最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2022年7月20日にパブリッシャーNeon Doctrine、デベロッパーCoffee Addict StudioよりPC/PS4/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けにリリースされた『Hazel Sky』について生の内容をお届けしたいと思います。

『Hazel Sky』とは
ひとりの若きエンジニア候補の主人公・シェインが、自身の運命に関わる大きな試練へと挑むアドベンチャーゲーム。シェインは故郷である空中都市「ギデオン」からはるか遠くの孤島で、エンジニアになるための試験に合格するのが目的のストーリーが描かれます。
ゲームは島内を探索し、謎解きやアクションを行いながら材料を集めながらタスクをこなしていく形式で進行。隠されたアイテムや音楽演奏など、さまざまなコレクション要素も用意されています。
試験を進めていくことで、過去に試験に挑んで失敗した人々の結末や故郷ギデオンの情勢などが明らかになり、少しずつシェインの住んでいた世界の姿が見えていきます。また、無線機を通じて知り合ったエンジニア候補・エリンとの会話でシェインの「世界に対する考え方」が変化していくのも物語の重要なエッセンスです。


『Hazel Sky』の実内容に迫る!
物語は冒頭、シェインが父・フリンの漕ぐボートで試験会場の島へと向かうシーンから始まります。シェインがエンジニアになるためには、いくつかの島に残されている「壊れたマシン」を修理しながらギデオンへと帰還しなくてはなりません。しかし、試験に失敗すればそれは死をも意味する、厳しいものでもあります。
シェインの一族は、祖父の代からエンジニアとして活躍し、父は現在ギデオンで有力な存在の一人。島への道中では、ギデオンで最高の地位であるエンジニアも現在はその数が減り、さらに時勢によってその立場も弱まっていることなどがナレーションで明かされます。


そうしているうちに船は島に着き、シェインは最初の試験へ。最初の島では家の中にある材料を探し出し、屋上にあるグライダーを修理することが目標です。家の中にはエンジニアの必須道具のほか、父からの手紙や先人たちのメッセージなどさまざまなアイテムや本が散乱しています。
グライダー修理まではチュートリアルのようなもので、本作のアイテムの調べ方やジャンプ、よじ登りなどの基本操作を学んでいきます。アクションは少しクセがあり、高いところから落ちると死んでしまうので、まずは動きに慣れておきましょう。ちなみに、家の中にある楽譜とギターを使用して音楽の演奏も楽しめますよ。


無事に木材や布などの素材を探し出し、グライダーを修理したらさっそく離陸して最初の試験をクリア。空を背景にタイトルが表示され、いよいよ本格的に物語が始まります。



島を探索してすべてを見つけ出せ!
2つ目の試練からは舞台の島も大きくなり、探索範囲も広がっていきます。シェインは物を運ぶことやジャンプ、段差をよじ登る、泳ぐといったアクションが可能。これらのアクションを駆使しながらさまざまな仕掛けを解き、マシンを修理する材料を集めていきます。
本作の謎解きは、パスワードを探し出すものや、ヒントをもとに隠された場所への道を見つけ出すものまでさまざま。試験は一人で挑むもののため、会話などのヒントは(ほとんど)ありません。干渉できるオブジェクトにマークが付いているため、しっかり観察すれば謎解きに悩むことはないと思います。なお、その試験でやるべきタスクは拾った設計図画面から確認可能です。



島内の風景は非常に美しく、残された自然や建築物、空に浮かぶ故郷など、見どころが満載。試験用のアイテム以外のコレクション要素として、シェインのリュックに付ける「アクセサリー」「バッジ」などもいろいろな場所に隠されています。砂浜に埋まっている宝箱もあり、その鍵を探すのも楽しみ方のひとつです。
そして、本作は「試験に失敗すればそれは死をも意味する」という前提がある通り、いろいろな場所で死体が発見できます。死体の近くにはメモが残されており、この試験に関するものやオカルトなもの、ギデオンの内情など、さまざまな内容が残されています。


こうして先人が残していった記録をもとに、少しずつシェインとプレイヤーはこの世界の姿を知っていくのです。



「エリン」との出会い、謎の回想。プレイヤーは何を思う。
本作の物語を形作るために欠かせないのが、本作のヒロイン(?)である試験生・エリンの存在です。彼女とは2個めの島で無線機を通じて出会い、以降は定期的に無線で連絡を取りあう仲になります。ちなみに、エリンが試験を受けているのはまったく別の島です。
本来であれば試験生同士が交流するのは禁じられているのですが、なぜか咎められる様子もありません。エリンはどうやらシェインよりも早く試験を受けているようで、この試験や世界に関するさまざまな思いや疑問を投げかけてきます。物語の進行上で見つけられる「先人の思い」や、ギデオンの今を告げるラジオ放送の内容などと絶妙にリンクしているため、2人の会話はとても印象に残るのです。

また、シェインはストーリー中に何度か気を失い、そのたびに「誰か」の思い出がフラッシュバックします。それは非常に重要な雰囲気のようでもあり、ただの夢のようでもある。本作は島を探索し、いろいろなメモや本を見つけ、ラジオに耳を傾け、多くのことに「気付く」ことに意味のある作品なのです。
その道中や結末に関しては、ネタバレになってしまうのでもちろん明かすことはできません。ただ、ぜひいろいろと探索して自分なりの考えを持ってストーリーを進めていってください。


BGMも効果音も雰囲気抜群!
ゲーム内で見つけた楽譜を使用する音楽演奏パートは、本作の醍醐味のひとつ。楽譜にはいくつかのコードが書かれていて、演奏画面でそのコードの順番通りに弾くことでシェインが一曲歌ってくれます。歌にはいろいろな曲調があり、嬉しいことにアイテムの詳細画面では歌詞の日本語訳も掲載されています。
本作は歌やBGMはもちろん、ちょっとした効果音にもこだわっています。個人的には最初の家で拾ったマッチを調べていたら、動かした際に「中のマッチが動く音」がしたことに感動しました。こういった気付きを得るためにも、ぜひともヘッドホンなどの環境を用意して、ゲームの世界観に浸ってほしいものです。


なお、歌はもちろんBGMなども収録するサウンドトラックがSteamで販売されています。公式サイトでは、作中の歌のひとつ“The First Man”を、ゲーム内映像とともに公開しています。
楽譜は島内のいろいろな場所に隠されています。ぜひとも探し出し、すべての曲を聞いてください。

ここまで紹介した『Hazel Sky』。豊かな島の風景や機械・施設たち、どこか歪な世界観、そしてシェインとエリンの関係性。そのすべてがどこか不思議なほど美しく、また不思議なほどに調和しています。ゲームとしてもマップ内オブジェクトが多く、楽しみながら探索することができます。
少しだけ操作に癖があり、一本橋などのロケーションでは簡単に落ちて死んでしまうが難点かもしれません。しかし、すぐに復活できるのでストレスにはならないと思います。また、何故かオブジェクトをつかめないときは、一度大きく離れてみるといいでしょう。
このプレイレポートの中で、本作は「気付き」の物語だと紹介しました。この呼び方には、「この世界の真実を知るためにも何かしら気付くまでプレイしてほしい」と言う想いも込めています。この気付きは「ひとつしかない答え」ではなく、決して全プレイヤー共通のものでもないでしょう。それほどにこのゲームには、いろいろなキャラクターの想いが残されているのです。

『Hazel Sky』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS4/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けに発売中です。
タイトル:Hazel Sky
対応機種:PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS4/Xbox One/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2022年7月20日
価格:3,080円(PC/PS4/ニンテンドースイッチ)、2,550円(Xbox One)