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3月のState of Playで突如発表された、カプコンが開発する対戦型PvE『エグゾプライマル』。本作は、2040年の地球を舞台に、パワードスーツ「エグゾスーツ」で、「恐竜災害」に立ち向かう、チーム対戦型アクションゲームです。
カプコンが手がける完全新規IPとして注目を集める『エグゾプライマル』。編集部では、開発ディレクターにメールインタビューを実施。本作のバトルコンセプトからロールのデザイン、細かなゲームシステムまで根掘り葉掘り訊きました。
6月14日のカプコンショーケースでも紹介された本作、「なんとなく面白そうだけど、実際どういうゲームなんだろう?」と思っているアナタ、必見です!
過去のカプコンのゲームには無かったアクションの気持ち良さ
――自己紹介をお願いします。
平岡ディレクター(以下、平岡D) 平岡 拓朗(ひらおか たくろう)です。『エグゾプライマルのディレクター』を担当しています。
過去に携わったタイトルは下記になります。
・『モンスターハンターワールド:アイスボーン』(メインプランナー)
・『モンスターハンターダブルクロス』(メインプランナー)
――お披露目後、ユーザーの反応への感触はいかがでしたか?
平岡D 「カプコンの新規IP」ということに驚き、喜んでもらえていました。
エグゾプライマルは長く開発を続けてきたこともあり、開発メンバー一同、ようやく発表できたことと、ユーザーの皆様に驚きを与えられたことが嬉しかったです。
そしてその嬉しさと共に、しっかりと面白いものを提供したいと強く思えました。
――相手チームとさまざまな種類の恐竜と戦う本作ですが、バトルコンセプトを教えてください。
平岡D 初期構想の段階で「過去のカプコンのゲームには無かったアクションの気持ち良さに挑戦したい」という思いがありました。
モンスターハンターのような強大な1体のモンスターと対峙するようなゲームではなく、数多の敵とぶつかり合い、打破する気持ち良さを追求したとき、新しいIPの魅力と可能性が生まれるのではないかと考えました。
さらにその「圧倒的な数の敵を少数で打破する気持ち良さ」をネットワークを介して仲間と共有するユーザーの姿を想像した時に、それが“新規IPとしてのコンセプトになる”という確信になりました。
――バトルコンセプトを一言で表すと?
平岡D 「最凶を最強でぶっ潰す」絶望的な状況を仲間との協力プレイで打破する爽快感。
それを「マッシヴ」に描く、です。
――なぜ、対戦型PvEとなったのでしょうか。
平岡D PvE(エグゾスーツvs恐竜)の中に、PvP(エグゾスーツ同士の戦闘)のシチュエーションが発生することにより、よりエキサイティングなゲームになる可能性があること。
そして、「リヴァイアサンの戦闘テストにプレイヤーが巻き込まれ、戦わされている」というストーリー/世界観との親和性が高いゲームモードを求めた結果になります。
――バトルの大まかな流れを教えてください。
平岡D ディノサバイバルでは、自分を含めて味方チーム5人、敵チーム5人がマッチングし、基本的に「5v5」のチーム対戦の形式で遊ぶことになります。ディノサバイバルのルールは「リヴァイアサンが提示する全てのミッションを相手チームよりも先にクリアした方が勝利」という単純明快なものになっています。
そのミッション内容は、参加するプレイヤーのゲーム進行状況に応じてリヴァイアサンが決めます。そのため、同じフィールド、同じミッションでも異なる体験が待っています。同じ場所の同じミッションでも、大きな恐竜が連続して襲い掛かってくることもあれば、小型恐竜の大群が複数出てくることもあるかもしれません。
さらに、相手チームのファイターを直接攻撃するシチュエーションが発生するものがあれば、相手チームと協力して10人のファイターで強敵に挑むものなど、バリエーション豊かなミッションを用意しています。
PvP(他プレイヤーのスーツとの戦闘)についてはディノサバイバルのミッションで発生します。恐竜とはまた違った、スーツ同士の激しい戦闘が繰り広げられるでしょう。
そして、PvPとPvE(恐竜との戦闘)の割合に関しては、ミッション構成によってプレイの度に変わります。
――バトルの中では、ミッションが次々と更新されていくようなイメージですか?
平岡D フィールドに降り立つとミッションが提示され、そのミッションをクリアすると次の新しいミッションが提示される…といったイメージになります。(ミッションが提示:ミッションが行われる場所までのルート、ミッション内容が表示される)
――1ゲーム(バトル)は、どの程度の所要時間を想定していますか?オーバータイムなどはありますか?
平岡D 1回のディノサバイバルのゲーム時間は15~20分程度です。制限時間はありますが、オーバータイムは無く、制限時間が過ぎるとその段階でディノサバイバルの決着が付きます。
――フィールドはどのようなロケーションになるのでしょうか。地球上の実際の地名などは登場しますか?
平岡D 基本的には、地球上の架空の島である「ビキトア島」が戦闘の舞台となります。
公開している映像では市街地が多いですが、ビキトア島には市街地以外にも様々な場所が存在します。こちらについては、今後の情報を楽しみにお待ちください。
――公開されているインタビュー映像ではトリケラトプスが建物の柱を壊すシーンなども見られましたが、環境破壊によるマップの変化や、地形を活かした立ち回りなども楽しめるのでしょうか?
平岡D フィールドの環境変化については、敵となる恐竜側に仕掛けを用意しています。
数千、数万の恐竜が環境を利用して襲い掛かってくるシチュエーションは、圧倒的なインパクトでユーザーが驚き、興奮してくれると確信しています。
――ランクマッチのような、競い合うことに特化したモードはありますか?
平岡D ランクマッチのようなモードの予定はありません。
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プレイヤーが恐竜を召喚し、操作することも!?
――赤いゴーストのように表示されているエグゾスーツのキャラクターがいました。あれが競い合う相手チームなのでしょうか?
平岡D その通りです。ディノサバイバルでは、相手チームとは異なる次元でミッションを開始します。相手チームの状況は「ビジョン」と呼ばれる赤いホログラムで表示されます。
最初は相手チームとは異なる次元でミッションを行っていますが、ミッションを進めていくと相手チームと同じ次元でミッションを行うようにリヴァイアサンに導かれ、そこでPvP(相手チームのエグゾスーツとの戦闘)が発生するようになります。
また、ディノサバイバルではリヴァイアサンが「ドミネーター」という特殊なリグを出現させることがあります。ドミネーターを使用すると、プレイヤーが恐竜を召喚し、操作が可能になります。さらに相手チームの次元に乗り込むことができるので、その恐竜の圧倒的なパワーで相手チームを妨害できます。
――エグゾスーツや、リグはどのように解放されていくのでしょうか?
平岡D エグゾスーツ、リグ共にゲーム序盤から複数種類を所持しています。
ディノサバイバルをプレイし、ゲームを進めていくことで種類が増えていきます。詳しくは続報をお待ちください。
――何故1チームが5人なのでしょうか?
平岡D エグゾプライマルは「役割」と「協力」を大事にしてゲームをデザインしています。
敵の進行を防ぐタンク、敵を殲滅するアサルト、仲間を回復するヒーラーと、大きくわけて3つのロールが存在しており、「5人チーム」はこの3つの数字のバランスが絶妙に崩れるものになっています。チーム構成をどうするか、プレイヤーたちが状況に応じて考え、戦っていくことになります。
さらにエグゾプライマルでは、ゲーム中の「いつでも」「どこでも」スーツチェンジが可能というユニークな特徴があります。3つのロールに対して、5人のチームというバランスが崩れる人数を採用することで、この3つのロールの組み合わせ/選択肢の数が増え、それが遊びの奥深さにも繋がると考えています。
また仲間と協力するには、仲間の状況を把握することも大事です。5人チーム(自分以外が4人)は、仲間の状況を把握できるか、できないかちょうど良いバランスとも考えています。
――バトル(ミッション?)には、難易度があるのでしょうか?
平岡D 前述した通り、プレイする度にリヴァイアサンがフィールドやミッション、出現する恐竜を組み替えます。そのため、同じフィールド、同じミッションでも異なる体験が待っています。ミッションに応じた戦闘場所/サイズが設定されるので、密度ある戦闘を楽しめるでしょう。
ディノサバイバルに参加しているプレイヤーのゲーム習熟度に応じて、設定されるミッションの種類や出現する恐竜のバリエーションが増えていきます。単純に難易度が上がるというよりも、様々なパターンの戦闘テストが行われるようになるというイメージです。
アサルト、タンク、サポート、それぞれの連携が肝
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――ロール/役割分担などがありますが、どの程度シビアなのでしょうか?
平岡D チームのスーツ構成については、必ずしも「これが正解!」というものは用意しておりません。
リヴァイアサンが提示するミッション、その状況に応じてユーザー自身で「こう戦いたい!」というのを考えて構成を決めて楽しんでもらえればと思います。
基本的にはどのような構成でも楽しめるようにしています。アサルト、タンク、サポートがバランスよくいても良いですし、回復できるリグ「エイド」を装着したアサルトのみで戦うのも面白いかもしれません。様々な可能性を是非試してみてください。
エグゾプライマルのゲーム紹介に出てくる「臨機応変に判断」や「ロール」、「仲間との協力/連携プレイ」と聞くと難しいゲームのように感じるかもしれませんが、実際にはもっとカジュアルです。登場する各エグゾスーツは、シンプルな操作でそれぞれの特性を活かした強力な攻撃やスキルを繰り出すことができ、それによって爽快感のあるプレイを体験できるでしょう。
メインモードであるディノサバイバルも、リヴァイアサンのナビゲーションによって初めてでも迷うことなくプレイを進められるでしょう。1人で遊んでも、友達と遊んでもきっと楽しい体験ができるでしょう。
――例えば、回復役でもバチバチに前に出て敵を倒す、みたいなプレイもできるのでしょうか?
平岡D 「ウィッチドクター×キャノン」で攻撃的に動くウィッチドクターにすることもできますが、根本のロールがサポートなので、そのロールを覆すような戦い方はできません。(アサルトに比べると、どうしても火力は低くなっています)
…が、ウィッチドクターの中でも攻撃的に動く(キャノン)、機動力を上げる(カタパルト)、回復特化(エイド)のように「スーツ×リグ」の組み合わせで戦い方の可能性が広がります。様々な組み合わせを試し、自分の好きな戦闘スタイルを追求してください。
――全てのエグゾスーツは、一律に攻撃手段を持っているのですか?
平岡D エグゾスーツ全体の特徴として、スーツの種類によって攻撃に使用する武器が異なります。また同時に、スーツ特有のアクティブスキルを持っています。それらを駆使して恐竜に立ち向かいます。
つまり、アサルトは「豊富な攻撃手段によって敵を殲滅」、タンクは「敵の攻撃から仲間を守る」、サポートは「様々な支援能力でチームが戦いやすい状況を作る」という役割がありますが、使用している武器やアクティブスキルによってスーツ毎に異なる手段で役割を達成できる楽しさがあります。
アサルトを例に挙げると…
デッドアイはアサルトライフルによって中~長距離で多数の敵も相手にできる、ゼファーはトンファーによる近距離特化ですが乱戦が得意、ヴィジラントはスナイパーライフルで長距離特化の狙撃によって的確に敵を仕留めていきますが多数の敵に囲まれる状況が苦手…といった感じです。
それぞれのロールに様々なスーツが登場します。どのような手段で活躍できるのか、続報をお待ちください。
――攻撃手段を持たないという選択肢はありますか?
平岡D エグゾスーツの武器を外すことはできません。必ず攻撃手段を持った状態でミッションに臨むことになります。
――バトル中でもスーツ(ロール)の変更は可能とのことですが、ロールへの人数制限のようなものはないのでしょうか?極端な話、5人全員がタンクというプレイも可能ですか?可能だとして、それがゲームプレイとして現実的なものですか?
平岡D 前述した通り、基本的にはどのような構成でも楽しめるようにしています。ロールやスーツの人数制限もありません。様々な可能性を是非試してみてください。
――ロールごとのアクションをプレイヤー同士でタイミングを図ってシナジーを得るようなプレイが面白そうですが、一例などあれば教えてください。
平岡D それぞれのスーツは、それ単体だけではパフォーマンスを最大限に発揮できません。アサルト、タンク、サポートが連携することで、絶望的な状況を打破し、ミッションを攻略する楽しみを味わうことができます。
一例を挙げるとすると、ロードブロックが挑発によって恐竜の注目を引き付け、自身を攻撃してきた恐竜を盾で受け止めることで恐竜を一か所に集める。そこに対して、デッドアイを始めとしたアサルトが攻撃を集中させて恐竜を一掃する。サポートはその戦線が崩れないように仲間を回復するといった連携があります。
――バトル中、倒れてもリスポーンは可能ですか?一時的な負傷状態になって、味方が救助(蘇生)することはできますか?
平岡D エグゾスーツの体力がゼロになると、戦闘不能状態になります。戦闘不能状態になってからしばらくの間は、味方がリコール(蘇生/助け起こす)することが可能です。リコールされず、戦闘不能状態が続くと、リスポーンとなります。
チームメンバー全員が戦闘不能状態になると、ミッション失敗となり、そのミッションの最初からやり直しとなります。
「歴史上最強」×「近未来最強」
――公開されている映像では、カットシーンの一部のようなものも見られました。物語はどのように紡がれていくのでしょうか?ミッション制で、ミッションごとにカットシーンが入ったりするのですか?
平岡D エグゾプライマルでは、リヴァイアサンが繰り返し行うウォーゲーム(戦闘テスト)にユーザーが巻き込まれることになります。その戦闘テストがメインモードの「ディノサバイバル」になります。ディノサバイバルをプレイすることでストーリーが進展していきます。
繰り返されるウォーゲーム、その無限ループからの脱出方法を探る…という構成で一般的なキャンペーンとは異なる形式でユーザーに提供されます。
また、スーツを着ているキャラクターは“ユーザー自身”になります。是非「自分自身がこの戦闘テストに巻き込まれたら…」という気持ちでゲームを楽しんでもらえればと思います。
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――新規IPを創るうえで、実際にプレイヤーが対峙する存在に「恐竜」を採用した理由を教えてください。
平岡D 最初にアイデアとして存在していたのが「恐竜」でした。
歴史上最強であろう生物である恐竜の脅威を体験してみたい。さらに、その恐竜が数千、数万という数で襲い掛かってくる絶望的な状況をゲーム中で体験できたら、今まで見たことのない迫力を生み出せるのではないかと考えました。
次に、そんな圧倒的な強さと数を持つ恐竜という、絶望的な状況を打破するには、現代の人間や技術では不可能であり、未知の力(近未来の化学)が必要ではないかと思い至りました。
この時に「歴史上最強」×「近未来最強」という相反する要素が組み合わさることで、新しい体験、面白さをユーザーに届けられるのではないかと思い、『エグゾプライマル』のアイデアが生まれました。
――キャンペーンモードはないとのことですが、PvEのみに特化したいわゆるCo-opモードのようなものを導入する予定はありますか?
平岡D ディノサバイバル以外のモードも実装予定です。続報をお待ちください。
――ゲーム内で世界観を深掘りするような要素(TIPSやジャーナルなどの読み物など)はありますか?
平岡D ディノサバイバルのプレイに加えて、ストーリーを深く知れる仕組みも用意しています。そちらについては続報をお待ちください。
――恐竜の外見にはさまざまな説がありますが、現在の見た目としてゲームに落とし込む際に、どのような検討が行われたのでしょうか?
平岡D 最新の研究で恐竜の姿や生態において、新たに様々なことが分かってきていますし、今後も変わってくると思いますが、『エグゾプライマル』では、恐竜と戦うのであれば、世界中のより多くの人が思い描くであろう「理想の姿」で恐竜を描くべきだと考えました。
さらに、一般のイメージよりも筋骨隆々な“カプコンらしいアレンジ”を加えて、今のデザインに落とし込みました。
――本作は、ライブサービス型のタイトルなのでしょうか?
平岡D F2Pタイトルなどではなく、通常のフルプライス販売を予定しています。運営やサービスに関することで、現時点でお伝えできる情報はありません。今後の発表をお待ちください。
興味深い世界観が生まれたアイディアの経緯や、エグゾスーツとリグを組み合わせたさまざまな可能性など、とても興味深いメールインタビューとなりました。
『エグゾプライマル』は、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam)向けに、2023年発売予定です。