設定を大分早い段階で設定に盛り込んでいます。当時のドイツから見た日本観を楽しめるというのもポイントではないでしょうか?
ニンジャが突然現れて面白くないワケはない
『アメリカンニンジャ(American Ninja)』(1985年)
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場所はまたしてもフィリピン、主人公ジョーは自分が所属する米軍基地の武器配送任務に就いていたところ忍者の賊集団に襲われます。撃退した後も基地の内外で命の危険に晒されますが、何故か身についていた無意識の忍術を駆使して生き残ります。
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「サプライズ忍者理論」ともいわれる「物語に唐突に忍者が現れて戦い始めるような脚本の方が面白いならそれは良いお話とは言えない。」という脚本論があるのですが、本作品は本理論に逆行しています。
ヒロインとのラブシーンなども全て捨てて「NINJA」に全て振り切った本作品は、それなりにウケが良かったこともあり、続編も例に漏れず「5」まで制作されています。
海外の忍者映画を見るには
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残念な事に今回紹介した映画は全てAmazon Primeなどの日本でのサブスクリプションサービスでは提供されていません……ですが、最近の作品でも海外忍者作品は「モータルコンバット」にしかり数多く存在しています。
今回紹介した作品群は今と違いインターネットも発展していたわけではなく、海の向こうでは考証も難しい時代です。その中でも真剣に他国の文化に真面目に取り組んで制作されているため本来の日本像とは違うけど「これはこれでアリ」といった作品に仕上がっています。
ちょっと短いお休みなど少し時間ができた際には、頭を空っぽにして楽しみたい時NINJA映画で楽しんでみるのもいいのではないでしょうか?