2019年に海外向けにリリースされ、数々のゲームイベントで栄誉ある賞を獲得していた『ディスコ エリジウム』が、2022年8月25日より『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』として日本国内でも待望の発売を迎えます。
本作の特徴は重厚なミステリー文学さながらのシナリオと、「どのような主人公として物語を進めていくか」をプレイヤーが自由に選択できるRPG的なゲームプレイ。RPG/ADVの両ジャンルが好きで、予てからの評判を知っているゲーマーであれば、きっと「自分ならどのような主人公を作って物語を進めていこうか」と考えていることでしょう。
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本稿では、そんな『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』の自由度をチェックするべく「ステータス極振り」の主人公を作成した上での序盤ゲームプレイを解説。前編となる本稿では「知性」に長けているが肉体的には超絶軟弱な刑事としてのプレイレポートをお届けします!後編では、「運動能力は抜群だが頭が回らないポンコツ刑事」としての捜査を紹介します。
『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』公式サイト『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』とは
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プレイの前に、まずは『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』の基本的なゲームシステムから覚えていきましょう。本作の主人公は「記憶を失っている多重人格の刑事」。彼が酒場で目を覚まし、バディとなる刑事“キム・キツラギ”と共に殺人事件を調査して、ホテルの裏手にある「木に吊るされた死体」の情報を追跡していく……という場面からゲームが始まります。
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その一本道のシナリオを彩るのが、「アビリティ」と「スキル」の2つの要素。ゲーム開始時に「キャラクター作成」を選ぶことで実行できるアビリティ調整では、頭のよさを示す「知性」、感受性の豊かさを示す「精神」、力強さを示す「肉体」、動きのしなやかさを示す「運動能力」のステータスを変更できます。
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4種のカテゴリからパラメータを調整して、自分好みの刑事を作っていくのが本作のRPG的な醍醐味です。各カテゴリには、それぞれ関連した「スキル」という要素が振り分けられていて、捜査や会話に役立ってくれます。
例えば「知性」カテゴリにある「論理」スキルを成長させれば、物事を筋道立てて考えられるようになり、聞き込み調査が上手くいくことも。事件捜査はなんだかんだ肉体労働なので、「肉体」カテゴリの「耐久力」「痛覚閾値」なども重要となることでしょう。
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そして本作では、ゲームの会話内に「論理」や「百科事典」、「反応速度」「手さばき」といったスキルが“登場人物”のようにセリフを発することがあります。多重人格の主人公の中にある「百科事典」なる人格が、「かつて自分の中にあったらしい“物知り博士”的な性格」として、主人公に向かって脳内から直接語りかけてくるのです。
この独特な会話劇が本作の“文学作品らしさ”を高めているのですが、要するに「スキルが“天の声”としてヒントをくれる」ということ。スキルを育てていれば、会話中に言葉が詰まっても「演劇」なる天の声が上手い嘘を選ばせてくれますし、使い方が分からない機械や装置が出てきても「手さばき」なる天の声が操作を教えてくれたりするわけです。
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今回は知性派軟弱刑事ということで、「知性」にステータスを極振り。余った数値は「精神」に振って、「とてつもなく博識で感受性もそこそこに豊か、しかしフィジカルは最悪」「得意なのは“世界を推論する”ための力である『論理』スキル」という刑事を作り上げました。
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「最悪」という字が2つも並ぶところを見るとやり過ぎた気がせんでもしませんが、筆者の中の「ハードコアゲーマー」たる人格の声がこう語りかけてきました。「本当におもしろいゲームはこれから何周も遊ぶことが確定しているのだから、どうせなら思いつく限りの刺激的な遊び方を選べ」……いま思えば、ダンジョンRPGでいつも「戦戦戦僧盗魔」のパーティを構成したり、MMORPGで「近接戦闘スキル&遠距離戦闘スキル」を伸ばして器用貧乏になっていた自分が恥ずかしくなってきました。人生は一度きりでも、ゲームは何度でも遊べるのです。『ディスコ エリジウム ザ ファイナルカット』においてはこれが正解に決まっています!
知性派軟弱刑事で事件捜査をスタート!
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筆者の独白はさておき、ゲームを始めていきます。本作は「見下ろし視点のアドベンチャーゲーム」であり、スイッチ/PS4/PS5版ではスティック操作で移動と調査オブジェクトを選択していきます。スクリーンショットは酔っ払いで記憶喪失の刑事がパンイチで目覚めるシーンです。最高の幕開けですね。
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自分好みに作ったわりにいまいち感情移入できない主人公の目に入ったのは、天井にあるシーリングファンに絡まったネクタイ。刑事はパンイチなので、まずは服を集めねばなりません。刑事が持つスキルでありながら人格のひとつである“内陸帝国”も、脳内から「あなたさまはふたたび首に巻き付けたいと思っておいでです」と語りかけてきました。
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しかしながら、運動能力ステータスの中にある「才覚」がとんでもなく低い貧弱刑事のため、天井のネクタイに手を伸ばしただけで、胸に痛みが広がってしまいます。運動不足なデスクワーカーにも、よくあることかもしれません。
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なんか死にました。お酒の飲み過ぎが原因の心臓発作……新聞でもそう報じられる始末。これまで何人ものプレイヤーがこの「ネクタイ」相手に死んでいったのでしょうか。
ここで学べたのは、「余計なことはしない」ということ。ネクタイなんてなくても捜査はできるし、ていうかいちいち死んでたらマジで話が進まないし人生は有限なんですね。パラメータやスキルに見合っていない「ダイスロール」を実行すると刑事がいちいち死ぬので、スムーズにゲームを進めたいときは注意しましょう。
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なんとか服を着て部屋の外に出ると、紫煙をくゆらすイカした女性に遭遇。持ち前の知性と「概念化」スキルのおかげで、彼女の着ている服に注目したフレーバー的なテキストが現れます。
このように、ゲーム進行に関係ないところでも「アビリティ」「スキル」が生きてくるところが本作の特徴です。刑事の能力に合った文章が物語を彩ってくれるので、「自分が作った主人公ならではのストーリー」を体験できるというわけですね。
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もちろん、「スキル」は会話中に出てくる選択肢にも影響します。1階のカフェテリアに降りると、待ち合わせていた相棒刑事“キム・キツラギ”と合流。自己紹介をしつつ、彼に先立って自分が行っていた捜査について報告します。
しかし主人公は記憶喪失。その上どうしようもない飲んだくれ刑事なので、当然ながら捜査報告はゴニョゴニョ言って誤魔化すことに……。そこで「知性」スキルである“内陸帝国”が再び天の声として現れ、前日の記憶どころか自分の名前も忘れていた主人公に「自分で名前を考案する」という選択肢を与えてくれました。
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ダイスロールに成功し、概念化の選択肢をクリア。とはいえお話の都合上、自分の名前は決められない様子……。このような具合で、主人公はいつも「天の声」である自分の脳内との会話を繰り返していきます。
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なんともポンコツな馴れ初めとなりましたが、相棒と共にカフェテリアを捜査します。キムが店長に話を訊くシーンでも「論理」スキルが発動。自然な流れで会話に入り込めたりと、知性派刑事ならではの鋭さが発揮されます。
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情報を集め終えたのち、カフェテリアの裏手にあった「吊るされた男の死体」を調査。“信じがたいほどの腐臭を撒き散らしている”ということで、鼻をつまんでいる手を離すかどうかにも選択肢が出現しました。「肉体」アビリティの「耐久力」スキルによって成功率が変わるそうなので……今回はスルーします。
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本作には、あちこちに「ゲームオーバーに直結する選択肢」が登場します。貧弱刑事でなくても、ダイスロールに失敗すればバッドエンドに直行することも珍しくありません。なんせ天井に手を伸ばすだけで死ぬような貧弱野郎なので、郵便箱を蹴っ飛ばすだけでも簡単に死んでしまいます。「余計なことはしない」という学びを生かして、捜査中に見つけた「弾痕つきの郵便箱」はやさしく撫でてあげることにしました。郵便箱もうれしそうにしてるみたいです。よかったね。
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近くで遊んでいる少年に聞き込み調査をすると、ここでも「知性」がガンガン発動。子どもの話はなんだか乱暴で、「自分は“ナイトシティ”という場所にいたから知らない」と答えられました。
ちなみに“ナイトシティ”がなんなのかということも、この刑事が「百科事典」スキルに長けているために理解できているのです。伸ばしているスキルによっては、会話の流れ上“ナイトシティ”について理解できない場合もあるということ。「ハードコアゲーマー」スキルがあればその景色や地理まで鮮明に説明できるでしょうが、それはまた別のお話ですね。
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聞き込み調査などでは「知性」と関連スキルが大活躍ですが……このように、「運動能力」にかかわる「知覚」スキルではダイスロールの確率が著しく下がります。とはいえ「確率」なので、時折成功することもあります。ときにはクイックセーブ&ロードを繰り返してみてもいいかもしれません。
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ちなみに、この主人公は強いストレスを受けるだけでも再起不能になったり、ゲームオーバーになってしまうことがあります。彼は記憶喪失のポンコツ野郎なので、警察手帳も銃もどこかに紛失してしまっているそう。そんなことを警察の仲間たちに素直に報告したら……自責の念でどうなるか分かりませんよね。なので、無線連絡中に話す必要が出来てしまっても「演劇」スキルに頼って嘘で切り抜けられます。
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頭が回る一方で、しっかりと鍵がかかっている「死体近くの怪しげなゴミ箱」を力技でこじ開けるのは困難です。この選択肢は「ホワイト・スキルチェック」と呼ばれ、あとで再挑戦することも可能なもの。しかし、知性派刑事らしく素直にカフェテリアの主人に鍵を借ります。
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カフェテリアの主人との会話でまた発動した「修辞学」スキルは、英語でいうと「レトリック(Rhetoric)」。つまり「巧みな言い回し」でコトを上手く運んでいるのです。「修辞学」スキルは主人公の口先はもちろん、会話の聞き方にも影響します。このスキルを育てていれば「なにか怪しいことを言ったぞ」と頭の中にいる“修辞学くん”がヒントをくれることも。
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捜査範囲を広げてカフェテリアの外まで足を運んでみると、そこにはデモ活動中の労働者の集団が!荒くれ者の中をかき分ける貧弱刑事……なんだか数秒後には新聞沙汰になりそうな気配がしてなりませんが、捜査を詳しく進めるためには、どうしてもこの先に進まないといけません。
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その道の先に現れたのは、貧弱刑事を秒殺しそうな腕組みマッチョ。「肉体装置」スキルが育っていればぶちのめすことも可能だそうです。ここでイキっても、事件解決は遠ざかるばかり。ネクタイ欲しさに死んだ経験をきちんと省みつつ、ここは非暴力的な攻略法を選びます。マッチョ野郎が謳う「高等人種論」なる“思考”を学んでみましょう。
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この“思考”は、本作のゲーム進行を演出するもうひとつのキモ。「アビリティ」「スキル」に加わる、さらなる特殊要素のようなものです。例えば「浮浪刑事」としての考え方を身につければ、思考キャビネットから装備できるようになり、主人公のステータスを変化させられます。
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今回覚えた「高等人種理論」を“思考”として装備すれば、「修辞学」スキルのステータス上限を増やすことができ、「概念化」スキルも上昇。各スキルは会話・調査を通して溜めた経験値でレベルアップした際にも成長させられますが、このように“思考”でも底上げするように強化できます。
主人公の刑事は持っているスキルや伸ばしているアビリティによって、調査や会話を上手く進めるための道筋に気付いてくれます。言い換えれば、「天の声」が更にアグレッシブにゲームの進行を手助けしてくれるということ。“思考”はイベントや選択肢を有利に進めるための心強いプラス要素になってくれることでしょう。
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“思考”の中でも、平たく言うと「人種差別的な思想」となってしまう「高等人種理論」……ロジカルで合理的な知性派刑事として調査を進めるために、仕方なく受け入れます。こうしてマッチョ野郎こと“メジャーヘッド”を相手にした勝ち目のない殴り合いを避け、理知的な解決に辿り着きました。なんだか「知性派の貧弱刑事」というより「日和見主義の媚びへつらい刑事」になってしまった気もしますが、調査は良い方向に進んでいるのだから気にしないようにします。
“思考”は複数のものを組み合わせていくことも可能。もちろんゲームプレイの進め方に関わってきますが、これもある意味「ロールプレイ」の幅のひとつと言えます。「スーパースター的存在を志す目立ちたがり屋」「経済学に詳しい社会派」「ルールを重んじる執政者肌」といったエッセンスを「スキル」「アビリティ」に足して、オリジナルの刑事を作り上げていくのも『ディスコ エリジウム ザ ファイナルカット』の楽しさです。
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そうして“思考”を変えてマッチョ野郎が塞いでいた道の先へ進み、周辺の労働者を取りまとめるリーダーに出会いました。「港湾労働者が殺したという遺体」「弾痕が残るポスト」「デモ中の労働者たち」……これまで見つけた手がかりについて、彼から核心的な答えを得ることはできるのでしょうか?この先の展開は、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
ZA/UMが開発し、日本ではスパイク・チュンソフトが販売を担当する『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』は、2022年8月25日よりPS4/PS5/ニンテンドースイッチ向けにリリース予定。パッケージ版/ダウンロード版ともに4,939円(税込)で発売されます。
パッケージ版を予約購入したユーザーは、特典としてゲームプレイガイドとなる「捜査ハンドブック」も入手できます。
『ディスコエリジウム ザ ファイナル カット』
対応機種: ニンテンドースイッチ / PlayStation 4 / PlayStation 5
発売日: 2022年8月25日予定
ジャンル:RPG
CERO: D(17歳以上対象)
希望小売価格: 4,490円+税
プレイヤー人数: 1人
開発元: ZA/UM
販売元: スパイク・チュンソフト